2022年4月にリリースされた通算12作目の【

RED HOT CHILI PEPPERS】(レッド·ホット·チリ·ペッパーズ)の新譜〖UNLIMITED LOVE〗(アンリミテッド·ラブ)は前作〖THE GETAWAY〗(ザ·ゲッタウェイ)以来約6年振りのアルバムとの事ですが何より話題を集めたのは『約16年振りのジョン·フルシアンテ復帰作』という事ですね。


ジョンが抜けてからの約16年間は【ジョシュ·クリングホッファー】が後任ギタリストだった訳ですが、やはり多くのファンにとっては『レッチリのギタリストと言えばジョン·フルシアンテ!』というのが共通認識だったと思いますし、そんなジョンの復帰作となれば当然興味もそそられますよね...。(無論僕もね..)


しかし、当時金欠状態だった(今もね..)僕はアルバムリリース後もいまいち手が出ず「アルバムはもう少しお金に余裕がある時に..」と購入を先延ばしにしていた訳ですが、そうこうしている内にその年の10月14日(どうでも良いけど僕の誕生日です!)にはなんと通算13作目となる〖RETURN OF THE DREAM CANTEEN〗(リターン·オブ·ザ·ドリーム·カンティーン)をリリース。こういう金欠の時に限って半年という短いスパンでアルバムを発表するというレッチリ史上類の無い事態に...。


それにしても前任ギタリストのジョシュ在籍時に発表された2枚のアルバムはリリースまでに5年の間隔が空いたというのにジョンが戻った途端これかい...。バンドとの相性抜群(+天才ギタリスト)のジョンが戻った事によりアイデアがドサドサ湧いたのか知らんけどちょっと露骨過ぎるなぁ...。(いや..、アルバム出してくれるのは嬉しいんだけどね..)


UNLIMITED LOVEのライナーノーツに『ジョシュは16年積み上げた自分のキャリアを喜んでジョンに返した..』みたいな事が書いてあったけどホントかねぇ...。実はジョンがバンドに復帰する以前からジョシュ以外のメンバーはジョシュに内緒でジョンと会ってはセッションしたりしてたらしいですね...。男女関係に例えるなら浮気してる期間があったって事ですね...。


まぁ、本当のところはよく分からんけどあのジョン·フルシアンテが復帰(二度目になるね..)したのは事実...。熟考に熟考を重ねましたが熟考したところで自身の小遣いが増える訳でも無し...。思い切って2枚とも買いましたよ...。

順番的には先に後発のRETURN OF THE DREAM CANTEENを購入し、悩んだ末に遅れてUNLIMITED LOVEを購入したのですがそれには訳がありましてね...。ネットレビュー等を読んでいてもUNLIMITED LOVEの方の評価は微妙だったのですよ...。主に言われていたのが『ジョン·フルシアンテが復帰した割にはジョン·フルシアンテの影が薄い..』みたいな感想でしたね...。他には『大人しくて退屈な曲ばかり..』って感想も散見されましたね...。

更に13作目のRETURN OF THE DREAM CANTEENがリリースされるとその前作と比べて見違える様な本作の出来の良さからか更にUNLIMITED LOVEへの風当たりが強くなります。酷いのだと『UNLIMITED LOVEなんかリリースせずにRETURN OF THE DREAM CANTEENだけリリースすれば良かったのに!』なんて意見も見受けられるほど...。

これらの辛辣なレビューの数々を目の当たりにして既にRETURN OF THE DREAM CANTEENを手に入れていた僕もUNLIMITED LOVE購入は躊躇していたのですがやっぱ記念すべきジョン復帰作は全部持っておきたいですし音楽の感じ方も"人は人、自分は自分"と信じて購入に至った訳です。しかし、何よりもUNLIMITED LOVE購入の決め手となったのはやっぱプロデューサーを務めたのが【リック·ルービン】であるという事でしたね。

僕はリック·ルービンの手掛ける作品が好きでレッチリに限らず彼がプロデュースしたアルバムは大体ツボに嵌っていますね...。まだ燻っている程度だった知名度のバンドがリック·ルービンのプロデュースをきっかけにスターダムに駆け上がって行く事例も数多あり(レッチリもそうだったよね..)そんな彼の手腕によるサウンド·アレンジは【ルービン·マジック】とも呼ばれていましたね...。そして僕は世間の評価はさて置きこのルービン·マジックを期待してUNLIMITED LOVEを手に取った訳なのであります。

それでは取り敢えず全18曲(ボートラ含む)というボリューム満点のアルバムからの第一弾シングルでもあった冒頭曲〖BLACK SUMMER〗(ブラック·サマー)をお送りします。この曲の歌詞はオーストラリアで起きた大規模な山火事(※通称"ブラック·サマー")をテーマとしており、ミドルテンポで紡ぐフックの効いたサビメロや叙情的なギター等を聴く限り何だかんだアルバム収録曲の中では最も"ジョン·フルシアンテ在籍時のレッチリ感"が出てる楽曲だと思います。この曲を第一弾シングルに持って来たのは正解ですね。

BLACK SUMMERの約1ヶ月後に公開された第二弾シングル〖POSTER CHILD〗(ポスター·チャイルド)も勿論アルバムに収録。【アンソニー·キーディス】(Vo)のラップを主体としたチルアウト系のメロウ·ファンクでレッチリとしてはこういう"メロディそっちのけタイプ"の楽曲は久々なのではなかろうか...。それこそ1991年リリースの彼らの大出世作〖BLOOD SUGAR SEX MAGIC〗(ブラッド·シュガー·セックス·マジック)を彷彿とさせますがバンドサウンドはあの頃みたいにブリブリいわしてませんので好みの別れそうな楽曲ではあります...。

アルバム全編通して聴くとミドルテンポの落ち着いた曲が多く、そこを指して"大人しくて退屈な曲ばかり.."という辛辣な評価が飛び出すのかもしれませんね...。(でも近年のレッチリアルバムってずっとこんな調子じゃなかったっけ?)

往年のファンからは"BLOOD SUGAR SEX MAGIC的なブリブリのファンク·アルバム待望論"が未だに聞かれますが、あのアルバムがリリースされてもう30年以上が経過していてその間に何枚もアルバムを発表しているにも関わらずああいう作風のアルバムは1度足りとも作っていないのだからもう作らないんじゃないかなぁ...。

個人的にはアルバム収録曲の中では12曲目の〖WHITE BRAIDS & PILLOW CHAIR〗(ホワイト·ブレイズ·アンド·ピロー·チェア)が好きですね。"レッチリらしさ全開"とは言い難い曲ですが湿っぽいメロディラインとコーラスがお気に入り。この楽曲もそうですが本作での"曲の後半で全く別物の曲みたいに曲調が変わる楽曲が多い"所も予測不能な曲展開が好きな僕としてはポイント高し。

バンドがキャリアを重ねてサウンドにも円熟味が増したのだ..』と肯定的に捉えればそれなりに聴ける本作は全17曲という大ボリュームなのですが個人的にはアルバム終盤の13曲目辺りからは「さっきも似た様な曲あったよね?」って感じの曲がちらほら出始めてちょっと飽きて来たのも正直な所...。しかし、まぁ、中には『聴けて5曲目まで..』なんて厳しい感想もあったのでそれに比べれば僕の感想なんてまだマシよ...。大物バンドが作ったアルバムだからこそハードルも高くなってしまうのでしょうなぁ...。

さて、続きましてジョン·フルシアンテ復帰第二弾となる13作目RETURN OF THE DREAM CANTEENを聴いた感想です。プロデュースは前作UNLIMITED LOVEに引き続きリック·ルービン。嬉しいなぁ...。
もう先行シングルにしてアルバム冒頭曲の〖TIPPA MY TONGUE〗(ティッパ·マイ·タング)を聴いた時点でUNLIMITED LOVEとの違いを痛感。曲調がはっちゃけているせいもあるのかジョンのギターが物凄く生き生きしている様に感じましたね。

完全に好みの問題になってしまうのですけど個人的にTIPPA MY TONGUEは歴代のレッチリ曲の中でもトップ3に入るくらい好きな楽曲になりました...。アホっぽいコーラスに素っ頓狂なアンソニーのラップから一呼吸置いてのめっちゃ格好良いサビメロとジョンのギター。このAメロとサビのギャップが良いわぁ...。"若かりし頃のレッチリの【ヤンチャ感】を出しつつ格好良い所はしっかり格好良い.."正に現在のレッチリの集大成的1曲だと思うのですよ...。(褒め過ぎ?)

現にアルバム聴き始めもこの1曲目が好き過ぎてリピートしまくりなかなか2曲目に進めなかったのよ...。ここまで夢中になる曲はUNLIMITED LOVEには無かったなぁ...。

記憶を辿れば僕が洋楽ロックに目醒めたきっかけとなったのは2002年リリースのレッチリの8thアルバム〖BY THE WAY〗(バイ·ザ·ウェイ)。そこから遡って同じく1999年リリースのレッチリの7thアルバム〖CALIFORNICATION〗(カリフォルニケイション)を聴いて本格的に洋楽ロックの沼にハマって行きました...。BY THE WAYもCALIFORNICATIONもジョン在籍時のアルバムなので当時の僕は洋楽ロック初心者にしてジョンのギター漬けになった訳ですが、後にこの記憶が僕の中で非常に印象深く残り、あれから22年経った今でもジョンのギターを聴くと洋楽ロックを聴き始めたあの頃の初々しい気持ちを思い出すのですよ(笑)

言ってみればジョンは僕を洋楽ロックの世界に誘ってくれた師匠の様なミュージシャンですからね...。そりゃあ技術云々関係無く前任のジョシュ·クリングホッファーとは思い入れが違いますよ。そもそも【天才ギタリスト】の異名を持つジョン·フルシアンテなのですけど楽器や演奏の知識がほぼ皆無な僕は彼のギターテクのどの辺りが天才なのかもよく解りませんからね...。(洋楽ロック歴22年なんだから少しは知識付けなさいよ..)

ただ、そんな無知な僕でもRETURN OF THE DREAM CANTEENはギターのみならずバンドサウンド全体が自由で生き生きしているのが良く解る...。"作風の違い"という見方も出来るのかも知れないけどそれでもやはり「UNLIMITED LOVEは"試運転"的な作品だったのかな?」と思わせる凄みが本作にはありますね。特に4曲目の〖EDDIE〗(エディ)なんかはもうサイコー。切ないサビメロは勿論の事、楽曲終盤の長めのギタープレイも全く長いと感じさせずそれこそ10分でも20分でも聴き続けたい心地良さ...。もうEDDIE以降の楽曲は「次はどんなギタープレイが飛び出すんだろう?」ってな感じで気付けばほぼジョンのギター目当てで聴いていましたからね...。(だったらジョンのソロアルバムでも聴いとけや..)

そんなこんなでRETURN OF THE DREAM CANTEENの方は褒めちぎった訳ですが個人的にはUNLIMITED LOVEだって忘れた頃にリピートするくらいは好きですから『ファンなら両方GETすべし!』ってのが僕の結論ですね。まぁ、それでも聴くなら絶対に"UNLIMITED LOVE→RETURN OF THE DREAM CANTEEN"の順をお勧めしますけどね...。(やっぱ後発の方が出来がいいからさ..)