ソラは無言でいた。セイアはようやく自分が礼の形も取らず、主であるソラの前で立ったままであることに気づいた。慌てて平伏すると、強く目を瞑った
ソラが目の前にいる。ソラが来室したことは嬉しくないはずはないのだが、今はソラを受け入れた部屋の空気が、その存在感に圧倒されて、ただ重く感じる
名乗りを上げ、自分の職務を申し出なければならない。自分を見下ろしているだろうソラの視線を思いセイアは焦った
けれど、改めて感じるソラの存在の大きさに、いつもと違って見える部屋の雰囲気にただ動揺した
…自分はソラをほとんど知らない。今までまともな状態で対峙したことがない。ソラにとってセイアもそうであるはずだ
その存在同士が触れ合う瞬間が壊れやすく、ぎこちないものに感じる
夜の暗い静寂は耳につくほどだった