その一年ほど前に自伝を出版していたのも今更ながら知って恥ずかしいやら残念やら。
20年前にその存在を本で知って「強烈な人やなぁ」と興味がわいたと同時に氏の漫画「人間時計」が復刻版として出版されたので速攻で購入した。
「世界は自分を含めて全員死ね」と、あらゆる毎日毎秒を無駄に中に中に押し込めてた時期に読んだにもかかわらず、そこに描かれる世界は全ページ全コマ全セリフ「なんじゃこりゃ??」のオンパレードだった。
作品というのは人間にとって色んなパターンがあり、脳を包む作品もあれば脳に傷をつける作品もある。
そして脳に傷をつける作品というのはピッ!と物理的に傷つけるのだと思う。
徳南晴一郎の作品も間違えなくピッ!と傷をつける作品だった。
生前どれだけの取材を受けてどれだけ拒絶されたのかはわからないけど、人生の歩調と合わない栄光が訪れようとする時の世の中への憎悪は、やはり外の人間には理解に苦しんでしまうし、と同時に「計り知れない」という敗北感も感じる。
けどやはり何故だろうか、自分に訪れる光に対して当の本人が共存する気すらない人間臭さに変なシンパシーも抱いてしまうのだ。
そんな人は必ず感性を物理的に殴ってくる。