前回のブログで、卒業文集に「将来、上別縄さんのようなカメラマンになりたい」と書いてくれた子がいた、と書きましたが、こども達がくれる様々な幸せは、尽きることがありません。


 

ただ、私の場合、「もともと、誰からも好かれる性格で・・・」というわけではないので、「無かったものを、必死になって、少しずつ身につけてきた」と思っています。
 

 

 

その過程で身につけてきたものが、このブログを読んでくださる方の、何かしら、幸せにつながるためのヒントになってくれれば、この上なく幸いです。

 

 

 

今回は、一部ちょっと自慢話のようになってしまうと思うので、不愉快に感じられたら、申し訳ありません。

 

 

 

さて、その「卒業文集」の他に・・・、ほんとに、いろいろありますが、「講演」というのもあります。

 

 

 

これは、正確に言えば「こども達から」のものではないかもしれませんが、卒業アルバムを担当させていただいている学校さんで、かつて2度、「講演依頼」をいただきました。(講演料までいただいて。いただいた分、その場で寄付しましたが。)

 

 

 

6年生全員と、年によっては、その保護者の方々も来られました。これまた、どうでしょう。みなさんは、卒業アルバムのカメラマンさんの講演を聴かれたことがありますか?私は無いですし、そういう噂も聞いたことがありません。

 

 

 

その講演ですが、実は講師が誰なのかが、こども達には秘密にされていたので非常に不安でした。もし、私が講師として、こども達の前に登場した時、『えー、なんで上別縄さんが講師なのー』ってがっかりさせてしまったらどうしようと思っていたからです。

 

 

 

そもそも、講演のご依頼も何度もお断りしていました。「力不足です。」と。こども達に講演するなどというのは、プロ野球選手とか、Jリーガーや芸能人、そんな方々だと思っていました。

 

 

 

しかし、実際には、講演当日、大歓声で迎えてもらいました。子ども達はとてもビックリしたようでしたが、みんなニコニコしていました。ニコニコ

 

 

 

とりあえず、ひと安心でした。

 

 

 

人気や知名度では、そういった方々には到底かなわないけれど、「この子達に、幸せになってほしい」という気持ちが負けることはありません。

 

 

 

有名でもない私が、この子達に何を話したら、この子達のためになるのか・・・、それを一生懸命考えて、「才能と努力」について話をしました。

 

 

私は、以前、九州・福岡でスポーツの写真も撮っていたのですが、たぶん、西日本で唯一の、「プロ野球と、プロサッカーと、プロバスケットを撮るフリーカメラマン」だったと思います。

 

 

 

プロ野球と、プロサッカーは雑誌の撮影だったので、自分の撮った写真が、自分の名前と共に、世に出ます。特に、プロ野球の仕事では、「連載グラビア」の撮影もさせていただいていたので、毎月、A4サイズの誌面いっぱいに自分の撮った写真が1枚載り、そこに自分の名前も刻まれます。

 

 

 

「月刊ホークス」という「福岡ソフトバンクホークス」のオフィシャル球団誌の撮影だったのですが、写真の評判が良かったらしく、ある月は、2ページになったこともありました。しかも、この仕事は「上別縄さんが良いと思う写真を選んでください」と言われていたので、「毎月、ファンの皆さんが憧れている選手のすぐそばで、自分の好きな写真を撮って、お金をもらい、しかも自分の名前を世に宣伝できる」という、まさしくカメラマン冥利に尽きる仕事でした。

 

 

 

講演の当日は、その雑誌なども持参し、こども達に観てもらいましたが、野球の写真に興味が無い子もいたと思いますが、日頃、自分たちを撮ってくれているカメラマンの名前が、雑誌に載っていることに、多少なりとも驚いたかもしれません。

 

 

 

プロバスケットボールの撮影でも、雑誌にこそ掲載される仕事ではありませんでしたが、チームのオフィシャルカメラマンでしたので、チームのホームページにもたくさん使っていただきましたし、リーグのレジェンド選手がNHKのテレビに出たときも、その選手の背後に私の写真が大きく掲示されていたようです。

 

 

 

各競技のスター選手はもちろんですが、芸能人の方々に遭遇することもありました。

 

 

ただ、こういった華やかで、とてもやりがいのある仕事・・・、

 

 


こういったステージに立つために、少なくとも自分は相当な努力をしたと思っています。たぶん、世間一般の方々とは、ちょっと違う、「極めて地味な生活」を送り続けたと思っています。

 

 

 

撮影技術を伸ばすために、一切お金にならなくても、様々なジャンルの撮影にトライしましたし、その撮影の度に、徹底した予習と復習を繰り返しました。復習に関しては、撮影した全ての写真を、自ら7段階で評価し、その写真のどこが良くて、どこが悪かったのかを、ひたすらノートに書き記しました。その場で解決しないことは、本を読み漁ったり、撮影実験をしたり、カメラメーカーさんに電話をかけまくったりして徹底的に調べあげました。

 

 

 

赤ペン片手に読み込んだ本は数百冊、書き記したノートは1年間で50冊になりました。

 

 

プロなので、「なんとなく撮れた、たまたま撮れた」では話にならないので、「上手く撮るためのノウハウ」をこれでもかと言うほど積み上げていきました。

 

 

 

世の中の人達が「テレビだ、映画だ、ゲームだ、旅行だ、グルメだ、デートだ、最新の~、流行の~」と言ってる間、自分はそれだけをやっていました。「こんなに頑張ってるって、東大めざしてるとか、オリンピックめざしてる人達ぐらいだろうなぁ」ってよく思っていました。

 

 

 

また、費やしたのは、時間や労力だけではなく、お金も全て費やしました。勉強するには時間が必要です。でも、時間を作るにはあまり仕事を入れられないので収入は増えない。何かを撮りに行くには交通費も必要。

 

 

 

プロバスケットボールの、あるとても重要な試合の撮影のためには、1台50万円の最新カメラの購入・・・と、まさしく「人生をかけて勝負してきた」と言い切れるほどのことをしてきました。

 

 

 

カメラマンになりたての頃、「将来は、Jリーグや、プロ野球を撮れるようになりたい」と言ったら、「絶対、無理!」といろんな人達に言われましたが、自分は、自分の努力を1秒の例外なく全て知っていたので、「なれないほうが奇跡」と思っていました。

 

 

 

そして、実際、全て叶いました。

 

 

 

ひととおり、こども達にこういった話をして、こども達に伝えたかったのは、当然、「おじさん、スゴイでしょ?!」などということではありません。

 

 

 

「結果を出すには、努力が必要」ということです。

 

 

 

ただ、よく、スポーツ選手が「夢は必ずかなう」というようなことを言いますが、私はそうは思っていません。こども達には、はっきり言いましたが、「努力もせずに、成功できるほど世の中は甘くないよ」と。

 

 

 

「夢は必ずかなう」というのは、こども達に、夢や希望を持ってもらうためでしょうし、「あきらめないことの大事さ」を伝えようとしているのだと思うので、まったく否定はしませんが、世の中には、成功者の影で失敗をしてきた人達がたくさんいます。

 

 

 

個人的にも、夢をかなえられなかったカメラマンをたくさん見てきました。

 

 

 

そもそも、インタビューなどは、ほとんどの場合、成功した人にしますので、成功者は自分の体験から「夢は必ずかなう」って言う人が多いでしょう。でも、もし、失敗した人にインタビューしたら「夢は必ずかなう」って言うでしょうか?

 

 

 

私は、こども達と接する時、「こどもだから」という感覚をあまり持っていません。言葉遣いや、使う単語は配慮しますが、「ひとりの人間」として尊重し、対等に接しています。この講演は、小学6年生が相手でしたので、内容としては「大人相手と変わらない話」をしました。

 

 

 

こども達は「結果を出すには、努力が必要」などということは、百も承知なはずです。冬場など、夕方から夜にかけて、町なかを走っている子をよく見かけますが、たぶん、あの子たちの多くは、持久走大会に向けて走っているはずです。そして、あの子たちのほとんどは、自分の意志で走っているでしょう。

 

 

 

こども達は、ちゃんと分かっています。だから、幼いなりに身につけたその感覚を、大人の私が、「それは正しいよ!」って確信させ、印象付けて、背中を押してあげたかったのです。

 

 

 

こども達が、夢や希望を持ったとき、中途半端な努力をして、失敗し、自信を無くしたり、人のせいにして言い訳をしたり、愚痴を言ったりする人生ではなく、精一杯の努力をして、成功し、自分に自信を持ち、人にも優しくできる、そういった人生を送ってほしいのです。

 

 

 

(つづく)

 

 

 

今回も、読んでくださった方、ほんとうに、ありがとうございます。クローバー