編集部(以下、編):先生、今回はネスタリゾート神戸にやってきました!
損小神無恒(以下、損):私は遊園地は嫌いである。言わんこっちゃない、こんなにも人だらけではないか。
編:まあまあ。今日はKYMCO・UXV450i、いわゆるATV(全地形対応車)に乗ってみようということで。
損:だからといって、休日の行列に加わるのは御免なのさ。
編:分かりやすく言えばバギーですね。キムコは聞きなれないメーカーですが、台湾ではもっとも売れているオートバイブランドのようです。
損:それにしても遠いな。あのゴルフカートに乗けていってもらえんものか。
編:水冷の単気筒エンジンは443ccで33馬力を発生。車体重量は515kgとかなり重いですから、恐らく動力性能はそこそこでしょう。一方でホイールベースは2メートルを切り、エンジンはミッドシップマウントというので、敏捷性は期待できそうですね。
損:まったくもって坂が多い。エスカレーターはないのか。
編:4WDシステムはスズキ・ジムニーと同じパートタイム式です。最低地上高の230mmはジムニーをも凌ぎます。しかもボディはフレーム構造ですから、本格オフローダーですよ!
損:もう疲れた。そろそろ休憩にしよう。
編:文句だけは一人前なんだから!
●巨匠、柄にもなく楽しむ。
損:さて、早速乗り込んでしまったが、どうすればいいのだろう。
指導員:各部の操作は乗用車と変わりません。ミッションはオートマチックですから、アクセルを踏むだけで走ります。
損:HI-LOでいうとHIの方に入れておけばいいのだな。ほんとうだアクセルを踏むと進んだ。
編:エンジンは殆どバイクですね!すごいバイブレーション!
損:フロントガラスが無いから容赦なく風が吹きつけてくる。先行車の砂塵が目に入って痛い。
編:痛たたっ…。ゴーグル借りたら良かったですねえ。ぜんぜん前が見えない。
損:思った以上に速度が乗るな。カール・ルイスよりも速そうだ。
編:できればウサイン・ボルトで例えてください。うわあ、今度はヘビーなオフロードですよお。
損:ためらいなく突入する。おっと、スティアリングを戻し遅れた。
編:お願いだからぶつけないで下さい!うう~っ、揺れがすごくて酔いそうです。車両間隔は適切に!なおかつインプレッションもお願いします!
損:難しいことを言うな。ついていくのがやっとなんだから。
編:ついていくたって、前は若い女性ですよ!あなたはMAZDA評論界の巨匠を何年やってるんですか!
損:くそう、サイドブレィキはどこだ!
編:ドリフトでもするつもりですか!バギーでラリーはご勘弁を!
損:おっと、アールを読み違えた。そして思ったよりサーボが効かないな。
編:ちょ、ちょっと待ってください。それって止まれないんじゃ…。
損:大丈夫。
編:おおお横転するーっ!
損:大丈夫だ。トレッドは狭くともミッドシップなので重心が低い。まるでラリーカーのようなプロポゥションをしておるから、そうそう倒れることは無いだろう。
編:冷静なふりしてますけど、脂汗ドロドロですよ先生!
損:とにかく小さくてすばしっこくて楽しいクルマだった。注文はブレィキとシィトだな。このシィトなら体育館のパイプ椅子の方がマシだ。
編:冷静にクルマとして見ると、オンロード性能はひどいですね。まあでも、公道は走れませんから。本来は広い農場や牧場などで使われるんでしょうし。
指導員:お疲れさまでした。ヘルメットはあちらにお願いします。
編:1周2km強で約15分のトレイル。いかがでしたか先生?
損:ひどく疲れた。帰りはあのゴルフカートに乗せてってもらおう。
編:そうですねえ。って、あれ、すごい!あのカート、無人で走ってます!
損:これも自動化の波であるな。我が家にも一台欲しいところだ。
編:そうやって快適に胡坐をかいてたら太りますよ!もう太ってるけど!
損:…今日はひとつ、歩いて帰ろうか。