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さて今回は

澁柿園4月号(第596号)より

 

小野いるまさんの『俳人の詠んだあおもり』 の19回目 をお届けします。

 

 いるまさんの以下の3冊の著書から、月1回の割で、澁柿園の俳人を中心にご紹介しています。

 

『俳人の詠んだあおもり』   (2008年 北方新社)

『続俳人の詠んだあおもり』  (2009年 北方新社)

『俳人の詠んだあおもり第3集』(2010年 北方新社)

 

また現役俳人でもいらっしゃるので1句ご紹介。

 

     今月の一句

 

         老いてゆくところどころに夏の雲  小野いるま

                          (青森県句集29集)

 

 

 

ちょうちょ

 

 

 

       小野いるまの

      俳人の詠んだあおもり⑲ 

 

 

      松宮 梗子(まつみや きょうこ)

 

  

      心眼はいつも青春 

 

 松宮 梗子は、五所川原俳句会の会長をやっている。俳句と出合ったのは、五所川原市にある県の出先機関で臨時職員をしていた昭和五十七年ころ。上司の徳才子青良から「ちょっと作ってみへ・・・・・・」と俳句を勧められ、真似ごとで一句作ってみた。 「青良さんは褒め上手。私の下手な句を盛んに持ち上げるんです。 ついついはまってしまって…………」と梗子。 子供が少し手を離れていたころだったのもよかった。だんだん俳句に本腰を入れるように。

 

 

青良から成田千空を紹介され、昭和の終わり六十三年の暮れ近くに「萬緑」に入った。梗子を見かけると、千空は 「おいでおいで」と手招きをする。 そばへ行くと、今度は手の平を上に向け、「俳句はできたか」と催促の形。初学の梗子は、こんな恵まれた形で俳句を学ぶことができた。 入会したてのころは、月に百句を作って千空先生に見てもらった。その中から三つ、四つ、あるいは五つほどに○印がつけられる。油の乗り切っていた時期の千空と、一緒にいられた幸せを、千空の亡くなった今、改めて思う。

 

 

梗子は、平成二、三年ころ青良や橘川まもる、津川あい、 浅利康衛らと製月海岸、十三湖方面へ足繁く通った。泊まりがけの鍛練会である。一晩に三十句以上は作った。 廃船の上で津川あいと二人、あいや節を唄ったことも。冬は帽子を二つかさねてかぶり、その上をタオルで縛って、震えながら句を作った。「その時々、皆さんからいただいた言葉が、今も句作に生きている」と梗子。彼女には一番楽しく、充実した時期だったようである。 平成二年、「新青森県句集」に出した一句。

 

心眼はいつも青春夏帽子

 

外見はさておき、心の眼は〈いつも青春〉と若さを思いきりぶつけている。それからほぼ二十年。最新の県句集には

 

青蛙坂が嫌ひな膝小僧

 

の句が載っている。昔はこのくらいの坂は平気だったのに、今はあえぎあえぎ登る。〈坂が嫌ひな〉は、彼女をとりまく環境と、自らの肉体の大きな変化を意味する。

 

をさな子に真似られてをり懐手

 

歳時記では、懐手は和服に限定されているそうだが、和服のすたれた現代は、洋服での懐手がまかり通っている。福士光生は、陸奥新報の「日々燦句」欄でこの句を取り上げ、「模放の天才である幼児による大人の形態模写。ユーモラスで和みのある景であるが、死角にいた自分をとらえた鏡中の景とも見え、それが自戒へいざなう」と鑑賞している。難しい言い回しはこの人の特徴だが。要するに懐手を子供に真似られたのである。

 

白牡丹白もて闇を深くせり

 

「渋柿園」の十九年十月号に載った近作である。藤田枕流は「暮れぎわの庭に、なかなか暮れきれぬ白牡丹が見える。 見とれているうちに、まわりの闇の濃くなる進行ぶりにふと気づいた作者。このような対比の句は珍しくはないが、白牡丹という題材が巧みに生かされ、共感を呼ぶ」と鑑賞している。

梗子の住む五所川原には、最近つとに有名になった立佞武多がある。セットバックが進み、電線が地中に埋設されたのを機に復活し、中心街の一角に立佞武多の館も建った。高さ二十㍍を超える巨大な立佞武多三台が常時展示され、見る人を圧倒する。ここで詠んだ梗子の句。

 

杙炎紙を一重に立佞武多

 

じやわじやわと北の魂佞武多曳く

 

五所川原市文化奨励賞を受賞。毎年十月に開く五所川原市県下俳句大会をとりしきるほか、二十年四月からは陸奥新報の「日々燦句」欄も担当するなど、活躍の場はどんどん広がっている。

 

ひまはりやいつもはみ出す子供の絵

 

蜆舟村より高く戻り来る

 

育ちゆくもののかたちに春の雪

      

             (『俳人の詠んだあおもり』2008年刊・北方新社)

 

 

 

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《 林檎の花 満開 》

  

 

桜が散ると

 

津軽は

 

林檎の花が咲きだす。

 

 

 

 

 

 

                       2024.5.5の昼 の津軽路にて

 

毎年今の季節は

 

津軽の道のどこをたどっても

 

林檎の花に出会える。