このページは高校生の古典の学習を意図して作ったものです。
古典文法公式16:格助詞:に
A・基本知識:覚えるべきポイント
1:格助詞の「に」については基本的に現代語と同じ用法であるので細かくその用法を覚えることに労力を割かなくてもよい。ただ、「に」の識別問題では、格助詞の「に」についてイメージを持っていることも大事。例文を示すので、どの用法に当たるか、考えてみよう。
用法・選択肢→ア 動作の目的・イ 受身の対象・ウ 時・エ 添加・オ 原因・カ 場所・キ 対象・ク 使役の対象・ケ 帰着点・コ 比較の対象・サ 変化の結果
① 十二日、山崎にとまれり
② 春の日に雪仏を作り
③ 行き行きて駿河の国に至りぬ
④ あの御方に奉る
⑤ 女の鬼になりたるを
⑥ すむべき国求めにとて行きけり
⑦ 近き火などに逃ぐる人は
⑧ 国の守にからめられにけり
⑨ 人に書かするはうるさし
⑩ 昼の明るさにも過ぎて
⑪ いと暗う細きに、蔦かえでは茂り
2:識別問題を考える上では次の二つのことも押さえておきたい。
一つは格助詞の「に」の基本的な役割はいま示したような用法で、「に」を含んだ文節がその下にある述部(用言)にかかっていくことである。従って格助詞の「に」は文脈上、その「に」の位置で意味を切ることができない。そこで切ると文意が成立しないことになる。
もう一つは接続。格助詞「に」は体言・連体形に接続、接続助詞「に」は連体形にのみ接続する。連体形に「に」が接続する場合には、識別が困難なことも多い。連体形の後に名詞が補えれば格助詞、補えなければ接続助詞という言い方もされるがそれで片付かないことも多い。詳しくは識別問題のページを参照。
■→識別問題へのリンク→「に」の識別
B・基本問題:A・1のどの用法か確認・口語訳を確認
ア:去年に似るべくもあらず
イ:白馬(あおうま)見にとて、里人は車清げにしたてて見に行く。
ウ:日もいとながきにつれづれなれば
エ:ある人に誘われ奉りて、
オ:よろづのことは月みるにこそ慰むものなれ。
解答
ア:コ・去年に似るはずもない
イ:ア・白馬の節会を見(るため)に行くと言って、里人は車を美しくしたてて見に行く。
ウ:エ・日もたいそう長い上に退屈なので
エ:イ・ある人に誘われ申し上げて
オ:オ・すべてのことは月を見ることで慰められるものである