■公式34:願望終助詞:ばや・なむ・もがな・しが 

 

A 基本知識を確認

 

1:願望を表す終助詞群である。

 

2:ばや・しが」は自己の願望を表し、「~たい」と訳す。「ばや」の古典的な覚え方に「バヤリースを飲みたい」がある。同様に「しが」には「てしが・にしが・てしがな・にしがな」などのバリエーションがあるが、願望の基本は「しが」にあるので、「志賀・滋賀に行きたい」と覚えるとよい。

 

3:それに対して「なむ」は他にに対する願望を表す。誰かに、何かに対して「~してほしい」と願望する。「いつしか梅咲かなむ」を覚えたい。「早く梅が咲いてほしい」(「し」は強意の副助詞で「いつしか」は「早く」という意になる)という意味。「なむ」の識別において、終助詞「なむ」が未然形接続であることは重要。

 

4:もがな」は実現不可能な願望。「心あらん友もがな」で覚えたい。「情趣を解する友がいたらなあ」と意味を取る。宝くじで10億円当たったらなあという思いで「10億もがな」と覚えるといいかもしれない。

 

■→識別問題リンク「なむ」の識別

 


B・基本問題:口語訳を確認!

 

:あはれ知れらむ人に見せばや
:小倉山峰のもみぢ葉こころあらばいまひとたびのみゆき待たなむ
:さやかにも見てしがな
:心あらん友もがなと都恋しうおぼゆれ。

 

解答
:自己希望
・ものの情趣が分かる人に見せたい。
:他への希望
・小倉山の峰のもみじ葉よ。お前にもし心があるならもう一度の天皇のお出かけを(散らずに)待っていてほしい
:自己希望
・はっきりと見たいものだ。
:実現不可能な願望
・情趣を解する友がいたらなあと都が恋しく思われる

 

 

C・入試問題

 

■ 「ばや」と用法上合致する「ばや」が用いられているものを選べ。
→「ばや」の識別
園の別当入道は、双なき包丁者なり。ある人のもとにて、いみじき鯉を出だしたりければ、皆人、別当入道の包丁を見ばやと思へども、・・
選択肢
1:紅葉すればや照りまさるらむ 
2:春の花のとく咲かばや 
3:ほととぎすの声を聞かばや

 

解答=3