back to my memories in London #7 | sorariri89のブログ

sorariri89のブログ

「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」の
ヤフー「みんなの感想」から広がったブログです。書くことが好きで、日々の出来事から感じたことや自分のこと、ドラマのことやエッセイ、詩、時には小説、など綴っていきますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

これは80年代の曖昧な記憶を元にしたロンドンホームステイ自叙伝(もどきあしあと)です。

ときにフィクション混ざるかもなので…


どうぞよろしくお付き合いくださいお願い


🇬🇧🇬🇧🇯🇵🇬🇧🇬🇧🇯🇵🇬🇧🇬🇧

#7

ポートベローのマーケットでナンパされた私

その経緯は…



クラスメイトと一緒に眺めたり、また一人で覗き込んだりしながら通りを進んでいた。


周囲に殊更注意を払ったりもせず、


横に立った男の人が私が手にしたものにコメントしたりすると、適当に愛想を返したりもした。


うん?

なんかこの人さっきもいなかった?


私と同じペースで屋台を見て回ってるのかな、と思うようにした。


離れていたクラスメイトが戻ってきて、あれがどう、これはどう、とか、軽く言葉を交わす。


また別の子が、ちょっと自分が選んだものをどう思うか見てほしいと言うから、ついて行く。


お買い物ではけっこう私のセンスが頼りにされていた。たぶんそこで何かアクセサリーを買ったと思う。私も一緒に満足してまた足を進めていると


また居た。あの人


今度はニコッと私に笑いかけてきて、

「友だちはいい買い物ができた?」

とかって聞いてきたから、

うん、と頷いた。


そこから色々と私に話しを振ってきて、なんだかんだと会話を続けることになった。


自分は日本で仕事していたことがある、とも言っていた。確か保険会社か証券会社に勤めているとかで、紳士的なビジネスマンという印象だった。


私がこの中でいかに目を引く存在か、みたいなことを遠慮がちに言う。そんなこと口にするんだ、と驚く私。


「もしよければ一度どこかに出かけないか」

と言うので、ちょっと迷ったけど悪い人ではなさそうだったのでOKした。なんか面白いかも


相手の名刺をもらった。なんと日本語。ルパートなんとかという名前だった。後はもう忘れた。

私は下宿先の電話番号を教えた。


後でみんなとお茶しながら、ナンパされたかもしれないと言うと、キャッキャと冷やかしてくれた。遠巻きに見ていた一人が、わたしのタイプという感じではないと言う。


正直言うと正解。苦虫かみつぶす。


全然惹かれる外見ではなかったのだ。


ロカビリーくんなら喜んで行ってたのに…

思い通りにはいきません。


翌日だかに

下宿先に電話があり、じいちゃんが取り次いでくれた。そして次の休みに、と約束をした。


じいちゃんはめちゃ警戒モードで、当日車で家まで迎えにきたら、私より先に出て品定めをしていた。相手はめちゃ緊張して、車の中で苦笑いして皮肉を言っていた。


さあ、どこへ行こうとなり、多分街中をぶらぶらしたように思う。そのときに、夕方から日本から来た「鬼太鼓座」の公演があるから観に行こうと言う。「鼓童」だったかもしれないけど。


えーっ?だ


私にすれば、なんでわざわざロンドンくんだりまで来て和太鼓のパフォーマンスを観なきゃいけないのか、って心境になり、なんかこの人違うかもって思った。私の趣味とかは話しているのに、ちょっとズレてる。鬼太鼓座が悪いと言っている訳では決してないので悪しからず


礼儀正しく断ったら他の選択肢は用意されていなかった。

それも、どうよって話し


すると、困ってしまったのか

ひとり暮らししているフラットがすぐ近くだから来るか?と言うので、瞬間考えて、行くことにした。


客観的に聞くとちょっとヤバヤバ???

向こう見ずにも程がある?


でも、何かあれば私は絶対この人から逃げることできる。そんな妙ちきりんな自信はあった。

私の方が強いと…

動物的勘というか、それほどヤバそうというアラーム鳴る瞬間もなかった。


時代でもあり、年齢でもあり、というところかもしれない。


とにかく家を見たいという気持ちが勝って、喜んで招待されたのだった。


小汚い下宿屋しか知らなかった私は、明るくモダンで小綺麗な住まいがやけに眩しかった。


白い壁はシミもなくどこまでも白かった。ソファもどこに座っても座り心地悪くなかった。


脚の高いアイロン台が出しっぱになっていて、ちゃんとワイシャツにアイロンをかけているのが想像できた。


彼はいわゆるヤンエグだったのかもしれないけど、

及第点超えの部屋に反して…


彼はテレビをつけて、ちょうど競馬が始まると、いそいそとチャンネルを合わせたのだ。


飲み物を出すこともせずに


これにはちょっと…


ソファに本気座りしてレースの成り行きに一喜一憂する彼。


私は離れてLDKのその部屋をキョロキョロと見回していた。それなりに男のひとり暮らしという大雑把も感じられたけど、無秩序ではなかった。


彼は時々大きな声を出したり、手を叩いたりしている。私のことは眼中にないようだった。


イギリス人だから競馬に熱くなってしまうのか、それともただのギャンブル好きなのか、ちょっと見極められなかった。


でも、いずれにせよ

招いた女の子ほったらかして


やっぱないわ…となった。


競馬が終わって、私は帰ることにした。


車から降りるとき、ちょっとバツ悪そうにしている彼が次を切り出しても、


ありがとう、でももう会うつもりはないとハッキリと告げた。彼も感じていたから、食い下がることもなかった。


多分根は真面目で仕事もできるのだろう。でも私から見て惹かれる要素が残念ながらこれっぽっちもなかった。2回目には変わっていたかもしれないけど、縁がなかったのだと思う。貴重な体験ありがとう。バイバイ


玄関開けると、いつもなら完無視のじいちゃんがすぐに顔を出した。いつになく世話も焼く。

心配してくれていたのか…

そう思うと、くすっとなった。


後日ポートベローへもう一度だけ行った。

たくさん人がいるにも関わらず、なんと彼を見かけた。引きの強い私というか、なんだかなあ…


彼はどうやら"日本人"の女の子が好きなのだ。

そのとき分かった。


彼はきっと本気なんだ。そう思えた。

いつかピッタリの相手と出逢えるといいね、


私はそっと気づかれないようにその場を離れた。



To be continued ダッシュ