先月、徳島大学、山下一太先生の
側弯症学校検診プロジェクト、
サイエンスカフェに参加しました。
ネット越しですが、山下先生のお人柄や雰囲気が伝わり、
側弯症のお話の内容と共にとても有意義な時間でした。
先生のお話の中で、
側弯症検診における課題として、
1.地域で発見率に差が発生している
2.検査方法が統一されておらず、各自治体、
各学校が独自基準で側弯検診を行っている。
3.軽度の側弯症の見落としが多い
「YouTube徳島大学定例記者会見②(令和4年8月30日)より引用」
とありました。
日本だけでなく世界でも側弯症の発生率は2~3%とありますが、
日本での学校検診における発見率が2%に達している都道府県は、
東京、千葉、広島のみ。
ついで、機器検査を導入している
静岡、兵庫(1.7%)。
発見率1%未満の都道府県は35都道府県もありました。
ほとんどが0.4~0.7%
なかには、0.2%の地域も。
(14歳女児における一時検診での側弯症の被患率2007年~2015年)
※上記YouTube徳島大学定例記者会見②より
側弯症の発見は軽度でも一般の内科医や学校医では難しく、
特に腰椎の側弯症は側弯症の専門医でも難しいということです。
腰椎カーブは家庭でのチェックは無理!とありました。
また検査機器としてよく聞く従来のモアレ検査、
製造販売が終わってしまっているそうです。
そして、特に徳島県は発見率0.4%という現状に、
山下先生はこのプロジェクトを立ち上げる発端、動機となったそうです。
先生が今回、
側弯症学校検診プロジェクトのクラウドファンディングで購入した、
『3Dバックスキャナー』
脊柱側弯症の検査用、三次元モアレ撮影装置は
身体の側面を三次元測定した定量的データを基にしていて
従来の縞に比べ鮮明でより正確な等高線を表示するそうです。
重さは20㎏ほど。
0.5秒で撮影、医療関係者以外でも撮影可能だそうです。
ここからは講演をうかがった後、私がふと感じたことですが…、
思春期特発性側弯症の手術費用は400~500万円くらいだそうなのですが、
保険3割として、120~200万円は自己負担。
しかしながら、18歳未満は育成医療等を申請すると
保険診療の自己負担額が公費によってほぼ助成されるようです。
成人側弯症も医療保険での国民皆保険制度による限度額適用認定証・高額療養費制度があり、しっかり申請すれば実際にかかる費用は大変な手術にしては飛び上がるほどの自己負担ではないよう。(地域差あるようです)
今まで手術のことは考えてこなかったので、
ざっくりしか調べてないのですが、
公費、助成の額にとにかく驚きました。
装具の助成と共にとても有り難いことです。
一方…、、、
そして、今回クラウドファンディングで購入した3Dバックスキャナーは730万円。
手術費用400~500万円は、ほぼ公費で行われている。
ここで、ん?!と…。
学校検診では多く見落とされている特発性側弯症。
早期発見、早期治療をすれば手術に至らないことも多い。
装具治療のエビデンスはある。
手術2回分の公費、800~1000万円あれば、
3Dバックスキャナー1台は730万円、
余裕で購入できるよって…。
どれだけの子どもが手術しなくてよくなるのだろうって…。
甚だ単純な計算ですが…、
手術2回分で、3Dバックスキャナーが1台買えると
1台の3Dバックスキャナーで
二人どころかもっと多くの子ども達が
大きな手術を回避できるのではないかなって…。
改めて、
保存療法の重要性、治療への関心が広がりますと共に、
山下先生の側弯症学校検診プロジェクトでの成果が生かされ、
国からの助成で地域差なく3Dバックスキャナーが普及し、
一人も取りこぼしなく早期発見、早期治療へと、
結びついてほしい…
そういう未来になりますように…
と願いました。