このままでは苦しかった。
「このままでいいのか」
「別れた方がいいんじゃないか」
何度も考えた。
それでも
手放すことはできなかった。
苦しいなら、離れる。
外から見れば
簡単な答えかもしれない。
でも
関係を終わらせることは
あまりに怖くて、動けなかった。
苦しいまま立ち尽くしていた。
あの頃の私にとって
彼を手放すことは
ひとつの関係を終わらせることではなかった。
自分が幸せになることまで
諦めることだったから。
失うのは彼だけじゃなかった
一緒に過ごしていく中で
ふたりの間には
色々なものが積み重なっていく。
一緒にいた時間。
何気なく繰り返していた日常。
ふたりにしか分からないこと。
嬉しかったことも
傷ついたことも
何度も話し合ったことも。
うまくいかないたびに
それでも関係を続けようと
頑張ってきたことも。
そうやって
その人との関係は少しずつ
自分の生活や、自分自身の一部にもなっていく。
だから
関係を手放すとき、
失うように感じるのは
彼だけじゃなかったりする。
過ごしてきた日常も
積み重ねてきた時間も
彼と一緒にいた自分も。
手放すという決断の中に
いくつもの喪失が
重なっていることがある。
「今度こそ」と夢を見た
愛すること。
愛されること。
一緒に生きていくこと。
ずっと
そんなふうに誰かと
繋がって生きてみたかった。
でも同時に、
そんな幸せを望むこと自体
どこか身の程知らずなことのように感じていた。
私には
そんな未来は来ないと
疑いもせず、信じていた。
それでも
今度こそ
愛されるかもしれない。
私も愛されていい存在なんだと
思えるかもしれない。
そうやって
恋愛するたびに
夢を見た。
だから
彼を手放すことは
「私にもそんな人生が
あるのかもしれない」と
少しずつ
大切にかき集めてきたわずかな希望まで
失うことだった。
「やっぱり私は愛されない」
「またか」
関係が終わるたびに
そんなふうに思った。
今回も選ばれなかった。
関係が終わることは
私にとって、
“やっぱり私は
愛される存在じゃなかった”という
自分自身に対する答えになっていた。
だから
怖かったのは
彼がいなくなることや
思い描いていた未来が
なくなることだけじゃなくて
彼を手放すことで
ずっと心にあった
“私は愛されない”が
確かなものになってしまうことだった。
「手放せない」の奥にあるもの
あの頃の私は
どこにもいけずにいた。
このままでいることも苦しくて。
手放すことも苦しかった。
あの関係には
昔から私の中にあった怖さも
その怖さと一緒に
求め続けてきたものも
いくつもが重なっていた。
苦しいのに
どうしても手放せないとき
「私は、この関係を手放すことで
何を失うと思っているんだろう」
「何がこんなに怖いんだろう」
そんなふうに
ひとつずつ見ていくと、
自分が何を失いたくなかったのか。
何を大切にしていたのか。
その奥にあったものが
少しずつ見えてくる。
私の場合は
怖さも、痛みもあって。
そして
「私も愛されるのかもしれない」と
信じていたかった気持ちがあった。
そこまで見えてきたとき
もうひとつ、自分に聞いてみてほしい。
「私は、本当はどうしたいんだろう」
どんな関係を生きたいのか。
何を大切にしていきたいのか。
相手がどうするのか、
この選択の先に
どんな未来があるのかは
誰にも分からない。
だからこそ
自分の人生の行方まで
相手の選択に
委ねてしまわないように。
自分が感じていることも
自分が望んでいることも
ちゃんと自分の中に持っておく。
今すぐ答えが出せなくても、
これからを自分で選んでいくことはできるから。
怖さがあっても
迷いながらでも
少しずつ。
自分の人生を
もう一度、自分の手に
戻していけますように。
このブログでは
恋愛や人間関係の中で感じる苦しさを
愛着や心の仕組みから
ひとつずつ紐解いています。

