このページは高校生の古典お学習を意図して作ったものです。
古典文法公式9:助動詞:べし
A・基本知識:覚えるべきポイント
「べし」の意味は、推量・意志・可能・当然・命令・適当・予定である。「スイカトメテヨ」と覚えよという昔からの語呂合わせが有効。「べし」の基本的意味は「当然」だが、微妙なニュアンスの違いは文章全体から考えて識別する必要がある。「返す返す心は素直なるべきものなり」の意味は当然、「家の作りやうは夏を旨とすべし」であれば適当と考えられる。ただし、Bの例文の解釈でも、例えば当然・適当・命令などは明確な判別が困難なことも多い。予定は「舟に乗るべき所へわたる」(乗ることになっている所)のようなケースである。
■→接続と活用:接続は終止形(ラ変には連体形)。活用は形容詞型。
B 基本問題:意味・活用形・口語訳を確認!
ア:龍に乗らずは、渡るべからず。
イ:この人々の深きこころざしは、この海にも劣らざるべし。
ウ:必ず来べき人のもとに車をやりて待つに、
エ:金(こがね)は山に捨て、玉は淵に投ぐべし。利に惑ふは、すぐれて愚かなる人なり。
オ:潮満ちぬ。風も吹きぬべし。
カ:必ず救い参らすべし。
キ:御疑ひあるべからず。
ク:羽なければ、空をも飛ぶべからず
ケ:月の影はおなじことなるべければ、人の心もおなじことにやあらん。
コ:作文の(船)にぞ乗るべかりける。
解答
ア・可能・未然
・龍の乗らなければ、渡ることはできない。
イ・推量・終止
・この人々の深きこころざしは、この海にも劣らないだろう。
ウ・当然・連体
・必ず来るはずの人のところへ車をやって待っていると
エ・当然(適当・命令)・終止
・金は山に捨て、玉は淵になげるべきだ。利益に惑うのはひどく愚かな人である。
オ・推量・終止
・潮が満ちた。風もきっと吹くだろう。
カ・意志・終止
・私が必ずお救い申し上げよう。
キ・命令・未然
・お疑いになってはいけない。
ク・可能・未然
・羽がないので空を飛ぶことができない。
ケ・当然・已然
・(中国でも日本でも)月の光は同じはずなので、人の心も同じことなのでしょう。
コ・適当・連用
・漢詩文の船に乗ればよかったなあ。
C・入試問題
■1:次の「べき」と同じ意味の「べし」を含む文を選択肢からから選べ。いづれにも、心ざし浅く、稽古工夫おろそかなる不堪無智の人の、けだかう幽遠のことわり離れたる境、おぼろげにも知るべきにあらずとなむ。
選択肢
① 舟に乗るべき所へわたる
② 物ひと言いひおくべきことあり
③ 家の作りやうは夏をむねとすべし
④ 今の世の人のよみぬべきことがらとは見えず
⑤ をとこわづらひて心地死ぬべくおぼえけり
■2:次の傍線部と同じ用法のものを一つ選べ。
かくてしもやはありはつべき。
選択肢
①ほめられなばこそうれしかるべきに
②人のもとへ言ふべきことありて文やる
③拙なき文なれば人の見るべきにあらず
④草茂りて分け入りぬべきやうなし
解答:1=④:可能・2=③:適当