シェサはしばらく戸惑うように傷を見つめていた
「目立つ…でしょうか」
セイアは声をかけた。シェサは我に返ったかのようにはっとした
「ごめん…違うの、あの…」
シェサは自分の動揺に驚いているようだった。彼女は、自分の肩の下、ちょうどセイアの傷がある場所と同じ位置に自分の手を持っていった
「違うの…ごめん…」
そこを押さえながら謝るシェサは、口元は無理に笑んでいるけれど、まだ脇に視線を逸していた。彼女は傷跡に敏感なのかもしれない
「私、この傷がついた時のことを覚えていないんです」
セイアは少し考えてから話した
「だから、その時の痛みも感じないし、分からないんです。ただここにあるだけなんです」
シェサは少し顔を上げた
「そのことが少し怖い気もします。でも私にとってそんなに嫌なものではないんです」
セイアは軽く微笑んだ
「過去があった証だから」
シェサはそれをどういう意味か聞いてこなかった。セイアは言葉を足した
「私の一部だから。自分くらいは好きでいてもいいかなと思って」
傷があっても、外見が他の人と違っていても
「でも、見せられる側にとっては違いますよね」
「大丈夫よ」
シェサは少し決まり悪そうに口元を隠しながら言った。そしてセイアを見て言った
「ここであなたが好きになる人は…ここであなたを好きになる人は、あなたが大切にしているものをけなしたりしない」
セイアはシェサを見た
「ついて来て…宮を一緒に案内してあげるから」