梅野顕司先生の作品は形の再現ではなく、色彩の平面で画面を構築しています。 
さまざまな色が、自身がもつ「音色」を 発揮して、オーケストラのような美しいシンフォニーを奏でている絵だと思います。
 そんな中で、ちょっと異質な存在感を放っている作品がとても気になっています。
 世界中から観光客が集まりすぎる現象「オーバーツーリズム」は、コロナの反動なんでしょうね。しばらく前にベネチアも観光客の制限をしていました。 
それに引き替えこの作品「ベネチア 夜」F8号の引き込まれるような静けさと美しさ。 
暗い路地を曲がりくねった先に見つけた灯りに誘われて、ドアを開けるときめきの瞬間。旅人にとってまさにたどり着いた約束の地。
 この絵に描かれた路地の先にも、時代を超えたそんな素敵な時間を味わえる出会いが待っている予感がしませんか。 

 あべのハルカス美術画廊
梅野顕司個展 
 11月25日まで