米国は景気がいいのか?~ITバブル崩壊時より低い今の名目成長率 | 相場残日録(元相場師天の日記)

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プロの相場師「天」の引退後のブログ、残日録として記していきます。

ほとんどの専門家は、米国経済は良好との理由で、年内の米国利上げに疑問を持っていません。本当にそうなのでしょうか?確かに失業率や良好な経済指標をみれば、そう見えます。

しかし、名目経済成長率をよく見ると、違った風景が見えてきます。今日はそのお話。


長期的な株価の上昇局面と下落局面における名目成長率を調べてみました。


ケース①

1994年Q2~2000年Q1 ITバブルの株価上昇局面


SP500騰落率=+237%  名目成長率(年率)=+5.8%


ケース②

2000年Q1~2003年Q1 ITバブル崩壊の株価下落局面


SP500騰落率=▲43%  名目成長率(年率)=+3.8%


ケース③

2003年Q1~2007年Q3 サブプライムバブルの株価上昇局面


SP500騰落率=+80%  名目成長率(年率)=+6.0%


ケース④

2007年Q3~2009年Q1 リーマンショックの株価下落局面


SP500騰落率=▲48%  名目成長率(年率)=▲0.9%


ケース⑤

2009年Q1~現在 QEバブルによる株価上昇局面


SP500騰落率=+159%  名目成長率(年率)=+3.5%


ここから見えてくるもの


当たり前のことですが、景気が良い→株価は上昇、景気が悪い→株価下落

という法則性が見て取れます。

しかし、それはリーマンショックまで。


ケース①、③の株価上昇局面は どちらも名目成長率が5%を超えています=景気が良いということ

しかし、ケース⑤ 現在の株価上昇局面の名目成長率(年率)+3.5%はなんとITバブル崩壊のケース②の名目成長率+3.8%よりも低くなっています。


ここから見えてくる真実は、

今、米国の景気は良くない=ITバブル崩壊時よりも悪い ということです。

サマーズ元財務長官たちが提唱している「米国経済長期停滞論」は 名目成長率というシンプルな経済指標で明確に正当化されます。


景気が良くないのにもう6年間も米国株価指数は上昇を続けている。

この現実が、量的緩和という資産価格上昇を人為的に作り出す官製バブル=QEバブルの姿をあぶりだしているように思います。


このバブルが未来永劫続くというのは、私には考えられません。

今長期チャートが示す米国株式の下落リスクは、その予言ではないでしょうか。


参考までに、四半期名目成長率 (年率)と米国株価指数SP500の関係のグラフを掲載しておきます。









以上