たくさん泣いて、頭が痛くなり寝付いた。

朝4時に赤ちゃんの大きな泣き声で目が覚める。

眠りが浅く、直前まで怖い夢を見ていたようだ、どんな夢かは覚えていないが、うっすらとした嫌な記憶がある。


赤ちゃんの泣き声はおそらくどこか近くの部屋からで幻聴とかではなさそう。

私のところにはもう赤ちゃんはいないんだという現実が一瞬で押し寄せて、泣いてしまう。



誰も悪くない。

この世界には今日もたくさんの赤ちゃんが産まれる。その子たちにはどうか元気に育ってほしい。そしてそのお母さんや家族が、悲しい思いをせずにその成長を見守っていけますように。


この経験をしなければ、私は当然のような顔をして赤ちゃんを産んで、街中で堂々と赤ちゃんを抱いて歩いていたんだろう。その隣に悲しい経験や複雑な思いを抱えた人がいるかもしれないとわかっていても、たいした想像力もなく過ごしていただろうなと思う。

経験してはじめて思い及ぶことがたくさんある。


私の赤ちゃん。私たちの赤ちゃん。その姿を見たとき、彼は我慢できずに声をあげて泣いていた。出産の痛みとか不安とかはじめての経験のインパクトとかそういうこともより、彼の泣く姿がいちばん心に深く刺さった。

なぜ彼にまでこんな思いをさせてしまっているんだろう。申し訳なく思う。

何度も彼にごめんねと言っていたら、なっちゃんのせいじゃないでしょ、ごめんって言うのはもう無しね、と。

私からしたらごめんという気持ちが大きいけど、彼からすれば謝られるのも辛いんだろう。だから私は素直に受け入れて、それ以降ごめんと言うのはやめた。

何よりこわいのは、彼と私がふたりで一緒にいることで、この辛い気持ちもセットになってしまうこと。彼とふたりで気持ちに整理をつけて、これから先の人生をちゃんと生きていけますように。

私たちの赤ちゃんは、無事に天国に到着して、辛いことやくるしいことはひとつもなく、楽しく笑って快適に過ごしてくれていますように。