アナログなもの。 | AOZORA NIKKI

アナログなもの。

今日は、仕事はとっても忙しかったんだけど、どうしても見たくって、出社前に「地球交響曲第5番」の上映会に立ち寄る。
内容は全然知らなくて「命」がテーマってことだけの知識だったので、もちろん誰が登場するかも分からなかった。
上映が始まると、昔、大好きな雑誌「太陽」で特集されてた石垣昭子さんがスクリーンに。
沖縄の西表島ですごく薄くて、でも張りのある、美しい芭蕉布を織る人。
自然に祈りを捧げながら、自然と共に生きて、機を織っている姿が眩しかった。

映画は、その他の登場人物もみんな魅力的で、命の貴さと愛しさがいっぱい感じられる2時間を過ごせたから、無理してでも行って良かった。
最後に、ダライラマに日本の母親が質問していたシーンがあったのだけど。
「毎日新聞やテレビで戦争やテロのことが報道されます。子供達はそれについて何なの?と聞いてきますが、どう伝えればいいか分かりません」と質問すると、ダライラマは「戦争や殺人がおこると、必ずニュースで伝えられます。それは、人の心を驚かせ、印象的なものだからです。でも、思いやりや愛などについてはほとんど報道されません。なぜならそれは、世の中に当然あるべきものだからです。あって当たり前の物だからです。恐ろしい事件のニュースは、逆に子供達に、当たり前の思いやりや愛の貴さを教える機会となります」と堪えていた。そうか、当たり前のことだから、優しい気持ちや心あたたまる出来事はほとんど報道されないんだ。気付いていたようで、気付いていないことでした。目からウロコでした。そらが成長して、世の中のことにもっと関わってくるようになったら、いろんなことを教えていってやらなくてはいけないけど、ダライラマの言葉を聞いて、ちょっとだけ、力付けられました。

それから今日、もうひとつびっくりしたことがあって。
今、毎日のように報道されているライブドアと日本放送の対決。
その当事者、というか株の買収のスキームを作った人物が、なんと大学のクラスメートだったことが判明。。。彼がクラスのMLに久々に投稿して、そのことを知ったわけです。
私ってなんて経済に疎いんだろうって思っちゃう出来事だったんだけど。だって、渦中の人だった訳で。ライブドア=堀江社長しか意識になかった。。。今度クラスのみんなで集まったら、いろいろ聞いてみよう。で、今までニュースでやっているのを、流して見てるだけだったけど、友達が関わっているのを知って、ちょっと考えてしまった。

私は今、出版業界にいて、そこって紙媒体で結構アナログな世界。
この10年でネットの世界はどんどん広がっていて、今紙媒体でやっているようなことも、もっと技術が進んだり、世の中の人に受け入れる素地が広がったら、多くの部分がネットでできるようになるよなぁとは漠然と思っていること。あと10年もしたらかなり変わっていると思う。
中国なんかだと、今急激な経済成長を背景に、国民全体の生活レベルも上がってきていて、将来中国の子供達がみんな学校に行けるようになって教科書を持つようになったら、世界中の木が伐採されてしまうかも、だから中国政府は教科書のモバイル化(?)を進めたいと考えているというようなことも聞いたし。
知り合いのカメラマンさんも、最近、ネットマガジンでのファッションスチールを撮るんだと言っていたし。
そんな状況の中で、きっと紙媒体もどんどん淘汰されていくんだろうな。

じゃあ、紙媒体がすべてなくなってしまうかというと、それは違うんじゃないかと思う。
ほんとうにいいもの、大切なものは、ずっと失われないはずだと思う。
例えば、映画に出てきた石垣さん。どんなに技術が進んで、効率的に布をおれるようになっても、化学繊維が台頭しても、天然の木から糸を取り、すべて手作業で染め織り上げていく、魂の化身のような美しい布はなくならない。その織手も必要とされている。
どんなにネットや電話が便利でも、とても大切なことはやっぱり実際に会って伝えたり、会うのがかなわなければ手書きの手紙に気持ちをしたためる。
だからこそ、本当に大切なもの、貴いものを伝えていけるような仕事が出来たらいいなと思う。憧れの中原淳一さんのように。
どうしても消費社会にのまれ、部数にのまれ、見失いがちになってしまうところだけど、だからこそ0か100かで最初から諦めるのではなく、今の自分にできることを、小さなことからでいいから仕事に織りまぜていかなくてはいけないのかなと思う。今の社会の流れの中で歪んだ価値観を吸収していってしまう若い世代に、少しでも「こういう感じ方もあるのかも」「こんな風なのっていいのかも」って立ち止まってもらえるかもっていう、希望のためにも。(ほんとうは、すっぱり理想論でいくべきなのかもしれないけど。。。)

私は、アナログなものや人の手のあとが感じられるものがやっぱり好きなんです。
写真も、デジタルよりは、アナログのあいまいさ、幅の広さに惹かれてしまう。
乗り物も、車は自分の範疇を超えているようで、恐くて運転できない。それより、風や波をその重みで感じながら、自分の手で漕ぐカヌーの方がしっくりくる。
家具も、切り株を買ってきて、加工してテーブルを作ってしまったり。家の中にプラスティックのものが溢れていると、息苦しくなってしまうから。だから、黒いもの、プラスティックなものは、できるだけ布で覆ってしまうし。
人や自然の温もりを、なるべく近く感じていたいからなのかなぁ? そのほうが心に響くから??