そうじゃない…よ! | 空の宇珠 海の渦 

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-そらのうず うみのうず-
空海の小説と宇宙のお話

 

 

 

 

 

これは、よくあること?



だと思っているのだが…





時々、思っていたことが違う形で実現される。




私は「そうじゃないシンクロ」と勝手に名付けている。




例えば…



私は若かりし頃、マニュアルミッション(MT)の車に乗っていた。



現在はオートマティック(AT)車なのだが、



時々MT車に乗りたくなる。




この辺りでいうと、吉野や天川辺りの山道など、



エンジンブレーキを多用したくなる時である。




そう思っていると…この前…




母を歯科医院に連れていった際、車を置く場所がなかった。




私は「他に置くところないですか?」と先生に尋ねると…



「車、マニュアル動かせる?」と逆に聞かれた。



止めてある軽トラを、移動させて欲しいというのだ。




私はキーを預かって軽トラに乗った。



最近はAT限定の免許も有り、動かせる方も少ないようだ。




そういう私も二十数年ぶりである。




クラッチを踏んでニュートラルを確かめる。



キーを入れて回すも、セルモーターが回らない。



「おや…?」


セルモーターが回らないのはおかしい。




私はクラッチを踏んで、ブレーキも踏んでみた。



するとエンジンがかかった。




安全対策か?



私がエンジンのかけ方を忘れていたのか?



昔の車はニュートラルでエンジンがかかった気がするが…



まあいい…



マニュアルでクラッチを繋ぎ、軽トラの車庫入れをした。



久しぶりのマニュアルの感覚は楽しかった。



そして、思うのである。




「そうじゃないよ…」




私は山道を走りたかったのであって、車庫入れではない。



だが、マニュアル車には乗れたのだ。

 

 

 

「今はエンジンのかけ方も違うのだよ!」

 

 

 

少しどきどきも味わせて頂いた。

 



一応、想いはかなっているのだろうか。

 




数日後、和歌山に大雪が降った。



私は買い物に行くのに、車の雪下ろしをした。



20㎝以上は積もっている。



私は車の中に入れている、スノーブレードで雪を下ろす。



全部の雪を下ろすのに20分ほどかかった。



そして、思うのである。



「そうじゃないよ…」



私はスキーに行きたいと思っていたのだ。



まさか温かい和歌山で雪に触れるとは思わなかった。




しかし、雪を下ろしている間は妙に楽しかった。



スキーに行った時の事を思い出していた。



一応、想いは叶ったのだろうか?




勿論、完全に実現することもあるのだが、



ときどき起きるシンクロである。




「それで、ええやろ…」



これで、我慢しておけ…



そう言われているようでもある。




「そうじゃないシンクロ…」




「私だけ?」だろうか…



と、気になっている。