現地3日目、この日は、

アメリカの高速鉄道、

アムトラックに乗って、

わが社の工場がある、

デラウエア州のウィルミントンに。

 

※前回のお話し

 

 

朝5時には起きて、6時過ぎには、

ホテルを出て、9番街を南へ。

 

街並みや、車を眺め、

歩いているだけで、

映画のワンシーン

に入り込んだような、錯覚。

それが、ニューヨーク。

 

※ペンシルバニア(ペン)ステーション

 

ホテルから歩いて15分ほどで、

ペンステーションが見えてきた。

 

アムトラックって、

一時は経営破綻し、

経営が厳しいのに、

ペンステーションも、

グランドセントラルステーションも、

ユニオンステーションも、

無駄に立派。

※グランドセントラルは別事業者

※ユニオンステーションはワシントンD.C.

 

まるでパルテノン神殿。

 

この地下にホームがあって、

そこから、ワシントンD.C.や、

各方面へ出発している。

 

ウィルミントンは、

ニューヨークからワシントンD.C.、

320キロの、およそ中間地点。

 

東京から静岡あたりの距離。

所用時間は約90分。

高速鉄道と言っても、

新幹線という感じじゃなくて、

私鉄の特急くらいな感じ。

(苦笑)

 

※アムトラック

 

どういうワケか、出発番線は、

直前にならないと分からないので、

乗客はコンコースで待機して、

出発の10分前位に、下の地下ホームに、

一気になだれ込むのが、

ペンスタイル。

 

ご注意下さい。

 

 

※アムトラック(イメージ)

 

ニューヨークを出て、

ニュージャージを抜けると、

ゆっくり動く車窓からは、

ローカルな光景が広がる。

 

IT社会

超スピード進化の時代に、

アムトラックの鈍行感、

癒される感じがするなあ。

 

ただ、この鉄道もだけど、

道路とかインフラの老朽化が、

アメリカは深刻な感じがする。

ロケットを飛ばす技術があっても、

空港とか鉄道とか、雑な感じ。

※個人的な意見です

 

マックのコーヒーで、

訴訟問題になる国なのに、

道路の穴で事故があったら、

莫大な金額請求されるのでは❓

飛行機や鉄道の遅延は、

訴訟問題にならないのか❓

 

余計なお世話だけど。

 

※エディ(イメージ)

 

ウィルミントンに着いて、

タクシーで工場に行くと、

工場長のエディが出迎えてくれた。

 

※シャーリー(イメージ)

 

品質管理部長の、

シャーリーも一緒だ。

 

彼女、エディの片腕として、

プロダクトアウトの思考に、

陥りがちな素材メーカーのわが社に、

マーケットインの思考を持ち込み、

業績アップを果たした立役者。

 

エディは開口一番、

 

「ヨシオ、トム待ってたよ」

「今日は、テニスできるか❓」

 

工場の新規立ち上げの際、

トラブルが続いて、

日本からきた応援部隊と、

現地組が険悪になった。

 

その仲をとりもったのは、

自分とエディのテニス勝負。

 

アフリカ、ザムンダ王国の、

王族出身のエディは、

スポーツ、武術が万能。

 

自分は、富山県の庶民出身。

大学のウェイブテニスクラブで、

主将を務めたのが唯一の自慢。

(笑)

※注※

その時の仲間が、ケンイチとミノル。

2人は、日本編で登場します。

 

「テニスは今度たっぷりしよう」

「まずは、プランを固めなきゃ」

 

品質の管理、歩留まりの向上は、

他社に先駆けてデジタル化を導入し、

コスト削減を実現しているので、

ほとんど問題がなかった。

 

問題は、人件費。

 

ニューヨークでは、

年収1500万円

以下は低所得者

とされているけど、

地方にも賃金高騰の波が。

 

円安の影響もあって、

エディも、トムも、シャーリーも、

円換算すると、

自分より遥かに年収は高い。

 

だけど、アップを渋って、

人材流出したら、元も子もない。

 

「10%アップでどうかな」

「業績連動でボーナスも」

 

「お~みんなも喜ぶよ」

「4人の未来に乾杯だ」

 

ミネラルウォーターで乾杯した。

 

これから、新たな挑戦の日々。

超大手のBASFや財閥系と違って、

中堅のわが社が生き残る為には、

現場への細かい目配りが大事。

それが、新たな創造も生んだりする。

 

エディ頼む。

 

会議、工場の視察を終えて、

ニューヨークにトンボ帰り。

アムトラックの中では、

トムもご機嫌だった。

 

「これでバッチリだ」

「ヨシオ明日は出社しなくてイイよ」

「もうやること終わったし」

 

「そうさせてもらうわ」

「明日はしっかり研修する(笑)」

「明後日、帰国前に行くよ」

「本社との会議あるから」

 

「そうしてくれ」

 

さては、トム、明日、

1人でデリに行くつもりだな。

青春だな~。

 

ペンステーションに戻り、

この日は直行直帰なので、

トムとはお別れ。

 

 

トムの後姿を見送りながら、

反対側の売店、

ハドソンニュース

の方を見ると、その片隅に、

 

※ハドソンニュース(イメージ)

 

ウェンディが立って、

手を小さく振っている。

 

トム、ごめん。

 

ウェンディのラインに連絡したら、

相談があると言うので、

仕方なく会うことにしたんだ。

 

仕方なく、だよ。

 

・・・多分。

 

 

小走りで彼女に近寄って、

ニヤケすぎないよう、

注意しながら声をかけた。

 

「待たせちゃったかな」

 

「ううん、そんなことない」

「とっても楽しみだったし💕」

 

「なんか照れるね」

「とりあえず・・・」

「カフェで話しよっか」

 

「うん」

 

駅のコンコースから地上に出て、

ハドソン川方向に、34st を歩く。

 

川から吹いて来る風が涼しいのと、

通りに差し込む太陽が眩しいからか、

ウェンディがカラダを寄せてくる。

 

マ、マズイな・・・。

 

(ピーピーピー)

 

草食男子なんで、脳内で、

警告音が鳴り響いてるけど、

ここは、耐えなきゃ。

 

なんとか、凌ぎきって、

ハドソンヤード

のカフェに入った。

 

(つづく)