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「おはよう!」



その日も彼は元気に仕事に行った



職場でも挨拶が評判らしく
「俺は元気だけが取り柄だから!w」



そんなことをいつも言っている



「俺の仕事は、
 情報だけじゃない
 元気も届ける仕事なんだ。笑」



これが彼の口癖だった





基本的にニコニコ
(いや、ヘラヘラしてる)
そんなタイプ



「いつもふざけてるけど
 一緒にいて楽だな~」




そんな風に思っていた半年後
私達は結婚した




24才の夏のことだ。





いわゆる新婚というやつで
未来に明るい夢を見ているさかり




「子どももたくさんほしいねー」



なんて話をしながらも
お互いに不安なことがあったのを
強く覚えてる




それが、【収入】


 

 

(残念な方にはなりたくない)

【中古】 やりくり上手な賢い夫婦、お金が残らない残念な夫婦 なぜ、夫婦で年収800万円でもお金が足りないのか? /中桐啓貴【著】 【中古】afb

 

 



それが一番の心配事

 

 


私はアルバイトで月10万円がいいとこ
彼、いや夫は正社員ながらも
手取りで20万がいいところ



二人が全力でがんばっても
せいぜい30万円が限界になる



夫の仕事は、業界的にも
昇給することはまずない
勤務は1日16時間がふつう





帰宅が21時であれば
早く帰ってくる!と嬉しいくらい





結婚して1年ほどたった時
夫が不意に






「俺、転職しようかと思う」

そう言い出した





私も

将来に不安がないと言えば嘘になる
給料や仕事内容によってはありがたい事





「どんな仕事なの?」

聞いてみると、どうやら技術職らしい

何かを作る?




詳しくは知らないものの
何かを作ったり直したりするらしい




給料は手取りで30万
今までよりも軽く10万円アップ
しかも出勤も帰宅も早くなる





『手に職とはよくいったものだ』

そんなことを考えてた





もちろん私も大賛成!

しかも職場の先輩からの紹介で
信頼できるところらしい




「今の職場は本当に恵まれてる」

そんなことを夫はよく言っていた





ちょっとクセはあるけど
面倒見のいい班長

毎日ちょっかいをかけてくる

めんどうな先輩
だけど、いざとなれば

捨て身で助けてくれる

そんな人たちがいるんだ。と




ただ、

金銭的にも将来のことを考えると・・・

ぶっちゃけ厳しい

 

「それだけが悔しいんだ」

 

やめる前日まで言ってたっけ





たしかに、勤務時間は長いし
給料も特別高いわけじゃないけど
毎日楽しそうに出勤していた


・・・

 

・・・

 



あっという間に退職の日が来て
新しい職場へ向かう日になる



「じゃあ、行ってくる!」




いつもと同じ笑顔で
新しい職場に向かった夫



(初めての職場って
 緊張とかしないんかな?)



心の中でそう思いつつ
いつも通り送り出した…






18時


「ただいまー!」




信じられないくらい早い帰宅
びっくりしたのと嬉しいので
久しぶり二人で晩酌した



初日の仕事は新しいことの連続で
とにかく楽しかったらしい




・変な職場だったらどうしよう

・嫌な上司がいたら大変




そんな私の心配は
無用だったみたい。笑






このときの私は思ってた





後悔先に立たず





この意味を

あんな形で知るとは思いもしなかった…




>>>続く
 

 

 

 

 

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