お知らせです。本の展覧会に出品します。毎年夏に、神宮前の画廊「トキ・アートスペース」でひらかれる、アートと本が融合した「THE LIBRARY 2015」に出品します。この展覧会の詳細は→コチラ

私の出品作は、一つ前の記事で紹介した、Q-bookシリーズの4作目の「古事記_01」です(リンク)。というか、この作品は、この展覧会に出品するためにつくったのでした……200人くらいの作家が出品するので、スゴイです。

なにがスゴイかというと、やっぱり展示作品が200点もあるということで……一つ一つは小さいのですが、本とアートということで、これだけの人が作品をつくって出品するということは、やっぱりスゴイです……

本とアートということで、なんでもできそうなんですが、実際にやってみるとけっこう難しいなあ……というのが正直な感想です。「本」というのは、意外に限定された概念で、その外に出るのが難しい。

なんでもできるじゃないか……そう思われるかもしれませんが、「本」は「本」であって、ちょっと変わったことをやろうとすると、すぐ「本ではないもの」になってしまいます。さすが「本」。重厚な歴史が……

あるのですね。これが……といってもよく知らないんですが、とにかく基盤は「シート状のもの」で、これに文字を書いて、巻くか裁断して綴じるか……折りたたむのもありだけれど、これはちょっと例外か……

とにかく、「シート状のもの」はできるだけ薄くする。モーゼの「十戒」みたいに石版だと、膨大な物量になるし……まあ、保存性はいいのかもしれませんが、どこにも持ち運べないし……


ということで、「本」概念を形成する外延は意外に狭い。この展覧会に実際に出品される作品は、私のものもそうですが、この「本」概念の外延からはみ出しているものが大部分です。でも「アート」を付ければ「本」に……

なる。「アート」の魔術でもあり、また甘えでもあるところなんですが……「本」をつくる人は、しっかり「本」をつくるけれど、「アート」で「本」をつくる人は、「アートの魔術」に甘えて「本らしきもの」をつくる。

なので、その作品が、現実社会において、どれだけ「ほんとうの価値」を持つことができるか……それは、もしかしたらギャラリーの外で勝負するしかないのかもしれませんが……でも、実際にはギャラリーに展示される。

私の作品は、その「甘え」を越えて、どれだけ「成立」しているんだろうか……それとも、「甘え」そのものの中にどっぷり浸っているんでしょうか……日本という国の今の姿は、アートの「甘え」には寛容で厳しい。

それは……「ムダなもんつくってんじゃねえよ」という積極的な攻撃もしないかわりに、買いもしない。役に立たないものは、当然買わないわけで、そこはシビアです。外国では、事情はちがうのか……

外国、とくに欧米社会においては、「アートを受容する」歴史的な風土があるんだということをよくききます。それに比べて日本は……ということなんですが、私は欧米の事情はよく知らないので、ホントのところはわからない。

ただ、感じるのは、欧米では、「アート」そのものが「必要とされる」くらいに、社会全体が厳しいのかもしれない……ということですね。日本では、社会が、みかけはユルいので、「アート」も不必要……

実際は、日本という国は、とくに行政はひんやり冷たいと思うんですが、いろいろガス抜きというか、カラオケとかスポーツとかエンタメとか用意してあって、それでわれわれはカンタンにごまかされて、人生の最後まで行ってしまう。

外国、とくに欧米では、もしかしたら人々は、カンタンにはごまかされないのかもしれません。わかりませんが……もし、欧米に、「アートは必要」という風土がホントにあるのなら、そうではないかと思います。

本は、欧米にも日本にも、世界中どこにでもある。それと「アート」がどうやって結びつくんだろう……距離はかなり遠く、しかも、受容する地域によって、その距離の感じ方が変わってくるような気がする……

もしかしたら、こういう企画(アート+本)が受け入れられるのは、日本特有の現象なんでしょうか……それはともかく、この展覧会は、主催者の方の努力によって、もう20年も続いています。それだけでもスゴイ。

お近くの方は、ぜひごらんあれ……

書物を立体化するQ-bookシリーズの第4作は、『古事記』になりました。『古事記』は、日本最古の歴史書とされ、太安万侶の序文に続いて、上中下の三巻に分かれて、神代の時代から推古天皇に至るまでの日本の歴史が記述されています。まあ、歴史じゃなくて神話だという見方(特に上巻)もありますが、そのあたりは不問ということで……とにかく、それまでは口伝で伝えてきた内容を、和銅5年(712)に太安万侶が漢文で記述して、元明天皇に献上したということのようです。

この書物の原本はもうとっくに失われていて、現在、最古の写本とされるもの(真福寺本)が、名古屋の大須観音(真福寺)に伝えられています。この写本ができたのは1372年(南北朝時代)というから、かなり新しいわけですが、私の持っている岩波の古典文学大系版は、享和3年発行の『正訂古訓古事記』を底本としているとあります。今回 Q-book 化したのは、この古典文学大系版の古事記上巻冒頭部分(p.50)で、字数は210字。ここまでで、天御中主神(アメノミナカヌシ)から伊邪那美神(イザナミ)の誕生までを記載しています。

以前のQ-bookシリーズは、ラテン語(ガリア戦記・リンク)や楽譜(14のカノン・リンク)でしたので、ラテン語の場合には単語の文字数を高さに、楽譜は音符の高低を高さに、それぞれ変換して制作しましたが、今回は漢文なので、高さのウェイト付けが難しく、悩みました。結果、すべての文字を平等に扱い、つまり高さは変えずに、一つ一つの文字を大事にする……というか、なにか、文字を「座らせる」ための「座」を用意する……という発想になりました。これには、経文なんかで、一つ一つの文字を蓮華座に座らせている、そういう表現が参考になりました。

今回は、京都の「蕎麦板」というお菓子の金属の箱の中につくりこんでみました。5mm 厚のバルサ材を10×14mmに切断し、かまぼこ状に削ったものを文字が乗る「座」とし、箱が銀色なので、銀色のリキテックスで塗装しました。文字色が藍色なのは、別に意味があるわけではなく、私が好きなリキテックスのフタロシアニンブルーをなんとなく使いたくなったからですが、シルバーメタリックにはよく合うと思います。ところどころに、座が藍色で、文字がゴールドの部分があるのは、ここが、文節の文頭であることを示しています。全体のアクセントにもなるし、原文と対照した場合にもわかりやすいのかなと思いました。

とりあえず、原文を、対照できるように掲げておきます。(作品に使用した書体は、中国の古代文字)

もろに漢文なので、読みにくいかもしれません。だいたい、次のような感じです(私のいいかげん訳で)。

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天と地がはじめてひらかれたときに、高天原に現われられた神様の名は、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)でした。次に、高御産巣日神(タカミムスビノカミ)が、さらに神産巣日神(カミムスビノカミ)がご出現になりましたが、この3柱の神々は、すべて、対の神様を持たない独神(ひとりがみ)となって、現象界から御姿を隠されたのであります。

次に、国土がまだできたばかりで脂(あぶら)のように浮き、まるでクラゲが漂っているような状態であったとき、葦の芽が萌えいずるように出現なさった神様がおられました。その名を宇摩志阿斯訶備比古遅神(ウマシアシカビヒコヂノカミ)と申し上げます。そして、次に現われられたのが天之常立神(アメノトコタチノカミ)でした。この2柱の神々も、独神(ひとりがみ)として、現象界から御姿を隠されたました。

ここに現われられた5柱の神々を、別天神(ことあまつかみ)と申しあげます。これは、天神(あまつかみ)の中でも特別な神々という意味であります。

次に出現されたのは、国之常立神(クニノトコタチノカミ)と豊雲野神(トヨクモノノカミ)であり、この2柱の神々も、独神(ひとりがみ)として、現象界から御姿を隠されたました。

次に現われられたのは、宇比地邇神(ウヒヂニノカミ)と妹須比智邇神(イモスヒヂニノカミ)、さらに角杙神(ツノグヒノカミ)と妹活杙神(イモイクグヒノカミ)、そして意富斗能地神(オホトノヂノカミ)と妹大斗乃弁神(イモオホトノベノカミ)であります。

さらに、於母陀流神(オモダルノカミ)と妹阿夜訶志古泥神(イモアヤカシコネノカミ)、そして伊邪那岐神(イザナキノカミ)と妹伊邪那美神(イモイザナミノカミ)がご出現になりました。
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このあとは、イザナミ、イザナギの「国生み」と「神々を生む」働きへと続いていきます。したがって、この部分は、よく知られている「日本神話」の前に付いた、ちょっとどう解釈していいかわからない部分であり、イザナミ、イザナギを除いて、ここに出てくる神々をお祀りしている神社も少ないようです。けっこう理念的というか、もっといえば「つくられた感」がある……と感じる人も多い部分ですが、私は、「ひとりがみとなりまして、みをかくしたまいき」というところがけっこう気になります。それと、オモダルノカミの性格とか……


まあ、日本神話の詳しい話はまた別のところに譲るとして、今回は、この作品の箱に使った「蕎麦板」というお菓子について、ちょっと書いておきましょう。

このお菓子は、小麦粉、砂糖、卵、ソバ粉、ごま、食塩を材料として、手打ちソバの要領で板状に伸ばした生地を短冊状に裁断して焼き上げたもののようです。食べてみると、薄くて固いソバぼうろみたいな感じですが、八つ橋みたいでもあり、よくわかりません……5枚が一袋に入っていて、パリポリ食べだすとすぐになくなってしまいます。まあ、うまいのかな……地味ではありますが、いいんじゃないでしょうか。お茶にもコーヒーにも合うみたいですし……でも、印象としては若干中途半端かな。「ソバ」の感じからすると甘すぎるし、といって、フツーに食べるお菓子としては地味すぎる。もっと「ソバ」の方に振っても良かったのでは……



このお菓子をつくっているお店は、尾張屋さんといいます。ホームページ(リンク)を見ると、1465年(室町時代)に、尾張の国から京都に移ってきて、お菓子屋さんをはじめたといいます。その後、江戸時代(1700年頃)にソバ屋もはじめ、現在は、蕎麦屋と菓子屋の両方で、京都市内に4軒のお店を出しておられるそうな。夏季限定メニューの「はも天せいろ」というのがあって、写真で見るとうまそうなんですが、値段が書いてないのがなんとも……でも、この蕎麦板はそんなに高くなく、フツーにおみやげに買えるお菓子です。

このお店は、今、16代目の稲岡亜理子さんという方が店主として、伝統を継いでおられるそうですが、この方は、一風変わった経歴の持ち主で、もともとは世界中を旅する写真家だったそうですが、アイスランドで「水・石・苔という荒涼とした自然に魅了され」、それが「私の中に深く眠っているルーツ」を呼び覚ましたということで、「水・石・苔はまさしく17歳まで過ごした京都のお寺の庭などの風景に通じるものでした」ということで……ふーん……まあ、がんばってください……蕎麦は禅と関連が深く、このお店も、臨済宗のお寺(相国寺、建仁寺、妙心寺)と縁が深いそうです。

蕎麦そのものの伝来は、奈良時代以前にさかのぼるそうですが、文献に記載のあるのは、養老7年(723)の蕎麦栽培を奨励する太政官符の存在だそうで(『類聚三代格』による)、『古事記』の編纂が和銅5年(712)なので、11年のニアミスということになります。現在のように麺のかたちで食べられはじめたのは、16世紀末から17世紀はじめ頃(戦国末期から江戸初期)といわれ、意外に新しい……まあ、江戸時代の食べ物といってもいいのでしょう。尾張屋さんも、最初はお菓子屋さんでしたが、上記のように、蕎麦屋をはじめたのは江戸中期……

ということで、今回は、尾張屋さんの「蕎麦板」の、なぜか銀色の金属ケースの中に、『古事記』をつくりこんでみました。できあがった印象としては、かなりメタリックで、未来派的になったかな……と。かまぼこ型の「座」が、パソコンのキーボードのようにも見えてきて、これは、『古事記』専用の入力用キーボードにもなるのかもしれません。ただし、1キーが1文字相当で、古事記を構成する文字の数だけキーを造らなければならないので、全文をつくると、それだけで広大なキーボードになってしまいます。そして……このキーボードをアタマからポチポチと一文字ずつ打っていくと、果てしなき時間のあとに、『古事記』全文が入力される……という次第です。


自民党、スゴイですね。いや、ABくんがスゴイのか……よっぽどキレるブレインがいるんだなあ……キールアーチの数千億。なんであんなに高いのかと思ったら、ここで切るカードだったんだ……安保法案強行採決。その毒を薄めるために、「総理、キールアーチを白紙に!」ってことですか。あざやかだなあ……これを見越して、数ヶ月前からあの高い値段を出してきてたのか……ワル智恵って、際限なく進化するのですね。

3000億って、そんなに莫大な金額じゃないし、こういう建物の建設費が何倍にもなるのも「よくあること」というとヘンですが、うまいことそれを利用したなあ……と。よく言われる例ですが、シドニーのオペラハウスは、当初予算700万ドル(8億~9億)で建設開始して、最終的に1億200万ドル(126.5億)になった。実に、14.5倍に膨らんだわけです。竣工が1973年なので、今の値段にすると、いくらになるのかな?

いろんなドームのお値段をまとめたサイトもあります(リンク)。それによると……
★東京ドーム……350億
★福岡ヤフオクドーム……480億
★ナゴヤドーム……400億
★京セラドーム大阪……696億
★札幌ドーム……537億
★日産スタジアム……603億
★豊田スタジアム……356億

歴史上の建築物はどうなのか……
★クフ王のピラミッド……1250億(現代工法で。大林組の試算。リンク
★万里の長城(リンク)……200億ドル(2兆5000億:古代の工法で)26000億ドル(32兆2500億:現代の工法で)
★ヴェルサイユ宮殿……7000万ルーヴル(40年間の総工費、リンク:今のお金で400億?リンク

高い建物はどうでしょう?リンク
★東京スカイツリー(634m)……650億
★東京タワー(333m)……当時(1958)のお金で30億。現在の物価換算で400億?
★東京都庁(243m)……総工費1569億。
★あべのハルカス(300m)……日本一の超高層ビル。建設費は760億~1300億(総事業費が1300億?)
★ブルジュ・ハリファ(828m)……ドバイにある世界一高いビル。建設費は1300~1500億(諸説あり)。
★エンパイアステートビル(443.2m)……長く世界一の超高層ビルだった。建設費は約4095万ドル。1ドル360円レートで147億4200万円。
★1WTC(1776ft, 541m)……同時多発テロで崩壊したツインタワー跡地に建設された。3000億。

橋の建設費は?リンク
★明石海峡大橋……5000億
★瀬戸大橋(児島・坂出ルート)……8200億
★レインボーブリッジ(東京)……1281億
★ベイブリッジ(横浜)……800億
★東京湾アクアライン……橋ではありませんが……なんと1兆4000億
*ちなみに、高速道路の建設費は、1kmあたり53億6000万円、地下鉄になると、1kmあたり300億円だそうです。ということは、地下鉄を10km造るとポンと3000億。スゴイ!
*おまけ。新幹線は、1kmあたり約70億。リニアは、東京―名古屋間がみこみで10兆越えだとか。

じゃあ、ゲンパツは?リンク
★福島第1……1号機393億、2号機557億、3号機635億、4号機813億、5号機902億、6号機1759億。
★福島第2……1号機3565億、2号機2763億、3号機3148億、4号機2914億。
★柏崎刈羽……1号機4756億、2号機2998億、3号機3253億、4号機3344億、5号機3562億、6号機4182億。
★もんじゅ……5886億。

巨大な数字がずらっとならんでアタマくらくら……2520億?それがどうした?……って感じですが、「税金を使って」というフレーズに、国民はビビッと反応する。今回は、それをみごとに手玉にとられたって感じですね。一旦下がりかけたABくんの支持率も、この「新国立白紙」カードで再び上昇するんでしょう。マスコミと国民の神経、なにをくすぐるとどう反応するのか……知り尽くしておられますなあ……オソロシイ……

オマケ。それにしてもこの人、オリンピックというエサを徹底的に利用しつくして国民の心を自在にコントロールする。あらためて、スゴイなあと思います。1936年のナチスオリンピックは「ヒトラーのオリンピック」と言われているそうですが、それでいうと、今度のは、「ABくんのオリンピック」ということになるのでせうか……