【空からのおくりもの】 | ~風の紙芝居師~たけちゃん☆ のブログ

【空からのおくりもの】




その昔、高度に栄えた文明がありました。
 
人々は、はじめの頃は森やどうぶつたちと共に暮らしていましたが、
いつしか、その関わり方を忘れ、
便利な道具を作ることが自分たちの子孫に役に立つからと信じて疑わず、黙々と働くようになりました。
 
働くことで得られる、珍しい石をたくさん集めることで、幸せになれると信じられるようになり、暮らしは大きく変化していきました。
 
森を切り開き、どうぶつたちの暮らしを追いつめることは、最初のうちはとても心を痛めていたのですが、次第に心を殺すことを覚えていきました。
 
人々が繁栄を極めた頃、各地で心を閉ざしたような子どもが産まれるようになりました。心を殺して働く人たちとの関わり合いが、うまく出来ない子たちでした。
 
怖い病気も流行りはじめました。
原因は、牛だとか、鳥だとか、自分たちよりも他の生きもののせいにして、沢山ころして、安心を得ました。
 
同じ頃、大きな大きな天変地異が、各地で起きはじめました。
 
ある日、大地は揺れ、真っ黒な水が、海から怒濤のように押し寄せました。
沢山の人が悲しみに暮れましたが、それでも、自分たち自身で海の水を真っ黒に汚していることには知らぬフリをしていました。
 
何かに取り憑かれているように、また同じような物を作る事ばかりをしました。
これに対して大勢の人は、自分たちの暮らしに疑いを持つ事さえ、すでに忘れていました。
 
心を閉ざした子どもたちは、その社会では厄介者あつかいを受けていましたが、
不思議な力を持っていることに気付いた人たちがいました。
 
その素晴らしさを、伝え広めようとした人もいましたが、
大勢の人たちはそのことを信じようとしませんでした。
 
どれくらい、そういう時間が過ぎたのか、その記録は残っていないのだけど、
昼間を照らす眩しい太陽の周りを、この星が200回ほど廻ったころでしょうか・・・
 
その文明の栄えた地には、森が無くなり、生きものたちの姿を見ることもなくなりました。
心を殺すことが上手になりすぎて、癒されていた場所を失うことにさえ気付かないほど心は灰色になり、ますます自分以外のことを考える余裕も持てなくなっていました。自分たちは何でもできると思い込んでいました。
人々の心は病んでいました。
 
生きている歓びを忘れ、目先の欲ばかり追いかける人間の姿を、空はいつもみていました。
  
森はもう残っていませんでした。
ほかの生きものたちの姿もありませんでした。
 
空は泣きました。
大地も泣きました。
 
そしてある日、もう人の力では、止めることができないほどの悲しみが押し寄せました。
 
それでも、わずかに人は生き残ることができました。
 
あらゆるものを失い、途方に暮れていると、
不思議な力を持っている子どもが、ポツリと言いました。
 
「種を蒔こう。」
 
「ボクが、お空にお祈りするよ。
いつも種をまいてくれていた鳥たちに、帰って来てもらおう。」
 
その子どもは、空から地上を見渡すことができる力を持っていました。
 
「遠くに行ってしまった、鳥やどうぶつから見えるように、地面に大きな大きな、とても大きな絵を描くんだ。空の向こうからも見えるように。」
 
 
人々はもう不思議な力にすがることしかできませんでした。
祈ることしか、もう残っていませんでした。
 
人々は、その子どもの言うように、それまで大切にしていた、珍しい石を拾い集め、自分たちの力で、ゆっくりと地面に並べはじめました。
 
 
「ボクたちは、大切なことを忘れ、失った。
いつか、自分たちが居なくなれば、きっと、この事は忘れられる。
そして、同じような過ちは繰り返されそうになるでしょう。
だけど、みんなの祈りが込められたこの絵をみて、誰かが気付くから。」
 
力と心を合わせ、祈りながら、何年もかけて、その絵は出来上がりました。
  
鳥たちよ、帰ってきておくれ、
いきものたちよ、帰ってきておくれ・・・
 
その祈りは、今日も風に吹かれ、
雨を運ぶ雲と一緒に、空を舞い続けています。
 
 
 
* * * おしまい * * *
 
  
 
  
 
不思議な力を持った子どもは、空のカミサマの子どもでした。
  
不思議な力を持つ子どもたちは、
空、海、大地、森、風、雲、生きもの、木々、草、花...
それぞれのカミサマの子どもでした。
 
祈りの中に産まれ、世界を救う役割を持って生まれてきました。
 
世界が終わる頃、また同じような子どもが
たくさん産まれ、失った心を取り戻すでしょう。
  
 
 
 
 
 『違いを認め合う心を育てましょう。』
 
 認め合えたとき、人の才能が開花します。
 
同じような線に並べようとしようとすることが、
結果的に、不平を生み、様々の問題の元になっています。
 
習慣や個性を認め合えなくなって、家庭や同僚、友だち関係を不仲にします。
文化の違いを認め合えなくなって、争いも戦争も起こっています。
 
どうぶつたちも、生きるために必要な場所を確保するための縄張り争いはしますが、それ以上の争いや、殺戮はしていません。
不自然な所有も、争いの元になっています。
 
私たち大人が、少し間違った方向に舵を切ったのだから、これからは少しずつ修正をしていきましょう。 
 
まずは、違いを認め合うことから☆
 
 * * *
 
この【空からのおくりもの】は、著作権を放棄します。  
遠い過去からの祈りを受け取ってくださり、もし気に入っていただけましたら、どうぞご自由にシェアして下さい。
未来に繋げてください。
  
 ありがとう。 
  
 よろしくお願いします☆