夜勤明けの本日。
「たまには行ってみようかな」と、最近殆ど買わないお店でお昼のお弁当を買い。
何事もなく過ごしていた。
あの連絡が来るまでは…
お昼を食べ終わり。
夜勤明けお決まりの睡魔が襲ってきたところで。
珍しく、Horusのスマホに着信が(´・ω・`)
「…親が何か必要な物でも持って来いって電話でしょうね(-_-;)」とアヌビスに言いながらスマホを見ると。
…何と。
…ママ。もとい恩師からの着信だったのだ( ゚д゚ )彡
「何!?どうしたの!?」とアヌビスに言いながら電話に出たHorus。
後に来る、悲しい出来事を知らずに…
「もしもし、Horusちゃんですか?
○○です。」と、スマホごしにママの優しい声が聞こえてくる。
「先生、どうしたんですか?
私のスマホに直に電話をかけてくるなんて…」と、話を続けようとしたのも束の間。
ママから、お願いしたい事がある…と話があった。
"ママの家に着いたら、玄関で渡す物を近くのお店でコピーしてきて欲しい"
"コピーが終ったら、それをここに持ち帰ってきて欲しい
そして、家の中で話を聞いて欲しい"
…詳しい事は戻って来たら話すの一点張り。
一先ずママの言う通り、コピーを済ませママの居る家に戻った。
そこでHorusは、何となくママが言おうとしている事を察してしまった。
…ママ。
どうしてママの顔は、そんなに浮腫んじゃってるの?
どうしてそんなに痩せちゃったの?
どうしてそんなに弱々しい声になっちゃったの?
…嫌な予感を押し殺し、ママが勧めてくれた家の中の席へ。
ママの旦那さんの遺影に挨拶をし、席に着いた。
ママがいれてくれたお茶を一口飲むと。
…コピーしてきた物を手に、ママが話をしてくれた。
「声に出して話すと上手く伝えられないと思って、紙に書き出してみたの。
伝えたい人達に渡そうと思って…。
Horusちゃん、先ずは一度最後まで読んでみて貰っても良いかな?」
ママに言われた通り、コピーしてきた書類に目を通す。
そこには、8月秩父に行けなくなってしまった時からの以下の事が買いてあった。
…ママのお腹の中に、"肉腫(にくしゅ)"…つまり「悪性腫瘍(しゅよう)」が見つかった事。
…年間1,500人位にしか見られないとても珍しいもので。
治療は"抗癌剤"の点滴のみ…と言われた事。
…治療を疑問に思い、以前お世話になった医師が勧める治療・ママの娘さんが紹介した「光免疫療法」をはじめた事。
…はじめて1ヶ月程してから、38℃台の発熱と食欲不振。
今月に入ってからは怠さが出てきた事。
その影響で、日中起きていられる時間が短くなってしまった事。
…忙しさにかまけて、きちんと診てくれる医者ではなく早く診てくれる"開業医"を受診してしまった事を悔やんでいる事。
そして、最初に不調を感じた時点できちんと調べておけば…と、後悔している事。
書類を読み終えると。
Horusの目からは涙が止まらずに溢れ出て。
震える声で、ママに聞いていた。
「先生、ここに書いてある事の意味が分からない。
…光免疫療法で、病気は治るんですよね?
…また前みたいに、二人で一緒にお出掛け出来るようになりますよね?
…御飯食べて、お話して。
そういう事が出来るようになりますよね?」
ママは、Horusに言った。
「Horusちゃん、泣かないで。
私もそれを願って、もう少ししたら病院に入院して治療をはじめる事にしたの。
でも、今度の治療は長く入院しないといけないから…。
それに向けて、私の"大切な人達"に宛てて手紙を書いてるところなの。
勿論、その中にHorusちゃんも入ってるよ。」
「入院した後の治療の経過がどうなるのか、全く見当がつかなくて。
"会える内に、会いたい人に会っておきたい"と思ったの。
そうしたら、Horusちゃんから御手紙がきていて…。
こうやって、話をする事が出来てるんだよ。」
…泣いているHorusを見てなのか。
…ママも凄く悲しい気持ちになっているからなのか。
気づけば、ママの目にも涙が溜まっていた。
ママが目に涙を浮かべているのを見たのは、何年ぶりだろうか?
…Horusが病気で入院して、御見舞に来てくれた時だった気がするから。
20年以上前かもしれない。
病気の影響で、長い事話をする事が体力的にキツい…とママは言う。
泣きながら玄関に向かうHorusの手を、ママは握ってくれた。
「Horusちゃん、今日は来てくれて有難う。
悲しいけど…さようなら。」
…温かいママの掌がHorusから離れ。
ママに御辞儀をして玄関を出たHorusは、その帰り道涙が止まらなかった。
自転車に乗りながら涙を流す34歳の女は、周りから見たらシュール以外の何物でもなかっただろう。
でも、そんな事を気にする余裕はなかった。
深い悲しみの方が勝っていたのだから…
「どうしてママがあんな目に合わないといけないの?
ママは何も悪い事してないじゃない!!
寧ろ、他の人の為に良い事しかしてないのに…何で!!」
金龍さんが、Horusにこんな声をかけてくれた気がする↓
「我等に出来る事があれば力になるが。
…我等よりも上の存在。
御前達人間が"神"と表現する存在が決めた、言わば宿命であるならば。
我等にはどうすることも出来ない。」
「宿命に抗う事は、即ち"神"を否定する事に等しい。
従うのは酷だと思うが、仮に抗ってその人は喜ぶのか?残りの人生を幸せに、楽しく生きる事が出来るのか?
…我等と共に旅をしてきた御前なら、薄々気付いているのではないか?」
「その者の為に自分が出来る事は何か?
それを考え、導き出した答えの先にその者の"笑顔"が少しでも見えたのならば。
…迷わず進んでみてはどうだ?
我々の存在を信じるように、"奇跡"と言うものを御前が心から信じれば。
…人間が言う"運命の歯車"が、良い方向にまわりだすかもしれんぞ。」
金龍さんの言うとおりだ。
泣いていても、何にもならない。
泣いてママの病気が治る訳でもない。
Horusがママの為に出来る事。
それは、ママと話をする事。
そして、"見えない力"を信じる事だ。
これからはママの為に、神様達の力を借りに行こう。
早速、明日から実行だ(>ω<)