大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう | soralibro

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通勤時の読書の備忘録です。

初シリーズ物の9巻目から読んでしまった本、気になるところがあって1巻目を探していたのですが、なかなか見つからず
2巻目が先に手に入り読み終えたところに1巻目を発見、やっと疑問解消です。
 
山本巧次「八丁堀のおゆう 大江戸科学捜査」

仕事や恋愛に行き詰っていた関口優佳は祖母から相続した家と祖母の日記により押入れが江戸時代と繋がっていることを知り、
江戸と東京の二重生活をはじめた。
江戸ではおゆうと名乗り、同心 伝三郎とともに事件解決の手伝いをしている。ある日老舗の薬種問屋藤屋から、殺された息子の汚名をそそいでほしい、と頼まれ調査していくうちに薬種問屋同士のいざこざや阿片の取引に巻き込まれていく。証拠物や指紋を東京に持ち帰り友人宇田川に分析してもらい、事件を解明していく。
 
小説がはじまった時点ですでに優佳は江戸を行き来して1年過ぎた設定になっていて、江戸に行くことになるまで、行ってから江戸に慣れるまでのことは細かくは書かれておらず、話の隙間に小出しに出てくる程度でした。そこを詳しく書いてもつまらないでしょうけれど、2巻と9巻を読んで着付けはできたのかしら、とか、髪型はどうしたのかしら、とか疑問いっぱいだったので消化不良。髪型の謎は解けました。表紙絵のとおり結わずに後ろに流してまとめるだけにしている。着付けは個人的に疑問。慣れれば15分ほどで着られるでしょうけれど、現代の着物や着付けとは違うだろうし、私はコーリンベルトやすべらない紐など現代の優れものを使わないと着られません。祖母も江戸時代を行き来していたということなので、祖母譲りで着物も着付けもできたのかな、ということにしておきます。
タイムワープして事件を解決することで歴史が変わらないのか、ということはかなり追及されていました。江戸で起こった事件をネット検索して答えを知ったうえでそれを変えずに解決する。最終盤、何度も分析を頼んでいた宇田川に江戸から持ってきたものだとバレてしまいます。宇田川は優佳が江戸に行って事件を解決していること自体が歴史に組み込まれているのではないか、と推論します。こういうところは細かい。
伝三郎も戦後すぐの時代から江戸時代にタイムワープしてきたことが書かれています。こちらは来たっきりで元の時代には戻れない。おゆうの捜査方法を見て自分より後の時代から来ていて、しかも行き来しているのではないか、と疑っています。おゆうの素性がわからないので惹かれながらも深入りしないよう自制しています。
必要な要素はすべて1巻に書かれていました。やっぱり最初から読まないと、です。
2巻目は小物問屋の息子がさる大名の御落胤ではないかと調査を依頼され、大名家の跡目争いに巻き込まれていく。
科学捜査と銘打っているので、指紋採取やDNA鑑定などしているのですが、江戸時代では説明がつかないので、答えを知っていてもあまり解決には結びつかず、必要なのかちょっと疑問なこともありました。
展開がはやく事件の奥まで深く掘り下げているので推理小説としてはなかなかおもしろい。
9巻目もおゆうと伝三郎の関係は変わっていなかったので、事件解決が続いていただけのようです。3~8巻読むかは微妙なところです。