私は病院の庭にある白いベンチに座りながら、海を眺めている。水平線の上に浮かんでいた夕陽が、海の中へと沈んでいる。辺りは暗くなり、庭の電灯が光りを灯している。
「ナツヨさん、面会希望の方がお見えになりましたけど、どうなさいますか?」
一人の看護師が、笑みを伴いながら訊ねてきた。私は顔だけを彼女に向け、どなたですか? と訊いてみると、そうちゃんの名前をだした。私は軽く頷き、庭にきてもらうことにした。アンナも一緒だろうか、と思いながら、そうちゃんがくるのを待っている。
私はベンチから立ち上がり、空を覆う黒い雲を眺めている。さっきまで晴れていた空が、夕陽が沈んだと同時に、暗さが増しているような気がした。雨が降りそうな予感もしている。遠くもない近くの空からは、小さな雷の音がしていた。
頭の奥に痛みが走り始める。私はベンチの肘かけ部分に片手を置いた。
「恋敵=その後+417」―私―