晴れ

 

前回の続き(2幕)です。

 

あじさい알앤제이(R&J)

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この日は1幕途中から涙が止まらず、幕間でロビーに出たところで友だちに泣きつきましたㅠㅠ15分の間に気分転換したはずなのに、2幕が始まるとまた勝手に涙が落ちるという、なんでこんなことになるのか自分でもよくわからない状態に。

 

 

2幕冒頭・ジュリエットの寝室

ロミオ(学生1)が追放されたことを知らないヨンソクジュリエット(学生2)は、

 

「愛は夜の闇こそ最も似合うもの。さあ、来なさい暗闇よ。」

 

とこの世に怖いものなど何もないと言わんばかりの明るい声で言います。真実を知らないからこそのこの明るさは、これからの展開を思うと切なさが増します・・。

そんなジュリエットの元に、乳母(学生4)がロミオの追放とティボルトの死の報せを持ってきます。その内容に絶望し泣き崩れるジュリエットに対し、乳母は「早く部屋に戻ってください」と言うと、ヨンソクジュリエットは泣きながら俯いたまま首を横に振るという、ごく普通の反応ですが今までの公演で見たことないことをしてくれました・・!もうこれだからファンやめられない。

 

 

2幕冒頭・ロレンス神父の司祭館とジュリエットの寝室

下手では神父(学生3)とロミオのやり取りが、上手ではジュリエットの寝室シーンが表現されるようになった今期の再演版。

下手側の司祭館でロミオが

 

「神父様、何の報せですか。領主様の決定が出たのですか。」

 

と聞くと、神父はヴェローナから追放になったことをロミオに伝えます。これはあくまでロミオと神父の会話なのですが、まさにこのやり取りの時に、上手側にいるヨンソクジュリエットの涙がどばっと溢れ出るのです。演劇としては別次元のはずなのにお互いのやり取りがリンクしており、こんなところにもこの作品の魅力が潜んでおります。

ジュリエットに対し、必ずロミオを探し出すと約束した乳母は、神父のところへやってきます。

 

「ジュリエットはどうしていますか」

「泣いてばかりいますよ!何度もロミオの名前を呼びながら」

 

というロミオと乳母のやり取りの時に、また涙が溢れるヨンソクジュリエット。

もう私、目が4つ欲しいです。2つじゃ4人とも観れないw

 

 

2幕中盤・ジュリエットの寝室

ヴェローナを発つ前に、ロミオはジュリエットに会いにきて、二入で最後の夜を過ごします。

 

 

キャンドルを持ってロミオと向かい合ってもその顔を見ることができないヨンソクジュリエットと懸命に笑顔を保とうとするイルジュロミオの対比には毎回めちゃくちゃ泣かされるのですが、この日はヨンソクジュリエットが下を向いて一度目をぎゅっと固く閉じた時に、イルジュロミオも同じような仕草になり、もう何度目かわからない涙腺崩壊。

この作品に限ったことではないのですが、個人的に「お互いの気持ちが完全に通じ合う」瞬間にめちゃくちゃ弱く、そういう時は決まって涙腺をやられます。

話を戻します。

やがて夜が明け、ロミオは自分の膝に乗っかっているジュリエットの頭を下に降ろして一人静かに発とうととします。しかし、頭を降ろされるその瞬間、ヨンソクジュリエットは閉じているその目をさらにぎゅっと閉じる仕草をㅠㅠついに朝が来てしまったこと、ロミオが一人で発とうとしていることへの悲しみがこの仕草だけでよくわかります。だからファンやめ(ry

ヴェローナを去ろうとするロミオを「まだ朝ではありません」と呼び止めると、ロミオは

 

「捕まったっていい、死んだって構わない」

 

と言ってジュリエットを抱きしめます。普段であればこのあとは身体を離して台詞を続けるのですが、この日は二人がお互いのおでこを合わせながらの会話でした。もう一体なんですかこの日の二人は。

 

 

2幕中盤・折檻

夫人(学生3)が「良い報せがあるのよ」とジュリエットに言ったものの、その内容はパリス伯爵との結婚話でした。それに反発すると、体罰を与えられるジュリエット(及び学生2)。椅子の上に立たされ、もう逃げ場がないと観念した瞬間、ヨンソクくんがふっと不敵な笑みを浮かべたのを私は見逃しませんでした・・!あの笑みは果たして何に対するどのような意味を持ったものだったのか。考えれば考えるほど沼の深みにはまっていってます(現在進行形)。誰か私を沼から引き上げてください←

このシーンにおいても、ヨンソクくんは「ジュリエットであり学生2である」とのことなんですが(本人に聞きました。)、あの不敵な笑みはやはり学生としての要素が強いように感じました。以前からどちらの人格があるとしても学生の要素が強いなあと思っていたのですが、それがより強く感じられたのがこの回でした。何でって言われると・・・難しいんですが、ヨンソクくんの目つきがそうなってるんです。

 

 

2幕中盤・ロレンス神父の司祭館

味方だと思っていた乳母からさえも、パリス伯爵と結婚することが最善だと思うと言われたジュリエットは、神父のところへ最後の助けを求めてやってきます。しかし、その神父からすら、自分の知恵ではどうにもならないと言われたジュリエットは、剣を自分の胸に突き刺そうとします。それを泣きながら止めるギドゥン神父。ギドゥンくん、最初の頃はこのシーンでは泣いてなかったのに、これも公演を重ねての変化の一つかなあと思っています。学生2の感情が爆発してくることとの相乗効果のように感じられて、だから生の舞台って面白いんですよね。

死のうとするぐらい思いつめているジュリエットに対し、神父は、ジュリエットが仮死状態になることにより周囲を欺き、ロミオと二人でマントヴァへ発つことができるよう計画を立てます。ジュリエットが仮死状態となるための薬を手渡す時に、自分の両目を抑えながら涙が止まらないギドゥンくんは、おそらく神父であり、夫人であり、学生でもある。

 

 

2幕終盤・ジュリエットの服毒

神父から渡された毒を飲む決意をしたジュリエット(学生2)に、ロミオは結婚式の時と同じソネット18番の言葉を送ります。それを聞きながら

 

「私はこの薬を飲みます。あなたのために」

 

と言ってジュリエットは倒れるわけですが、冒頭から言っているようにこの回は神回だったのです。

ソネットを送るロミオ(学生1)も鼻をすすりながら声を震わせてのボロ泣き、それを聞くジュリエットもボロ泣き、ヨンソクジュリエットは「この薬を飲みます」まで言うと涙で声が詰まってしまい、「あなたのために」がはっきりとした言葉にならなかったぐらいの感情の高まり具合でした。一体この日の二人はなんだったのだ?

 

 

2幕終盤・ロミオの死

学生3が、ロミオに飲ませる毒薬を学生2に渡します。これを受け取った時のヨンソク学生2は驚愕と恐怖に身体が震えます。この毒薬を拒否したいとさえ思うけど身体は動かず、ただただ涙がその毒薬の中に流れ落ちます。めっちゃ美しい・・。

毒をあおったロミオはその場で死に至り、その直後にジュリエットが目を覚まします。目を覚ましたジュリエットが神父に対して「私の夫はどこ?」と聞くと、この日も涙が流れたんです。横たわるロミオの目から・・・・。観てるこちら側まで泣き崩れるわ・・。

 

 

2幕終盤・現実への帰還

チャイムが鳴り朝がやってきます(因みに劇中では何度かチャイムが鳴りますが、インタビュー記事によると現実に鳴るチャイムはこのシーンのものだけだという設定だそうです。他のシーンで鳴るチャイムは学生たちの「内面で」鳴るものであり、その区別をするためのヒントが隠されていたのですが、この点についてはまたいつか。)。

再び制服に身をまとい行進を始める学生2、3、4とその3人を必死に引き留めようとする学生1。まだ夜だ、と訴える学生1に対して、学生2は

 

「幻想が見える間は眠っていたと思えばいいんだ。たとえ夢であったとしても無駄なことだったと絶望することはないんだ。」

 

と優しく声をかけます。元から学生2のことが好きな学生1は、ここでもやはり自分を受け入れて欲しいと思ったゆえの行動なのか、学生2にキスをしようとします。これまではそのキスを明確に拒否していたヨンソク学生2ですが、この日はそのキスを受け入れそうな雰囲気がありました。と言うのも、今までは拒否の意思を示すために、学生1の顔が近づいてくると自分の顎と身体を引いていたのですが、この日は学生1が近づいてきても全く動かなかったのです。

きっと本心としては学生1を受け入れてあげたかった。

だけど自分はこれまでの現実に戻ることを選ぶ。

そんな学生2の葛藤が見えた瞬間でした。もうキスしてしまう、という距離にまで二人が近づくと、静かに立ち上がったヨンソク学生2の目からは大量の涙が流れ落ち・・。

 

 

2幕終盤・再会

学生4人が再び集まり、ロミオとジュリエットの台詞をそれぞれ反復します。他の3人の姿を見て笑顔を取り戻すイルジュ学生1は、赤い布を宙に投げる直前、ロミオとジュリエットの台本を両手で胸にぎゅっと抱きしめます。イルジュさんがこの仕草をするようになったのはごく最近のことなのですが、この動作には学生1のこの物語に対する思い、他の学生たちへの思いが溢れんばかりに詰まっています。イルジュさんってプライベートでもそうだと思うんですけど、周りへの「感謝」の気持ちがとても強い(プログラム読んでもこの点は明らか)。それが舞台上でも随所に表れていて、ここで本を抱きしめる動作なんかはその最たるもののように見えるんです。そしてラスト、布を宙に投げる直前は3人を順に見回しながら最高の笑顔になっていました。

 

 

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この回はどのシーンを切り取っても素晴らしい、の言葉しか出てこないぐらいのケミが観れた公演でした。事実、カーテンコールで客席スタオベは当然、拍手だけでなくカンパニーを賞賛する声も盛大に上がったので、多くのお客さんが同じように素晴らしい公演だったと感じたんだと思います。客席から声が上がるって、今期は初日の頃以来のような気がします。