RIOSメルマガvo.9 育成年代のスポーツ障害予防 ④第二次性徴後の故障・怪我の特徴 | スポーツ選手の怪我・故障を予防するトレーナー尾形のブログ

スポーツ選手の怪我・故障を予防するトレーナー尾形のブログ

東北 宮城
トレーナーの尾形竜之介です。

一人でも多くの怪我や故障に悩むスポーツ選手を救うため日々奮闘しています。








本日は、
“育成年代のスポーツ障害を予防する ④⑶第二次性徴後のスポーツ障害・外傷の特徴”についてお話しさせていただきます。




第二次性徴後というのは、ここでは中学3年生~高校生までの時期を指します。



競技により異なりますが、サッカーではこの時期をジュニアユースもしくは、U-18と呼びます。



この時期は身体面の急激な成長は終わり、男の子はガッチリしてきたり、女の子では女性としての魅力が出てきたりと、外見も大人に近づいてきます。



部活では小・中学生年代と比べると練習時間が増え、トレーニングの質やレベルも高まり、大会や遠征等も行うなどの違いが出てきます。


特に追い込みの時期などは、スポーツ障害・外傷がチーム内で蔓延することも少なくありません。



スポーツ障害・外傷を予防する上でこの時期抑えておくべき特徴は、




この時期の最脆弱部は軟部組織、特に筋肉、腱、靭帯、神経である


ということです。





今回は、軟部組織が最脆弱部によるスポーツ障害・外傷の特徴とは?というところを整理していきましょう。






●最脆弱部の変化 骨端線→軟部組織


この時期になると、最脆弱部が骨端線から軟部組織へと移行します


その理由はシンプルに、今まで弱かった骨が成長を終え丈夫になるからです。




骨の縦方向の成長が終わり、横幅が増し、皮質も厚くなり骨や軟骨は丈夫になってきます。


また、高校生になると第二次性徴期を終え、大半は骨端線が閉鎖します。


こうなると、骨や軟骨が丈夫になるため今度は筋肉、腱、靭帯、神経などの軟部組織が最脆弱部となるのです。






●特徴的なスポーツ障害


この時期に特徴的なスポーツ障害は、

1.腱障害
2.神経障害
3.骨軟骨障害


になります。

1.腱障害については、アキレス腱周囲炎や膝蓋腱炎(ジャンパー膝)が多くなります。


また、腱鞘炎なども見られます。




2.神経障害については、肘の尺骨神経や肩甲上神経の障害が見られます。


3.骨軟骨障害については、この時期では骨軟骨障害がなくなるがなくなるわけではなく、小・中学生年代で生じた骨軟骨障害が重症化して発見されることがあります。


既に保存加療での完治は望めず対症療法か手術が必要になります。


また、疲労骨折変形性関節症も生じます。


疲労骨折の好発部位は、脛骨、中足骨、肘頭などです。


変形性関節症については、通常は中高年以降の疾患ですが、スポーツ選手でも競技で酷使することや、靭帯不全による不安定性により発症することがあります。







●特徴的なスポーツ外傷


この時期に特徴的なスポーツ外傷は、

1.肉離れ
2.靭帯損傷


になります。


1.肉離れは、腓腹筋大腿直筋ハムストリングスで多く見られます。


2.靭帯損傷については、足関節捻挫による前距腓靭帯損傷踵腓靭帯損傷三角靭帯損傷、膝関節では前十字靭帯損傷内側側副靭帯損傷が代表的です。






●対処方法


第二次性徴以降は、スポーツ障害も外傷も疾患が幅広く増えます。


トレーナーはそれぞれの疾患の機能解剖や病態を理解しておく必要があります。




また練習量が多くなり、練習の質も上がることで競技特性によるスポーツ障害・外傷の特徴が顕著に出て来ます。



この時期の選手に関わる場合は、トレーナーは競技特性をしっかり把握しておく必要があると考えます。



以上、4回に渡り発育段階のスポーツ障害・外傷の特徴の違いを整理してきました。




次回は思考を少し変え、“育成年代のスポーツ障害を予防する ⑤子どもの痛みの対応”についてお話しさせて頂こうと思います。




本日も最後までお読みいただきありがとうございました。