小さな出来事だった。
誰かに責められたわけでもなく、
はっきりした言葉を向けられたわけでもない。
ただその場で、
私は少しだけ置いていかれたような気がした。
それが本当だったのか、
私の感じ方だったのかは、分からない。
でもその瞬間に
胸の奥で何かが動いたのは確かだった。
私は昔から
場の空気が乱れそうになると、
自分の気持ちを引っ込めてきた。
誰かの言葉を待つ前に
先に「大丈夫な人」になる。
それが、
関係を壊さないために、
私の中では1番自然で
安全なやり方だった。
最近になって、
自分がどんな風に
人の中に立ってきたのかを
少しずつ振り返れるようになった。
特別な出来事じゃなくても
そこにはいつも同じ反応があった。
あの日もそうだった。
胸の奥が
少しだけ冷えた。
誰かの声と笑い声が
少し遠くに聞こえた。
私は何も言わず、
代わりに口角を上げて
その場に立っていた。
「ここにいるよ」って言う代わりに
「大丈夫だよ」を選んだ。
それはその場を守るためだったけど、
同時に
自分の気持ちを後回しにする選択でもあった。
誰かに責められたわけでもないのに、
私はいつものように
自分をそっと脇に置いていた。
私はまだ気づくと
こうして自分を後回しにしてしまう。
でも今はそのたびに、
小さくなったその瞬間の私を
迎えに行けるようになりたいと思っている。
自分を置き去りにしないで、
「ああ、ここにいたんだね」と
戻っていけるように。
自分を消したまま生きないこと。
それが
今の私が選びたい生き方。
