こんにちは。

 

いつもご訪問くださり

 

ありがとうございます。

 

弘前は風が冷たいですが、

 

静かな雪のほとんどない生活が続いています。

 

 

 

 

 

さて今回は

澁柿園1月号(第593号)より

 

小野いるまさんの『俳人の詠んだあおもり』 の16回目 をお届けします。

 

 いるまさんの以下の3冊の著書から、月1回の割で、澁柿園の俳人を中心にご紹介しています。

 

『俳人の詠んだあおもり』   (2008年 北方新社)

『続俳人の詠んだあおもり』  (2009年 北方新社)

『俳人の詠んだあおもり第3集』(2010年 北方新社)

 

また現役俳人でもいらっしゃるので1句ご紹介。

 

     今月の一句

 

         立春や海に沿うてる憲曠碑 いるま

  

 

 

 

小野いるまの

俳人の詠んだあおもり⑯ 

 

 

              斎藤 ひでを(さいとう ひでお)

 

              さわやか句会を統率

  

  斎藤ひでをは四十代に入ってこっそりNHKの「俳句入門講座」を受講した。定年退職後に何か趣味を持たなければ……という動機からだった。句評や添削を受けているうち、だんだんおもしろみがついてきた。その後、実作コースを受講。当時はまだ知る由もなかったが、講師陣の中には広瀬直人、福田甲子雄、長谷川久々子ら、そうそうたる名前があったという。

  

  昭和五十九年、弘前市中央公民館が始めた社会人俳句講座をひでをは受講する。 講師は萬緑同人の川口爽郎。のちに萬緑賞を受賞した俳人であった。講座は半年ほどで終了したが、もっと続けたい――との声が受講生の間から高まり、小さな俳句会を立ち上げ、引き続き爽郎先生に指導をお願いした。句会の名は爽郎の一字をとって「さわやか俳句会」と名づけた。

 

  しかし、平成元年爽郎が病に倒れ、帰らぬ人となったため、みんなで話し合い、講師はいなくても続けることで一致した。親睦を主体とする句会。〝みんなが講師、みんなが生徒〟の気持ちであった。高齢化により会員はだんだん減って、名前をつらねるのは今や十人。発足時のメンバーであったひでをが現在、会長をつとめる。弘前文化センターで月二回の例会。年に何回かは吟行にも出かける。毎年十一月に行われる同センターのフェスティバルには、さわやか俳句会のブースを設け、会員の色紙や短冊を展示している。

 

  超結社の句会なので、会員はそれぞれ好きな俳誌に所属できる。ひでを自身は平成十二年、大串章の「百鳥」に入会。二年後、地元の「渋柿園」にも名をつらねた。「渋柿園」は、もともと弘前工業高の職場句会としてスタートしたもので、藤田枕流代表は教師仲間だった。そんなわけで俳誌そのものは以前から購読していたが、自らの力不足もあり入会はためらっていた。結局、入会したのは平成十四年。「句会に出ているうち次第に緊張がほぐれ、厳しい句評をいただきながら鍛えられた」と、ご本人は述懐する。同十五年同人。現在は運営委員として結社には欠かせぬ存在と、代表の藤田枕流も一目を置く。

 

手のひらを滑らせてみる今年米     ひでを

  

  平成十七年、板柳町で開かれた県下津軽俳句大会で総合一位に輝いたひでをの句である。当日句はわずか二点。 ほとんどが兼題句で点をかせいだとあって、うれしさより恥ずかしさが先に立ったとご本人は苦笑する。

 

 ひでをの生家は農家で、精米業も営んでいたので、幼いころから掲句のような景には接していたらしい。 脱穀された籾を手にとってみることもあるが、特に精米所では、精米したあと米粒の大きさ、揃い方、色、艶などをたしかめるため、さらさらと手の平から落としてみる。苦労して育てた今年米がきらきらと輝き、申し分のない出来だと、農民はにこりと微笑む。「さらりと表現したのがよかったのかもしれない」と、ひでをの自註がある。

 

ゆくゆくは寺の後継ぎ裸の子   ひでを

 

 平成二十年の県下金木俳句大会で高点をとった。弘前には三十三寺を集めた禅林街がある。ひでをの菩提寺もこの一角。 夏のある日、変わった景に出合った。寺の前庭で小さな男の子が素っ裸で水遊び。将来僧侶となって寺の後を継ぐであろう子供。勉強も大事だが、まず心身を鍛えること。住職はそう考えたに違いない。素直にひでをは、その景を句に詠んだ。

 

 思い出に残る二つの大会は、今では姿を消した。皮肉といえば皮肉だが、ひでをの脳裏からはあの時の感激は消えることはない。ひでをの師であった川口爽郎は、穏やかな性格で声を荒げることはなく、大きな手直しもしなかった。もっと鳥のことを聞こうと思っていたのに機会がなくなった――とひでをは残念がる。

 

白秋や白き石積む恐山     ひでを

 

今年九月、俳人協会県支部の鍛錬句会がむつ市で行われた。ひでをは初参加だったが、かつてここに住んだことがあるだけに、町の変容ぶりに感慨深げ。 久しぶりに見た恐山も宿坊が一新し、パンフレットに「一泊二食一万二千円」とあったのにはびっくり。山全体に秋風が吹き、肌寒い感じだった。

 

        (『俳人の詠んだあおもり第3集』2010年刊・北方新社)

 

 

 

 

 

《弘前城雪燈籠まつり》

 

昨日2月9日(金)から12日(月)までの

恒例の雪燈籠まつりが始まった。

 

といっても、今年は、 雪がない  のである。

 

たまたま句友と出会って東門から園内を歩いてみることに。

 

東門に入る前の雪燈籠

 

 

東門から入ってすぐの雪燈籠

 

 

 

本丸もこのとおり。

 

 

本丸から見下ろす濠の向う側の「ミニかまくら」と岩木山

 

 

「函館ハリストス正教会」

     毎年自衛隊の皆さんが設営されている。

 

 

 

津軽錦絵回廊

 

 

冬服をまとっている二宮金次郎

 

 

      大型滑り台 左手奥は北門。

 

雪燈籠まつりは、昭和52年(1977年)にスタートしたそうだが、

こんなに雪のないまつりは初めてだろう。

 

夜に出掛ければまた違った雰囲気で楽しめるかもしれない。

 

 

昨年の雪燈籠まつり

下矢印   ダウン   下矢印