僕が生まれて初めて買ったCDは1988年リリースの【長渕剛】のシングルCD〖とんぼ〗でしたね...。同年に長渕剛が主演を務めたTBS系の大ヒットチンピラヤクザドラマの主題歌として使用されたこの曲はオリコンチャートで5週連続1位を獲得。売り上げ枚数は【103.5万枚】を記録し【ミリオンセラー】となりました。


ところで当時まだ小学6年生だった僕が何故そんな子どもらしからぬ渋い選曲だったのかと言うとそれはもう当時の担任の先生の影響でしたね...。先生は授業中でも唐突に生徒の前でギター片手に〖乾杯〗(1980年)やら〖ろくなもんじゃねえ〗(1987年)やらを披露する程の長渕剛ファン…。もう生徒に対する"長渕推し"が酷くてね...。まだ毛も生え揃っていない無垢な僕ら生徒達は大人(担任)の影響でどこが良いのか訳も分からぬまま長渕を好きになっていたって感じでしたね。


因みににその先生は僕が小学5年生の頃の担任で長渕さんの歴史的にはまだギリ"気さくな兄ちゃんキャラ"を保ってた頃...。その翌年、先生がもう僕らの担任を離れた頃にチンピラ路線にシフトチェンジしたとんぼが始まりましたので先生が“チンピラ長渕”をどう思っていたのかは謎のまま...。多分、先生は爽やかな長渕が好きだったと思うのでこれを機にファンを辞めたかもね...。


長渕好きの担任の先生の手を離れ6年生に進学した生徒の殆どは当時人気だった光GENJIや男闘呼組に流れ「長渕剛とは一体何だったのか?」と言った具合に洗脳が解けた状態へ...。まぁ、子どもなんてそんなもんよ。


ただ、とんぼのシングルCDを買った事からも分かる通り僕は違った...。寧ろチンピラ路線に入ってからの長渕さんの方が好きなくらいでしたし...。因みに生まれて初めて買ったシングルCDはとんぼですが生まれて初めて買ったCDアルバムは長渕剛の1991年リリース作〖JAPAN〗(ジャパン)ですし...。例の担任の先生に出会っていなかったとしてもいずれは長渕剛のファンになっていた自信はありますね...。


そんな僕も高校生辺りになると当時流行っていたJポップやJロックに傾倒していきますがそれでも長渕さんは長渕さんで聴いていました...。当時はまだ定期的に長渕主演のドラマ(あまり面白くなかった..)が放映されていたのでそれも欠かさず観ていましたしね...。アルバムを買って聴くほどの長渕ファンではなかったけど何故かあのお方は僕の中では特別な存在だったんだよねぇ...。


1998年にはとんぼの続編的映画〖英二〗が公開されましたがこれをひとりで映画館に観に行ったのも今となっては良き思い出...。この映画に長渕剛演じる【小川英二】の妹【小川あずさ】役として登場する【若林志穂】さんは前任の仙道敦子さんに負けず劣らずの良い演技だったと記憶していますがそんな彼女が時を超えて今最も長渕さんを苦しめる存在になるとは誰が予想出来たであろうか...。


世間的にもそこそこ知れ渡っているし個人的にもあまり触れたくないので例の若林さんの告発の内容に関しては割愛させて頂きますがあの告発は長渕氏にも大きな影を落とす事になりましたね...。ここ最近の例だと今年5月22日に約7年振りとなる長渕剛の新譜〖BLOOD〗(ブラッド)がリリースされましたがこのニューアルバムのプロモーションも兼ねた音楽番組への出演が例の告発の影響を鑑みて辞退せざるを得なくなるという予想以上の大事に発展...。結局アルバムのプロモーションは自身のYouTubeの中でのみに留まってしまうのですが7年振りの新譜という事で長渕本人も気合いを入れたかったでしょうにこの状況は口惜しかろう...。


実際のところこのプロモーションの規制がアルバムの売り上げにどれ程の影響を与えたかはわかりませんが前作〖BLACK TRAIN〗(ブラック·トレイン)は迷わず購入した僕自身も今作は何となく「ちょっと辞めとこうかなぁ..」という気になってしまったのも事実です。(…と、言いつつも結局買ってしまったのですが…)

アルバムレビューを始める前にまずはこのジャケ…。肩をすぼめて優しい笑顔を見せる長渕剛は昔のフォーク時代なら似合うでしょうが現在の彼のイメージでは違和感しかない…。ここはいつも通りの“男臭さ全開“ジャケでいって欲しかったな…。(初回限定版ジャケは良い感じだけど…)

アルバム収録曲は割とコンパクトに納まった全10曲。ネットレビューを読む限り人気の高い曲は政治的メッセージ性の強い1曲目〘路上の片隅で〙なのですが個人的にはこの権力者を“悪”に見立てて弱者を鼓舞する勧善懲悪な歌詞の内容に薄っぺらさを感じてちょっと苦手かも…。近年のファンにとってはこういう楽曲こそが今の長渕剛の真骨頂なのかもしれませんが僕が再び長渕さんを聴くようになったのは何だかんだで最近の話ですから(それまではず〜っと洋楽ばっか聴いてた…)まだ”今の長渕剛“に対する免疫が出来ていないのだろう…、と思う事にする…。


逆に2曲目以降はほぼ“捨て曲”が無いくらいどの楽曲も聴きどころがあって気に入っています。少なくとも前作のBLACK TRAINよりは好きですね。ボレロ風のアルバム先行曲〘黒いマントと真っ赤なリンゴ〙も歌詞の内容は抽象的過ぎてよく分からないけど長渕節全開な曲調は好きですね。ところで本作BLOODには前作以降にリリースされたシングル曲が1曲も収録されていないという事で一部のファンからは不満も出た様ですが僕なんかは前作以降にシングルがリリースされていた事すら知りませんでした(笑)如何に僕が普段から長渕剛にアンテナを張っていないかと言う事ですよね…。

アルバムは全体的にじっくり聴かせるバラード系が中心な印象。琉球風やレゲエ調のまったりとしたアレンジの曲もありますが個人的に”まったり長渕“好きなので問題ナシ。(何だよ“まったり長渕”って…)

お気に入りの楽曲はアルバム屈指のロックンロール·ナンバーな3曲目〘ジャッキー·レディ〙に昭和風の4曲目〘FACE TIME〙(フェイス·タイム)辺りですが、やはり1番のお気に入りはラストを飾る表題曲〘BLOOD〙ですかね…。締めにぴったりの良曲なんだよなぁ…。

正直なところ度肝を抜かれる様な楽曲は無く、全体的に聴き易さ重視の”手堅い作り“になっている印象ですが収録時間がコンパクトで味のある楽曲が多いお陰か最近はかなり頻繁に聴いていますよ…。(しかも1曲もスキップせずに!)


個人的には“予想していたよりはだいぶ良いアルバム”という感想なのですがネットレビューを覗いてみるとやはり「良い曲がひとつも無い…」「あの頃の長渕剛はもういない…」「昔と比べて声が変わり過ぎている…」等、全盛期の長渕剛を引き合いに出した辛辣な感想も多々目にしますよね…。そりゃあ僕だって「あの頃の長渕さんと比べたら…」っていうのは多少ありますけど今は今で好きですよマジで…。


因みに今回ご紹介した新譜BLOODに関して言うなら長渕剛の”歌“以上にバンジョーやマンドリンを取り入れた”バンド·サウンド“が良い感じです。是非、皆さんも世間の目を気にせず勇気を出してアルバムを手に取ってみては如何でしょう?




         ❴追伸❵


余談になりますがひょんなきっかけで〘TSUYOSHI NAGABUCHI ARENA TOUR 2024〜BLOOD〙のチケットを入手する事が出来たのですよ…。僕が行く公演は9月5日【Aich  Sky Xispo】にて…。ツアータイトルからも分かる通りセットリストも新譜BLOOD中心になるでしょうから迷った末にアルバムを買ったのです…。


元々ライブに行く機会もそれほど無い人生でしたし少なくとも子ども達が生まれてからはこれが初のライブ参戦になるのでとても楽しみ。当日は平日なので本業は早退で夜のバイトは休ませて頂きますが早退や欠勤の理由に「長渕のライブに行く為…」とは口が裂けても言えない…。「子どもが熱出してどうのこうの…」とか「同居してる婆さんが救急車で運ばれてどうのこうの…」とか適当な理由言っときますわ(笑)


洋楽を聴き始めてからの十数年は全く聴いていなかったので“生粋の長渕ファン”とは言い難い僕ですが子どもの頃からそれなりに慣れ親しんで来ていたアーティストではありますのでそんな彼のライブに行けるのはやはり感慨深い物がありますね…。(これが最初で最後の長渕ライブ参戦になるかな?)


後は長渕さんが平穏無事にライブ当日を迎えられる事を祈るのみ…。個人的な意見としては取り敢えずSNSの更新頻度を減らしてみては如何だろうか…。昨今のあのお方のSNSは世間の反感を買う余計な一言が多過ぎる(笑)