最近はめっきりやらなくなりましたが以前はアーティストの詳細やその中身の音楽の情報も分からぬままジャケットのアートワークの良し悪しだけで判断する所謂❲ジャケ買い❳というギャンブル的なCDの買い方をしたりもしていました…。


そんな僕ですので“CD”というコンテンツに関しては中身の音楽のみならず“ジャケットのアートワーク”に対する拘りもそこそこ強い。


特にお気に入りのアルバム·ジャケットは?」と問われたらめちゃめちゃ悩みますし多分1枚には絞れない…。では、逆に「特に残念だったアルバム·ジャケットは?」と問われたらこれは何と無く思い当たる…。


そんな訳で今回はロンドン発のロック·バンド【ハード·ファイ】の2007年リリース2ndアルバム〘ONCE UPON A TIME IN THE WEST(ワンス·アポン·ア·タイム·イン·ザ·ウエスト)〙をサクッとご紹介。

 

2005年のデビュー時は英国労働者階級を代表する反骨精神溢れる強烈なメッセージやパンク、ダブ、スカ、レゲエを軸とした音楽性から❲ザ·クラッシュの再来❳等と形容されていたハード·ファイですが彼らの場合はそこに”ディスコ·サウンド”や“叙情的なメロディ”といった一般リスナーでも取っ付き易そうな要素を落とし込む事によって非常に耳障りの良い音楽に仕上げています。


そんな❲21世紀型レベル·ミュージック❳とも呼べる1stアルバム〘STARS OF CCTV(スターズ·オブ·CCTV)〙は❲UKリヴァイバル❳の影響で数多の新人UKロックバンドがひしめく只中にありながらも話題の1枚になっていましたし個人的にも捨て曲無しの良盤として重宝しましたね。


そんな彼らが2年振りの2ndアルバムをリリースするというのだから期待しない訳が無い。…で、その2ndのジャケットのアートワークが残念だった訳ですが正確には“残念”というよりは”拍子抜けした“という表現の方が正しいかも…。


当時の僕の洋楽に関する情報源と言えば【ロッキング·オン】(通称ロキノン)や【クロス·ビート】(廃刊済)といった洋楽雑誌…。(最近は専らネットですが…)

これらの雑誌で特に楽しみにしていたのが新譜レビューのコーナー。そんな新譜レビューのコーナーでたまにニューリリースのアルバムでリリース日や楽曲の詳細等は分かっていてもジャケット·デザインの情報が間に合っていなかったりする事があるのですがそれらのアルバムは基本的にジャケ写の部分が❲NOW PRINTING❳や❲NO IMAGE❳といった表示になっています。

そしてONCE UPON A TIME IN THE WESTの新譜レビューに於いてはジャケ写の部分が黄色地に❲NO COVER ART❳とだけ表示されており僕はそれを前述した“NOW PRINTING”や“NO IMAGE”と同じ意味合いだと受け取ったのです…。

「そうかそうか、ジャケットのアートワークはまだ不明なんだね…」「どんなデザインのジャケになるか楽しみだなぁ…」などと思っていましたが、いざリリースされたCDを確認してみると…。
「あぁ…、そういう事ね…」と脱力してしまうジャケット…。正式なジャケット·デザインが決定するまでの仮の表示だと思ってたやつが正式なジャケット·デザインというオチね…。うむ…。英国ロックバンドらしいシニカルなアイデアですな(怒)

因みに蛇腹折りになっているインナーにはスペースを目一杯使って❲SECOND ALBUM PHOTO SHOT❳のレタリングのみが施されておる…。馬鹿にしやがってぇ〜!
やはりジャケットのアートワークは作品の内容を上手く表現している様なアーティスティックなやつが良いですよ…。そしてそれは凝っていれば凝っているほど僕好みですね…。よってハード·ファイの2ndのジャケはそんな僕の好みとは真逆ですので残念というか肩透かしを食らった…。

ただ、勿論この様なジャケット·デザインにした事にはバンドなりの理由が有る様です…。リチャード·アーチャー(Vo,G)はこれについて『アルバム·ジャケットの重要性は今やi podのスクリーン上に表示される1センチ四方の正方形と同等になりつつある。ジャケットという物は嘗てはアルバムに別の一面をもたらしてくれる物だった。だが、それも消滅しつつある様だ…。本当に悲しい事だね…。』とコメントしています…。

なるほど…。ジャケットは疎か“CD”というコンテンツ自体の必要性が薄れつつある現代(…と言っても20年近く前の話ですがね…)を痛烈に皮肉ったアートワークな訳ですな…。

そして何よりコメントからはリチャードのアルバム·ジャケットに対する熱き想いが伝わる…。(流石、中身の音楽も暑苦しいだけある…)

特に”ジャケットという物は嘗てはアルバムに別の一面をもたらしてくれる物だった…”のくだりはめちゃめちゃ共感出来ますね…。こういう僕みたいな考え方の人種はまだ一定数存在して(今はどうかな?)こういう人種がいる限りCDという最早ほぼ需要の無いコンテンツも辛うじて生き延びるのだろう…。

そんな訳でハード·ファイの2ndアルバム·ジャケットは一見すると”残念なアートワーク“でしたがその意味を知ると“これはこれで素晴らしいアートワーク”だったというオチでした。

それでは最後にアルバム1曲目の〘SUBURBAN KNIGHTS(サバーバン·ナイツ)〙を貼っておきましょう。2ndも1stに負けず劣らずのキラー·チューン揃いですが、クラッシュっぽいのを期待して聴いたら肩透かし食らうこと間違い無し。