「就職活動とかかったるいけど、公務員試験だったら学校の試験みたいなノリで受験できて楽なんじゃない?」 

というなんとも安直な理由で公務員をめざしたわたし。

当然ながら世の中はそんなに甘くはなく、不合格となった現役時代。

 

なかなか就職活動に意欲的になれなかったわたしは、アルバイトをしながら公務員試験の勉強をし、再挑戦してみることにした。

 

アルバイトをするにしても建築関係の仕事がいいなと思い、求人誌で探し応募したとある会社の事務の仕事。

その会社は「一級建築士事務所」って書いてあったし、事務の仕事だけど「AutoCADを使用した図面作成」という業務もあり、CADの実務も経験できそうでいいなと思って応募した。

 

ところが、そこは「測量事務所」。

当時のわたしは、一級建築士事務所であれば、建築の仕事ができると勘違いしていたけど、ちょっと畑違いの職場だった。

 

でもまあ、何か仕事をしていないと親に顔が立たないという事情もあり、とにかく働いてみることにした。

 

学生あがりで社会を知らない世間知らずだった当時のわたし。

仕事が丁寧なのはいいが、スピード感が足りないということで、かなり先輩同僚はやきもきしていたらしいが、それでも根気強くいろんなことを教えてくれた。

 

土地の地盤調査や測量調査をする事務所で、その報告書を作成するのが主な仕事。

ゼンリンの地図をコピーして切り貼りして(当時は本当に紙を切り貼りして作っていた)現場までの案内図を作成したり、

現場で測量したデータを速報で調査員の人が電話で知らせてくるのを、耳で聞いて記録してパソコン入力したり、

CADオペの人が作成した図面を青焼き機で焼いて、A1サイズの図面をA4の報告書にとじこめるように折り込んだり、

そんな感じの仕事だった。

 

時給700円くらいだったかな。

お給料は安かったけど、アットホームな職場だったし、スタッフはみんな20~30代と若く、学生時代の延長みたいなノリで楽しかった。

 

大学時代もアルバイトはしていたけれど、ファーストフード店で少し働いたのと、家庭教師をしていた経験しかなく、社会の一員として働いているという感覚は持てなかったが、この職場ではじめて、自分も社会の一員になれたようなそんな感じがした。

 

働いてお給料をもらう。

働きながら学ぶことができる。

そんな楽しさをはじめて味わうことができたのが、この職場だった。

 

半年くらい働いたところで、

「あいぽん、CADやりたいんだったら、挑戦してみる?」

と言われ、

AutoCADでの作図を教えてもらえることになった。

大学でCADを経験していたこともあり、比較的スムーズにCAD操作をおぼえることができ、測量図ではあったが実務経験も積むことができた。

 

その年、もう一度公務員試験に挑戦したものの、働くことが楽しくなりあまり勉強せず受験したため、今度は一次試験で不合格となった。

しかし、社会に出て働くことのよろこびを知ったわたしは、もう公務員試験などどうでもよくなっていた。

 

その測量事務所では、1年半ほど働かせていただき、その間にたくさんの経験をさせてもらったけれど、自分の中にある「建築の仕事がしたい」という思いを叶えようと、わたしは退職した。

 

(次回へつづく)

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