「天窓の向こう」
曽根絵里子「テラコッタの詩人」
8月28日まで仙台藤崎デパートで開催中
「子供の頃、閉じられた本の中で起きていることをよく空想しました。
物語のその後
書庫の端で拾った焦燥
形のないもやりとしたものは今も傍にあり、私はいつも視野の端で焦がれています。
テラコッタとは素焼きの土のことで、陶器と呼ぶには不完全な状態です。
柔らかく暖かく乾いたその在り様を風化して行く空想と重ね、思い出せない記憶を手繰り寄せるような気持ちで制作しています。
いつかの心象風景に輪郭を与える作業です。」
テラコッタの作品の中にも本が登場する。
それはただの本ではなく、物語がたくさん詰まった、少女の夢の翼となって創造の世界に遊ばせてくれるものだった。ストーリーを想像しながら作品を鑑賞しているだけで、最近稀薄に感じていた日常が充たされた。本を抱き締めていた懐かしい日々を取り戻したくさせてくれる。
「海にいるのは、あれは、波ばかり。」