「寝顔へ」
物心つく前から当たり前のように食事の用意をしてくれた母親に、本当の意味で感謝ができるようになったのは、自分自身が独り暮しを始めてその大変さを知った時だった。
「物を粗末にするな」「挨拶だけはちゃんとしろ」と口うるさかった父親の言葉が、本当に理解できるようになったのは、自分自身が親になって自然に同じことを娘に言い聞かせていることに気づいた時だった。
今日、中学3年生の試合会場へ行くために片道2時間のチームバスでの移動に同乗させてもらった。
いつもの場所に、いつもの時刻にやって来るチームバスに乗るために、そこまでは保護者が運転してくれる車が自分を運んでくれる。
チームバスを運転してくれる指導者は誰よりも早く家を出て、誰よりも遅く家に戻る。
車を運転してくれる保護者は、自分たちが目を覚ます随分と前に台所に立って弁当を作ってくれている。
「感謝しなさい」「理解しなさい」と何度言っても、今は感謝も理解もできなくてもいいから、できるだけ早く気づいてできるだけ素直に『ありがとう』と言ってください。
帰り道、気持ち良さそうな寝顔の選手たちへ。