セントラルパークは、ニューヨークに行ったら誰もが訪れる観光地であるとともに、NY市民の生活の一部です。

 

セントラルパークのような公園はアーバンパーク(都市公園)と言って、大都市の人口が増えて生活環境が悪化した頃、街の魅力を高めるために(土地の価値を高めるという目的もあったと思います)作られました。19世紀後半くらいのことです。ヨーロッパの公園が支配階級によって作られたのに対して、アメリカやカナダの都市公園は、人民の公園として構想されたと言って良いと思います。

 

さて、都市公園の代表例であるニューヨークのセントラルパークがどのように設計されたのかを紹介しているビデオがあります。Architectural Digest という、私が最近気に入って観ているシリーズの1つです。

 

How Central Park Was Created Entirely By Design and Not By Nature (Architectural Digest)

 

私は2017年にニューヨークを訪れたのですが、その時にセントラルパークで撮った写真をいくつかご紹介します。ビデオの中でも話題にのぼっています。

 

ベセスダ噴水(Bethesda Fountain)

 

ビデオでも説明されているとおり、セントラルパークの道は、歩行者、馬車、車の動線を巧みに分けて設計されています。

 

 

セントラルパークは街中に人手の入らない自然を残したものではなく、すべて人造です。でも、それはがっかりすべきものではなくて、よくここまでうまく考えたものだと感心させられるような類の人工物です。歴史的には、この公園を造るにあたって潰されてしまったセネカ・ヴィレッジ(Seneca Village)という黒人のコミュニティがあったことなど、決してすべてが良かったわけではないことも知っておかなくてはなりませんし (*)、公園の維持が危うくなった時期もありました。しかし今でも憩いの場として、市民の手によって守られ、維持されている、素晴らしい公園だと思います。

 

*興味のある方は、例えば "Before Central Park: The Story of Seneca Villagae" (Central Park Conservancy)をご覧ください。

 

フレデリック・ロー・オルムステッド(Frederick Law Olmsted, 1822-1903)

Often referred to as the “Father of Landscape Architecture,” Frederick Law Olmsted—alongside Calvert Vaux—designed Central Park in the 1850s to be a democratic greenspace in a growing metropolis. That "sense of enlarged freedom" he weaved into his plans can still be felt today through the Park’s rolling lawns, peaceful water bodies, and lush woodlands that offer the weary New Yorker an opportunity to recharge. (Central Park Conservancy)

 

以前、NHKでセントラルパークの四季という特集番組が放送されたことがありました(「ハイビジョン特集 四季・セントラルパーク 市民が守る都市公園」, 2007)。DVDにもなっています。入手するのはやや難しいかもしれませんが、そちらも機会があったらぜひご覧ください。

 

公園の楽しみ方は人それぞれです。私の場合、もちろん子どもが小さかったときは遊びが中心でした。広くて、安全で(車が入ってこないなど)、トイレが綺麗なことが重要なポイントです。でも、私個人としては、仕事の行き帰りでも、いつでも、気軽に立ち寄ってぼーっとしていられるところです。そういう意味で大好きなのは、札幌の大通公園です。公園に行くぞ、と気合を入れていかなくても、気軽に立ち寄って本を読んだり人通りを眺めていたりできますし、子どもを連れて遊びに行くのでも楽しめる、たいへん気の利いた公園です。