2人で歩いて行くと、

ハドソン川の手前に、

鉄道の操車場を再開発した、

複合商業エリアがある。

 

それが、ハドソンヤード。

 

※前回のお話し

 

 

それにしても、、、

 

ウェンディと、

歩きながら、思った。

 

自分なんて、

数カ月に1,2回、

お店を訪れるだけ。

 

しかも、東洋人なのに、

なんで、彼女は覚えていたのか❓

 

話もロクにしたことないのに。

 

 

彼女からの相談もあるけど、

カフェで席に着くと、

まず、そのことを尋ねてみた。

 

「よく俺のこと覚えていたね」

 

「ヨシオ、いつもハリーばっかり」

「楽しそうに話していて」

「私の列には並んでくれなかった」

「だから、気になってた」

 

え❓

 

なんだ、それ。。。

 

※ハリーとマーヴ(イメージ)

 

ウェンディの働くデリは、

ハリーとマーヴが共同経営してる。

ホームアローンでは、悪人だったけど、

すっかり更生して、今はイイ人。

(想像)

 

オッサン2人のレジは、列が短い。

 

 

ウェンディの列は、

飢えた狼達が行列だし、

トムのオキニなんで、

自分は、遠慮してた。

 

以前、たまたま、

大谷翔平のティシャツを着て、

お店に行ったら、ハリーと盛り上がり、

それ以来、行くと野球談議。

 

ウェンディによると、

自分が来店すると、

ハリーはご機嫌らしい。

 

ハリーはヤンキースファンだけど。

今年は、ショーヘィが3冠王貰うよ。

(笑)

 

「それにね」

 

「それに❓」

 

「1年前のヨシオ、かっこよかった」

 

1年前・・・

 

デリで並んでいると、

強盗が押し入ってきた。

 

さ~っと、人が外に逃げ出す。

静まり返る、店内。

不安そうな、ウェンディ。

 

最近、アメリカの大都市じゃ、

ニュースにもならない光景。

強盗や万引きが酷くて、

大手チェーンの閉店も多い。

 

マクドナルドなんかは、

完全キャッシュレスだし、

現金メインの中小デリは、

強盗の標的になりやすい。

 

ハリーも、諦めたように、

お金を差し出そうとする。

 

「ヤメロ!

 

思わず、声を出してしまった。

 

「ヘイ、ジャップ」

「痛い目に遭いたいのか」

 

強盗が振り返り、

ナイフをこちらにむけてくる。

 

こうなったら、一か八だ。

 

「オマエはすでに死んでいる!

 

「アチャ~」

 

高速チョップを繰り出すと、

強盗はナイフを放り出して、

デリの床に倒れ込んだ。

 

「ふぅ~」

 

気分は、北斗の拳の

ケンシロウ

 

実は、工場立ち上げで、

ウィルミントンに、

長期滞在していた際、

テニス勝負だけじゃなく、

エディから武術も教わっていた。

 

エディありがとう。

武術、役に立ったよ。

※危険なので警察に任せましょう

 

騒ぎが鎮まると、

遠巻きの人の中から、

トムが駆け寄ってきて、

 

「大丈夫か」

「俺も今、やっつけようと思ったんだ」

「俺が出るまでもなかったな」

 

自分の手柄みたいに話してる。

 

 

オイオイ。。。

 

 

でもまあ、1年も前の話だし、

その後は、店に行っても、

平穏だったので、すっかり忘れていた。

 

※ウェンディ(イメージ)

 

そんな話をしながら、

尊敬のまなざしで、

自分をみつめる、ウェンディ。

 

自分は知らなかったけど、

後でミノルから聞いたところ、

生物学的に裏打ちされた、

恋愛の法則

というのがあるようだ。

 

①投資の理論

子孫(DNA)を残すのが生物の本能。

男性は、毎日でも子孫を残せるけど、

女性は、1年弱に1回しか残せない。

男性の浮気が多いのも、そのため。

女性の方が、限られた出産回数の中で、

優秀な子孫を残そうと、

相手をよく見極めるとか。

 

②足し算と引き算

①に関連して、男性は惚れやすいけど、

事を済ますと冷静になり、

引き算で相手を見るようになる。

逆に、女性は最初は距離をとるが、

イイところを見つけると、

足し算のように、積み重なるらしい。

 

③回顧バイアス

印象に残る出来事があっても、

毎日逢っていると忘れがちだが、

逢えないことによって、

実際よりも美化された、

思い出として心に残るみたい。

※あくまでミノルから聞いた話です

 

・・・そうなのか。

 

だから、毎日、

ウェンディの列に並ぶトムより、

自分の方がポイントが積み上がり、

強盗事件の一件で、確変突入。

 

美化されすぎて、

ホントにケンシロウみたいに、

思えたのかも知れない。

(爆)

 

って、全然わからなかった。

(汗)

 

※ハイライン

 

そんな話を聞いた後、

ニューヨーカーの定番スポット

ハイラインで、お散歩デート。

 

ピッタリと肩を寄せて、

腕を絡めてくるウェンディ。

 

ちょっと展開、早すぎないか。

 

欧米の女性って、肉食だからか、

強い香水つけてる人多いけど、

ウェンディからは、花のような、

ホンノリとイイ香りが漂う。

 

そろそろ、日が暮れる時間。

 

「ウェンディお腹すいた❓」

 

「実は、朝から食べてないの」

「今日が楽しみすぎちゃって」

 

ウェンディ、見た目は、

とっても気が強そうなのに、

案外、可愛いこと言うな~、

意外。

 

「じゃ、ご飯でも食べに行こっか」

「オスシは大丈夫❓」

 

「オスシ❓」

「あの、廻っているやつ❓」

 

「いや、廻ってないやつ」

 

「そんなお店行ったことない」

「高級な店は無縁なの」

 

「じゃあ、行こう」

 

「嬉しい💖」

 

「でも、ヨシオとならどこでもイイよ」

 

謙虚な、ウェンディ。

 

デリで働く彼女にとって、

お寿司は高級料理らしい。

 

ニューヨークだと、

2023年に出店した、

くら寿司 でも、

1皿3.75ドル

1皿581円

※1ドル155円換算

それに、+チップも、

最低20%はかかる。

 

だから、手が出せないかもな。。。

 

ニューヨークでの生活、

現地の人だって大変だと思う。

 

でも、ここは、ウェンディに、

イイところ見せなきゃなので、

 

※初花のお寿司

 

初花 さんに。

 

日本出身の職人さんが、

上質のネタを仕込んで、

丁寧におもてなしをする、

なんちゃってじゃない、お寿司屋。

 

※初花にて

 

お寿司食べて、お酒も飲んで、

すっかり気持ちよくなったけど、

「相談」の件、聞いてなかった。

 

「ところで、相談の件って❓」

 

「ヨシオ、明日は時間ある❓」

 

「明日は、一日大丈夫だよ」

 

「じゃあ、明日話しするね」

「明日、朝から会いましょ」

 

「いいけど」

「仕事、大丈夫なの❓」

 

「大丈夫、大丈夫」

「アンに行ってもらうわ」

 

アンは、ウェンディのルームメイト。

クイーンズのアパートの一室を、

4人でシェアして暮らしているらしい。

 

※アン(イメージ)

 

いわば、デリのスーパーサブ。

 

彼女なら、男性客も喜ぶかもな。
ハリーとマーヴも歓迎らしい。

男って、単純な生き物だ。

 

ただ、トムのことが、気になる。

明日、デリに行く気満々だったし。

 

 

トム、これは、

相談って言われたから。

仕方なく、仕方なくだよ。

 

多分。

 

(つづく)