こんなことがありました。

空ちゃんが50歳そこそこのころのことです。

当時、空ちゃんの仕事場は大阪(技術部門)から東京(営業部門)にかわっていました。

大阪で会議があるということで、その広い事務所の一角(いっかく)での昼休みのことです。省エネで照明のほとんどが消えていました。その休憩(きゅうけい)場所で空ちゃんが何気(なにげ)なく広い部屋の真ん中にある通路を眺(なが)めていたら、そこを同期入社で数年前に少しの期間だけ、すぐ隣(となり)の席で仕事をしていた呰上(あざかみ)君を見かけました。異様な雰囲気です。尋常(じんじょう)でない様子(ようす)で、その大きい部屋の中央通路を足早(あしばや)に歩いていきました。空ちゃんは彼に声をかけようと思いましたが、その異様さに驚いてしまって声が出ません。

その数日後、彼が亡(な)くなったことを知りました。

いつ?と聞いたら○×日とのことです。

「えっ!○×日?……何時ごろ?」

「朝です。展示会に来ないのでおかしいと思って探したら……」

「えっ!朝!……その日の昼に久宝寺の技術部の部屋で見たよ!」

「えっ!!!」

こんな会話が会議で一緒だった技術部の同僚(浦平課長)とかわしました。

空ちゃんは彼、呰上(あざかみ)課長の亡霊(ぼうれい)を見たのです。

死因は誰(だれ)も教えてくれませんでした。彼は輸出関連の営業課長でした。特に韓国(かんこく)との輸出に力を入れていました。今回の展示会では中心的人物の一人(ひとり)でした。英語力と見かけの若さが彼の自慢(じまん)でした。

突然のことで、彼も何が起こったのかよくわからずに戸惑(とまど)っていたのでしょうね。そんな彼の姿を空ちゃんは見てしまったのです。あの昼休み、あそこの事務所にはほかに何人もいましたが、同時刻に誰も彼を見ていないとのことでした。

なぜ、彼は早世(そうせい)したのでしょうか?

 

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