
幸いなこととしては、年齢の割に「がん以外はけっこう元気」だったことです

まあ、飼い主としては正直「がん以外は元気なのになんで…」と、へこみもしましたが

17歳という高齢で慢性腎不全の持病があるのですが、腎臓用処方食を食べ続けていた甲斐もあって、腎不全のレベルとしてはごくごく軽度

そうなると少し治療の幅が広がります

(腎不全が重度だと、使えるお薬にも制限が出てきます)
そこで、迷わず「食道チューブの装着」を緩和ケアの柱として行うことにしました

(以前、書いた栄養チューブに関する記事はこちら)
食道チューブをおすすめすると、「そこまでしたくない」と言われることが多いのですが、口腔内扁平上皮癌ではやはりおすすめです。
なぜかというと、


そう、病気でしんみりしているのは人だけ。
猫たちにしてみれば、内臓は全然元気なので、急に口に石でもはめられて食べにくくなったのと同じことなのです

この病気では食欲が落ちるより先に、口が痛い and/or 口が動かなくて食べられなくなってしまいますので、チューブから補給して「満腹」にしてあげる、という仕組みです

実際、はじめはやらないことにした飼い主さまも「猫のごはんの熱烈な要求に耐えられない」という理由から、食道チューブを選択される方が多いです。
点滴じゃお腹はふくらみませんから…

もうひとつ、おすすめの理由としては、


当然「痛いのや苦しいのだけでもなんとかしてあげたい」というご要望が圧倒的なのですが、
口が痛いから薬が飲めない

チューブがついていれば、痛い口にさわることなく痛み止めなどのお薬をあげることができます

そんな理由から、ピピも食道チューブです。
腎不全は軽度ですが、やはり装着には短時間とはいえ全身麻酔が必要なので、2日前から入院してもらって静脈点滴を行いました。

ムッとしてる…


あ、意外とくつろいでる

この「がん」はみるみる大きくなっていきます。
とにかく食べられるうちに、美味しいものを

と思い、入院までの数日間はペースト状のグルメフードや、ほしがれば人の食べもの(かつおぶし、はんぺん、おでんの玉子etc…)を食べさせていました。

今までは「腎臓長持ち」を最優先していましたが、予後が短いのがわかっていますし、すぐに口が動かなくなることも想定できますので、このようにすごしましたよ

ピピにとって、贅沢ですてきな時間になるようにしてみせる…
飼い主としての決意を新たに、入院までをすごしました
