「楽曲派アイドル・ガイドブック ももクロ以降のアイドルソング再考」
(双葉社、成松哲・タナカハルカ著)
10数年前、主に小中学生アイドルを推していた多くの人は
世間からロリコンと呼ばれる事を嫌い避けるため、あくまで楽曲や
パフォーマンスが好きなだけなのだと言わんばかりに「楽曲派」と言う
言葉を用いた。
その後、sora tob sakanaなど本当に楽曲だけでも勝負出来るレベルの
グループの登場で本来の意味での「楽曲派」を名乗るケースも出て来て
定義が曖昧となり、2025年現在、どちらの意味でも使われなくなく
なってきている。
この本は、実際に(本来に意味で)楽曲派と呼ばれていたいたのは
どんなグループのどんな楽曲だったのかをアイドル本人や吉田豪など
その界隈に詳しい人たちへのインタビューや音源のレビューを
まとめた一冊だ。
関係者の生の声が聞けたり、ディスクガイドもマニアック一辺倒ではなく
ももクロ、AKB、モー娘。などメジャーも取り上げていて理屈ばかりの
内容にはなっていないので、単純に楽曲派って何?って初心者にも
分かりやすいと思う。
何より、「どうせ顔だけでしょ?」みたいな感じで分析研究される機会が
極端に少ないアイドルと言うジャンルにメスを入れただけでも意味がある。
アイドルと名乗ってしまえば何でもアイドルになってしまう昨今は
1960年代末にロックと名乗ってしまえば何でもロックとして認められた
時代と似ていなくもない。