その目が冷ややかに細められて、地に墜ちた男を見下ろした。男は膝を折ると、倒れた男の頭から、きらめく細い針を抜き取り、目の前に持っていった
「眠り針だ」
何でもない口調でそう言うと、それをふいっと暗闇に投げ捨てた。男は立ち上がると、足元の得体の知れない存在を全く気に留めない様子で平然と跨ぎ、女に近づいた。女は壁を背にしたまま動かない
男は膝を着くと、女の足の傷に気づいた。女の足首を持ち上げると、女は我に返ったように痛みの声を上げた
「捻挫だ」
男は呟くと、女の白い足を地に戻した。黙ったままの女に、男はにっと笑んで、低くからかうように言った
「いつもの威勢のよさはどうした。声を出すのも忘れて、魂を抜き取られたか」
変わらない男の強気な眼差しが、面の上から女を射た