「ほう…」
真魚が笑みを浮かべた。
金色の光。
その柱が二人を包み込んでいく。
同時に舞衣の胸が耀き始めた。
その光が広がり昴に伝わる。
古の神の力と血。
二つの鍵が、扉を開こうとしていた。
「ああ…」
昴は思わず声をだした。
舞い降りる金色の光の粒。
その波動が、昴の心を揺らしている。
大いなる慈悲の光。
その尊さに、二人の心が揺れた。
「なんて…悲しいの…」
「これが…」
「受け入れるということなの…」
全てを受け入れ、包み込む。
その慈悲の心に、舞衣は埋もれた。
舞衣が、自らの身体を抱きしめた。
涙が溢れ、止まらなかった。
舞衣はその切なさに、身を焼かれていた。
「これが…」
昴の瞳から、涙がこぼれた。
「これが…本当の…」
その光に抱かれ、昴はそう感じた。
「あっ!」
目の前に突然現れた耀き。
『大いなる意思を受け継ぐ者達よ…』
二人の心にそれは響いた。
言葉では無い。
だが、はっきりと聞こえる。
「か、神…様…」
舞衣がその名を口にした。
二人には、その姿がはっきりと見える。
その存在が全てであり、答えであった。
「面白い…」
真魚は後ろで笑っている。
『今、扉は開かれた…』
その声はそう言った。
『我が力、使うが良い…』
さらなる光が二人を覆った。
「古の神…」
舞衣はそう思った。
全てのものが一気に流れ込む。
舞衣と昴は、そのものに混乱している。
『今はその時ではない…いずれその時は来る…』
その声はそう言うと、光と共に消えた。
『黒き闇迫り、神の血を穢す時、
光現れ、古の力が開かれる。
新たなる神の地が、人の導きとなろう…』
舞衣は、その言い伝えを口にした。
「古の力…」
舞衣が両手を見つめている。
自らの中に溢れるもの…
それを確かに感じていた。
その手に光の粒が舞い降りた。
その瞬間…
舞衣の瞳から光がこぼれた。
「ああ…」
それは、舞衣の悲しみであり、希望でもあった。
大いなる光の粒を抱きしめ、舞衣は泣いた。
全ての悲しみが溢れ、なくなるまで…
溢れた悲しみの隙間に、光が射しこんでくる。
大いなる慈悲の光。
舞衣はその尊さに触れ、光と溶け合っていた。
続く…
-この物語はフィクションであり、史実とは異なります。
実在の人物・団体とは一切関係ありません-