友達ってなんだろう?~『宇宙よりも遠い場所』~ | 木製魔術道具作家☆ルーン&オガム マスター☆そらのともしび Official Blog

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北部ヨーロッパの樹木信仰をベースにした魔術道具制作、古代ゲルマンの文字・ルーンや古代アイルランドの文字・オガムを使ったリーディングやリーディング講座を主催しています。

南極観測隊の話だ、というのを知って

なんとなく録画して見始めた

『宇宙よりも遠い場所(そらよりもとおいばしょ)

が、個人的前予想に反し、

心にグイグイ来たお話だったので

健忘録として。

 

 

 

わたしにはまだまだ偏見があってはぁ??汗

女子高生が出てくるアニメって

キャピキャピ甲高い萌え声が耳について...

みたいな先入観がどうしても拭えず、

飽きずに観通せるか不安もあったけど

そんなの軽々ふっとばすくらいの名作でした。

 

この作品は、友達関係で

傷ついたことのある人の心を

えぐってえぐって和らげる(?)、

観たら心の何処かが安心したり

謎が解けたりするんじゃないかと...

大袈裟に聞こえるかもしれませんが

最終話の感動のままに書いておりますですえっへん汗

 

 

元々南極に関しては、

父親が嘗て、造船関係の仕事に就いていて

南極観測船についても関わっていた事、

また、南極に置き去りにされた樺太犬の

タロとジロがモチーフになった『南極物語』も

リアルタイムな世代だった為か

小さい頃から興味と畏怖と憧れがあり。

 

(今となっては真偽の程は定かではないけど

南極の石が玄関に飾ってあったような...?

あれは本当に南極の石だったのか...?

そういえば今は何処に...?)

 

上に挙げたような偏見もあり

ちょっと躊躇はあったものの、

南極の面白不思議話とか観られるのかな?

と、それだけの興味で見始めて。

 

でも、違った。

 

いや、南極観測についての話なんだけど

観測に関するあれこれもお話の中には

登場するんだけど、それを上回るほどの

『友達ってなんだろう?』

がテーマのお話だったのですよ。

 

これ、中学校とかで観た方がいいんじゃ?

課題映像作品として...と思うくらいよ。

 

もちろん、大人になったって

友達関係の色々はある訳で。なので

全年齢対象で楽しめる作品だとも思います。

 

 

お話のあらすじはこんな感じ。

 

主人公の玉木マリ(キマリ)は

高校生になったらやりたい事が

沢山あったはずなのに、

なかなかそれを行動に移せないまま

高校2年生になっていた。

そんななか、同級生の小淵沢報瀬

(しらせちゃん)が

南極に行こうとしている事を知る。

高校生が南極に行けるはずもないと

周囲から嘲笑されても

絶対に諦めないしらせちゃんの姿に

キマリは心を動かされ、一緒に南極へ

行く事を決意する...。

 

南極に絶対行きたい高校生

しらせちゃんのお母さんは元観測隊員。

『宇宙よりも遠い場所』という

南極に関する本を出している。

そのお母さんは、南極で消息を絶ち

以来行方不明---。

 

 

『お母さんの愛した南極に

絶対に行きたい』という

しらせちゃんの強い気持ちに

みんなが引っ張られて、って感じで

南極行きが決まるのだけど

今となっては、そんなしらせちゃんが

主人公じゃない所が

やっぱりメインテーマは南極じゃなくて

『友達』なんだろうなぁと思わせる。

 

それが、一見特殊な南極という舞台に

負けない感じで、違和感なく

お話としてうまく組み込まれていて

第5話辺りからは毎回嘘じゃなく

滂沱の涙と共に拝見しておりました。

 

 

初めのうちはやっぱり、

主人公のキマリが天然ボケで明るいという、

(これはわたしの偏見だけれども汗

アニメならではの性格、

つまり個人的にリアリティを感じられず

ちょっと見続けるの辛いかな?と

思ったりもしたんだけれど

そういう性格のキマリだからこその、

幼馴染のめぐみ(めぐっちゃん)との関係も

何かを匂わす形で描かれてるように思い。

 

『女子高校生がどうやって南極に行くのか?』

ももちろん気になったけど

『めぐっちゃんも南極に行くのか?』

と、割とこっちを主眼に見ていたんでした。

 

なので、第5話『Dear my friend』は

よくぞこれを描いてくれた!と思って

ひとりTVの前で、号泣&称賛の拍手喝采。

人と人の関係性の表と裏を

30分という短い時間で

きちんと描き出してたんじゃないかと。

 

更に、先日の最終回、

この第5話のキマリとめぐっちゃんの流れを

受けてのラストシーン、

すごくすごくいい形で〆られていて

あぁ~またいいもの観られたなぁ、と

幸せな気持ちに。

 

最後の最後に、キマリの幼馴染

めぐっちゃんを持って来たところも

やはりテーマ的に『友達について』

という部分を大事にしているんだろうな

と思わざるを得ず。

 

第13話のタイトルは

『きっとまた旅に出る』だったけれど

きっとまた旅に出るからこその、

今、帰って来られる場所の描写、

なのかなぁと思ったりも。

 

 

キマリはドタバタ天然ボケドジっ子キャラ、

めぐっちゃんはクールなお姉さんキャラ。

 

この二人の関係は

小さい頃からの幼馴染だけど

多少めぐっちゃんに頼ってる自分を

意識していたにはしていたけど

所謂普通の幼馴染って思ってたのは

キマリの方だけで。

 

めぐっちゃんが

クールなお姉さんキャラでいられたのは、

いつもバタバタ危なっかしいキマリがいたから。

そういう形があったから

お姉さんキャラでいられた訳で。

 

いつも自分を頼りにしていたキマリが

自分の範囲以外に夢を見つけて

そこにどんどん向かって進んで行く姿に

きっと寂しさと羨ましさと裏切りと怒りと

もうそれこそいろんな気持ちが

ないまぜになっていたのでは?

 

相手に必要とされていたのが自分、

だったんじゃなく、相手を必要としていたのが

自分だった、と気付かされたことも

恥ずかしくて情けなくて

いたたまれなかったんじゃないのかな...?

 

そういう気持ちの乱気流に負けて

めぐっちゃんは

キマリたちに酷い事をするけれど

キマリはそれを受け止める。

そんなことさえ超えて行こうよ、

めぐっちゃんとなら超えても行けるよって。

 

ここはフィクションならでは、というか

『南極に行く』というストーリーが

一応メインになっている訳だし

30分という短い時間だからこそ

スッキリ解決させていくんだろうけど

リアルだったらややこしく

大変面倒くさい出来事で揉めに揉めそう。

キマリみたいに赦せるかっていったら

めぐっちゃんの気持ちを汲み取ったとしても

時間が必要な事が多そう。

 

でもここはフィクションの良さが上手く出てて

『友達ってなんだろう?』って問いに

大きなヒントが示されたようにも思ったし、

キマリの行動に、なんだかとても

大きな希望のようなものを

貰った気持ちもして。

 

南極に一緒に行った4人の関係でも

それぞれ沢山いいお話があったけど

初めからキマリとめぐっちゃんに

注目してたのもあって

あのラストシーンは本当に嬉しかった。

 

(めぐっちゃんもめぐっちゃんなりに

新しい世界に飛び出したんだな...と。

飛び出しつつも、キマリと同じものを

違った形で共有したかったのかなって思って

やっぱり涙汗

 

南極という特異な環境を体験した仲間に

フォーカスを当てつつも

そういう環境を共有、体験してなくても、

友達は友達なんだよ、

色んな友達がいていい、

色んな友達でいていい、と示して

くれたような気が。

 

常に一緒に居なきゃ、とかでもないし

どっち関連の友達の方が...とか、

人は何かと比べたくなってしまうもの

なのかもしれないけれど

そうじゃないよ、っていうところを

示してくれたような気がして、

本当に素晴らしいラストシーンだったな、と。

 

南極に行く、って普通非日常だし

派手だからそっちにばかり

目が行っちゃうのも仕方ない。

南極に行く人はそんな風に

思ってないかもしれないけど

見送る側、そっちに行けない側の立場だと

疎外感感じちゃう事もあると思う。

年齢が幼いなら、経験が少ないなら余計。

 

だからこれは、

『南極に行かない側の友達』

という立場の人に、安心感と

自分の夢に踏み出す勇気を

与えてくれたのではないかなと

感動してしまったのでありました。

 

今回は最終話を見たばかりで

キマリとめぐっちゃんの話中心に書いて

しまったけれども、キマリ以外の

他の3人の『友達』に纏わる話も

中々に心をえぐって来て好いのです。

 

(個人的には、しらせちゃんと

訳あって高校中退したひなたちゃんとの

やり取りが、とっても心にキテしまい。

第11話はズルいよ~!

ああいう状態になって初めて

大泣きしたひなたちゃんが切なくて苦しかった涙

 

今リアルタイムに中高生でいる人たちが

このお話をどう思うのかはわからないけど

数十年前中高生だった自分は

やっぱりその年代に忘れ物をして来てて

こういう形で『友達ってなんだろう?』の

ヒントを見せてもらえたことで

カタルシス、感じているんでしょうねぇ。

 

13話で終わりだったので、

南極については正直、

自分の興味が満足するほどの情報は

なかったかなぁ...と思ったりもしたけど

主となるテーマは多分『友達って?』って

部分だと思うので、これはこの形で

よかったんじゃないかと。

 

南極に関して詳しく知りたければ、

お話の中にも出て来た

立川の国立極地研究所に行けばいいのだし!

極地研究への興味を繋ぐきっかけには

充分になったと思いました。

 

今ならAmazon prime videoにて

プライム会員なら無料で全話観られる模様。

『友達ってなんなのよ...』と

モヤモヤしている方、

青春グラフィティ好きな方、

アニメだからと敬遠されている方にも

騙されたと思って観てみて~!と

叫びたいオススメの作品です手。キラキラ