来年度の授業のテキスト選びについて、つづきです(大学3、4年生向けの英語。必ずしもリーディングでなくても良いのですが、私の場合、きちんとした本を1冊読み通させることを重視しています。ちなみに、外国語や外国文化関係の専攻ですが、外国語で有名な大学ではないです)。

 

前回の書き込みで考え中だった Reza Aslan, An American Martyr in Persia: The Epic Life and Tragic Death of Howard Baskerville (W. W. Norton & Co. 2022) を読み終わって、暫定的にこの本にしようと思っています。けれど、戦った相手の首を切るとか、それを誰かに送りつけるとか、ややショッキングな描写があるところなど、まだ若干迷っています。(『鬼滅の刃』とかに慣れてるのだから大丈夫か、という気もしますが...)

 

それで、もう少し穏やか(?)で、内容や本の構成、そしてただ読むだけでなくてコミュニケーションにも役立つ表現の勉強になるようなところの多い  Lind Jaivin, The Shortest History of China (The Experiment, 2021) を再検討してみました。確かにこちらの方が私の授業の進め方や内容からすると合っています。ただひっかかるのは、なぜ中国史?、という点です。それを言い出したらペルシア(イラン)の歴史だって必然性はありませんが、この本の場合、中国史の一般的知識が中心になってしまいそうで、私のこれまでの経験からすると、それはやや学生が飽きてしまう傾向があり、躊躇します。

 

そこで新たに Firoozeh Dumas, Funny in Farsi: A Memoir of Growing Up Iranian in America (Random House, 2004) を検討しました。

 

 

この本もアメリカに移住したイラン人のお話なのは偶然です(An American Martyr in Persia の著者アスランも、イランからアメリカに移住した人物)。この本、ユーモアもあるし、英語も平易で読みやすいのは良いのですが、大学3、4年生に1学期使って読ませて、それなりに苦労してもらおうと考えていることを考えると、物足りない気がします。なので、これは1、2年生向けの授業のために取っておくことにしました。

 

さらにもう1冊、Ron Hall and Denver Moore with Lynn Vincent, Same Kind of Different As Me (Thomas Nelson, 2006) も検討しています。こちらはルイジアナのプランテーションで育ち、テキサスのダラスやフォートワースでホームレスをしていた黒人男性(Denver Moore)と、アート・ディーラーとして成功した億万長者の男性(Ron Hall)の、決して交わらないと思われるような人生が、あるきっかけで結びつくという、 実話を描いた物語です。日本では公開されなかったようですが、同タイトルの映画(2017)にもなっています。

 

        

 

イランや中国の歴史とはずいぶん違いますが、やはり私たちの目には普段とまらないような世界を見せてくれて、社会的な問題を取り上げているという点で私の求めているところに合います(この点に関して、以前テキストで使った Michelle Kuo, Reading with Patrick, MacMillan, 2017 と似ていなくもありません)。ただ、まだ読んでいる途中なのですが、受講生に発表させるという授業の進め方を考えると、やや扱いにくい印象を受けています。

 

それで、まだ決めきれずにいます。

 

もう少し考えてみます。