健太郎君の敗戦に落ち込んでいる私の前に颯爽と現れた天笠選手。
ガッチリしたいかにもファイタータイプな健太郎君とは対照的な長身でスレンダーであるが、強力なパンチを武器にKOの山を築きあげる大変な人気選手です。
 幸運にもそんな彼の豪華なナビ付で観戦できる日本タイトルマッチは激戦でした。

細野 悟(大橋/WBAフェザー級13位) 10R 梅津宏治(ワタナベ/日本同級7位)

 序盤、仕掛けたのは梅津選手。世界戦経験者の細野選手もやや面食らった様子もありましたが、すぐにバズーカの異名を取る強打で応戦。そして、この選手も岡田選手同様鋭いボディブローを連発できます。
 山形ジム会長は健太郎君に「お前は人の試合見ないから成長できないんじゃあ。」などといいながら叱咤しています。
確かにボディブローを受けても全くひるむ様子を見せない梅津選手からみると、今の健太郎君には鍛える余地が多分にあります。

 私は天笠君に「どっちとやりたい?」と聞くと、天笠君「ウーン。どっちも味のある強い選手ですからねえ。」とあっさりかわされてしまいました。

 天笠君は今年6月にこのタイトルを持っていた李レツリ選手(現SB級世界チャンプ)の技巧の前に完敗してしまいました。しかし、最終Rにはあわや大逆転というシーンも演じているだけに、このタイトルへの執着は強いはずです。

 私はその試合を生観戦したことを彼に告げると、天笠君は「あの試合は本当に自分が情けなくて何も出来ないで」と恐縮してましたが、本当に情けないのは、こうして自棄酒飲んでる自分の方でして(笑)

 試合のほうは、相変らずバズーカを受けながらもシブトイ抵抗を続ける梅津選手の意地が印象的でした。
しかし、試合も終盤になってくると、インターバル中に打ち込まれている梅津選手の方にドクターチェックが入ります。
天笠君「やばいですね。ストップ入るかもしれませんよ。」
 その心配をよそに梅津選手は要所要所でラッシュを見せ、細野選手を苦しめました。

最終Rを前に健太郎君は地元の山形に帰る時間が来たので、握手をして別れました。
 健太郎君にはあの梅津選手のような鋼鉄の身体、闘志を身につけ来年は日本または東洋ランク入りを目標に頑張ってもらいたいです。

 試合は梅津選手が最後まで粘りましたが、天笠君のターゲットは細野選手になりました。もし、この日本タイトル戦へのマッチメイクが上手くいかなければ、今月6日に松田選手からタイトルを奪ったラフファイターの比国人選手との対戦も面白いかもしれません。

いずれにしても、健太郎君、天笠君とも来年は勝負の年になると思います。

明日に向かって羽ばたけ! 健太郎マイモンコンプロモーション。天笠尚くん。
 



 健太郎マイモンコンプロモーション選手の試合は本当にわかりやすい。勝つ時は豪快な勝ち方。しかし、負けるときは逆に凄惨を極めている。
 この日、格上選手に叩きのめされてしまった健太郎君は、入場の際の勇ましい顔とはうって変わった悲痛な表情でうつむきながらリングから降りてきました。このコントラストもまたボクシングの美しさであるように思います。
 私は健太郎君の肩を叩こうと手を伸ばしたが、やや躊躇してしまったせいか届きませんでした。
私の手は次に下りてきた山形ジムの会長にポンポンと当たりました。

 実は私はこの日の健太郎君の勝利を祈願して、恥ずかしながらプチ禁酒をしていました。この試合が終わってから祝杯を挙げるためにカバンに忍ばせていた缶チューハイを飲みながら、やや涙目になってしまいました。
 
 少ししてジムの会長が現れ、「やっぱりボディーが来るのわかってて鍛えたのにだめだった。また、しっかり鍛えて出直しだ。」と言っていました。

 そうこうしているうちに、この日のメインイベント日本Fe級タイトル決定戦の入場が始まりました。
 その後、やっと健太郎君が会長と色白の細身の男と3人で一緒に客席に現れました。健太郎君はまだ浮かない顔をしていて私に何か話しかけようとしていましたが、私はそれを制止して「まだまだ全然大丈夫だから」と言って着席してもらいました。
 私の左隣に3人が座りましたが、私の隣から、色白君。健太郎君。会長という並びになりました。
この色白君。一人でいると絶対に誰もボクサーだと気づかないだろうな。という雰囲気です。

その色白の優男は現日本Fe級2位の天笠尚選手でした。

 すいません。酔っ払っているので続きはまた明日。
 

 昨年7月のとある日、後楽園ホールのイベントで、面白いリングネームのボクサーと出会いました。新人王戦第2戦を戦ったそのボクサーは不器用ながらもキャリア中、初めてKO勝ちを修めました。その名は健太郎マイモンコンプロモーション。
 そして、同じ日の最強後楽園準決勝(優勝者には日本タイトルへの挑戦権が与えられる)に出場のA級ボクサーは、所属ジムの元世界チャンプである大橋会長ばりのパワフルなボディブローを主武器に協栄の松崎選手(現SFe級2位)に完勝しました。その名は岡田誠一。

 たった一年数ヵ月後にこのようなキャリアのかけ離れた両者の試合が組まれるとは全く想像していませんでした。私の中で間違いなく今年のベストバウトです。


岡田誠一(大橋) 8R 健太郎マイモンコンプロモーション(TI山形)

 健太郎君の入場はひじょうにシンプル。応援の幕も張られていなければ、若い男女の応援団みたいな人々もいない。この日の入場はリングサイドの関係者へも全くわき目も振らずにすごい気合の入った表情でした。
 試合内容については、全試合いつも詳細に書いてあるあの方のブログのそのままでした。
 序盤に健太郎選手にもチャンスはありましたが、やはり、この階級で図抜けた存在の世界チャンプ内山選手を除けば、第一戦級にいる岡田選手はすごい実力者でした。
 右と左の違いはあれど、お互いひじょうに好戦的なファイター同士。
健太郎君の先制攻撃に呼応するように激しいボディブローを見せた岡田選手の3RKO勝ちでしたが、本当に凄絶な打ち合いでした。
 この試合を受けてくれて、その上、ボクシングの厳しさを教えてくれた岡田選手。もう非常に感謝しています。