もう15年前にご縁のあった、
ある患者さんのことをふと思い出しました。

うつの高齢女性患者さん。

来院のたびに
「誰も私のつらさ、苦しさをわかってくれない」
と泣かれます。

最初の1,2回は、感情の吐露、カタルシスで
まあいいとして、、、

毎回同じことの繰り返して、
どうしたらいいものか途方に暮れていたものです。

もちろん、精一杯傾聴して、、
精一杯わかろうと努力はしましたけど、
何も変わりませんでした。

何しろ開業したての未熟な治療者でしたから。

同じことの繰り返しでも、
まあいいといえばいいんですよ。
満足しているから通っていらっしゃるわけなので。

でも、こっちがだんだんうんざりしてきますね。。

今だったら、笑顔できっぱりと言えます。

「人間は100%他人のことをわかることなどできません。
ですからわかってもらうこともできません。

でもそれは、○○さんだけではなく、
すべての人間が同じなんです。

わかってもらいたいという、
実現不可能な希望を求め続けるより、
今できることを一緒に考えませんか?」

そして、心の中の状態は自分で選べることを
お伝えすると思います。

最近では、相手の感情に巻き込まれることなく、
毅然と話せるようになってきました。

こういうのって、
勉強とか知識だけではできませんね。

知識プラス経験。

最近、ますます歳をとってよかった!
と思うことばかりですニコニコ