こんにちは。
園原夫婦です。

前回に引き続き、スポットで
「奈良編~奈良県立万葉文化館~」
をお届けします。

2015年6月30日

相変わらずの雨女ぶりで
「もし晴れたら石舞台古墳に行こう」
という案は脆くも崩れ落ち…

「屋根のあるところに行こう」
と言う友人に妙案を得て
「奈良県立万葉文化館」に行ってきました。

「奈良県立万葉文化館」は
明日香村にある「万葉集」をテーマにしたミュージアム
です。

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近隣には 有名な石舞台古墳高松塚古墳キトラ古墳
さらには 大和三山(香久山・耳成山・畝傍山)藤原京跡もあります。

晴れていたら、これらをめぐるついでに足を伸ばすといいですね。
とはいっても、移動には車が必須ですが…

ことりっぷに載っていて
偶発的に「行こう!」と決めた場所でしたが
もう、ほんとっ! ここ、オススメですっ(*´Д`)


何がいいって、まず価格。
常設展は「無料」!!

企画展は有料ですが、
歴女も歴女じゃない方も、常設展で十分満たされること間違いなしです。


次に「展示が面白い」!!
無料でも内容がショボければ、がっくしです。
しかしここは無料なのが信じられないくらいの内容です。

子供はもちろん、万葉時代に興味のない大人も楽しめると思います。
さらに歴女の心も見たす、小技の聞いた展示もありっ(*ノωノ)


最後にミュージアムショップをはじめとする
お土産物屋さんに かわいいものがいっぱい!

鹿関連のかわいらしい雑貨に、
キトラ古墳の四獣をモチーフにした白雪ふきん、
(もちろん自宅用に購入しましたw)
明日香村の無農薬野菜のドレッシングetc
かわいいものが好きな女性は買い物でも楽しめること間違いなし!!



さてさて、ここからは(歴女にとって)肝心の展示内容です。

まず「特別展示室」

明日香村は掘れば遺跡がでるらしく、
(イスタンブールと一緒ですね)
この万葉文化館も建設にともなう事前の発掘調査で、
古代の工房跡(飛鳥池工房遺跡)が発見されました。


飛鳥池工房遺跡は飛鳥寺に付属する工房とも、
当時の国営工房とも言われています。

そこで出土したのが「富本銭」です。

私と同じ世代の方だと
「日本で最初の鋳造貨幣といえば?」と問われれば
「和同開珎(わどうかいちん)」 と答えたくなるでしょう。

しかし現在は「富本銭(ふほんせん)」といわれています。

富本銭は江戸時代の古銭を紹介した本にも記されているそうですが、
これまでは出土例が少なく、他の通貨には見られない模様が入っていたため、
まじないで使われていたと考えられていました。

しかしこの遺跡の発掘により、
鋳型の破片や、鋳棹(いざお)、富本銭の破片や未完成品が
7世紀後半の地層から発掘されたことで、

富本銭が日本書紀に記された最古の鋳造貨幣に該当すると考えられています。

簡単にいうと、
当時の造幣局と推察される場所で
富本銭が鋳造された跡がみつかったので、
これは当時流通した貨幣と認められる、ということでしょうか。

特別展示室では、富本銭(複製品)をはじめとする
この飛鳥池工房遺跡から出土したものを展示してあります


この遺跡は現在地下に埋められ、コンクリートに固められ、
その上にこの万葉文化館ができたため、
遺跡のレプリカを資料館の渡り廊下から眺めることしかできませんorz



続いて「一般展示室」

一般展示室は「動」の展示空間です。
万葉の歌が流れるトンネルをくぐると
万葉時代(7~8世紀)の風景が現れます。

歓談する人々や 市の様子などが人形により表現され
近づくと人々の会話や音楽が聞こえてきます。

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展示室に一人ぼっちだと、ちょっと怖いです(;´Д`)

一人で先走ってみていたので、入ったときは一人ぼっち。
他のお客様もいない・・・。

どれか動き出すんじゃないかとか、
目だけこっちに向いてたらいやだなとか、
ちょっとびくびくしながらも
しっかり展示を見たい気持ちが勝って
一人で人形たちの間を練り歩きました(; ・`д・´)

さらに映像展示が沢山あって
中には「万葉集の歌をラップで歌ってみた」的なものw
他には「采女が出すクイズ」もあったり。

一般展示室では万葉時代について
目で見て、耳で聞いて、当時のことを学べます。


私がせかせかと見て回っている間に、
夫はクイズ全部に挑戦していたみたいです。

こういった人形や映像・音楽を使った展示は、
結構色んな資料館で活用されています。

が!!ここは歴女の心をくすぐる小技のきいた展示があるのです。

例えばこの写真。

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市で焼物を売っているおじさんが展示されています。
これだけみたら「あぁ、陶器でも売っているんだろうな」っていう程度。

でも、よく見てみると売っているものには、茶色と灰色があるのです。

茶色のは土師器(はじき)といって、野焼きの低い温度で焼かれたもの。
安いのですが、割れやすいのが難点。

灰色のは須恵器(すえき)といって、専用の竈(かまど)で焼しめたもの。
高いですが、割れにくい。

当時、全国的には土師器が使われていましたが、
都には富裕層が多かったため、半々ぐらいで使用されていたようです。


さらに左下にあるのはスプーン。

古代東アジア社会では、お箸とスプーンが併用されていました。
韓国ではこの流れが残っているそうです。

この展示では正倉院のものと同じ形で、貝殻に柄をつけています。
先が割れたスプーンは、この貝殻スプーンの名残なんだとか。

そして左上にあるのは甑(こしき)
現在でいう炊飯器です。

三層になっていて、一番上の壺に米を入れます。
真ん中の釜にお水をいれて、一番下はかまどになっています。
かまどで火を起こし、釜の水を沸騰させて、
水蒸気で上のお米を蒸すという仕組みです。

当時の人々にとって、お米を美味しく炊くために釜の中で対流を起こすのは難しく、
蒸す方が簡単に美味しく食べれたんですね。


これらの解説を、
ち帰れる紙の資料でも準備してくれていて、とっても親切。
全部で11枚(両面)もあって、読みごたえも抜群です。

さらっと見て楽しむのもありですが、
この展示を作った人の思いを感じる奥深さに、 私は心を奪われてしまいました。

他にも、
・市で売っている野菜や果物が小さい理由
・糸や布は動物性のものと植物性のものの両方があった
・当時のメジャーなお酒の造り方
・男性のおしゃれファッション
・女性のいけてる髪型とメイクや小技のきいた小物
・距離感の近い古代の芸能人
・古代のボードゲーム
・木簡の使い方
・お役所仕事の実態
・当時の告白と失恋事情

などなど、

ほぉほぉ
へぇ~

と言いながら見て回れます。

▼富本銭を作る職人
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▼万葉びとの筆跡
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当時の律令には「署名をいれなさい」という定めがあり
現存する筆跡のわかるものは行政書類がほとんどだそうです。
しかも苗字は書類を書いた人がまとめて書いちゃうらしく、筆跡がわかるのは名前。
本人確認というより、チェックしたよっていう証に署名を入れていたそうです。

▼さやけしルーム
音と照明で万葉びとの感性やこころの世界を体験する空間。
普通に座ってるだけで、癒されましたw
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▼万葉文化館はお庭も気持ちがいいです。
飛鳥寺に隣接しているので案内板が出ていました。
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▼恒例の池に魚がいないかチェックする夫w
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無料でここまでの展示と気持ちの良い空間があることが素晴らしい場所でした。
万葉集に関する古書やデータベースも充実した情報室もあるので、
この時代が好きな方は来る価値が絶対にありますよ!

【奈良県立万葉文化館】
住所:奈良県高市郡明日香村飛鳥10
電話:0744-54-1850
開館時間:10:00~17:30(入館は17:00まで)
休館日:月曜日
料金:入館は基本無料ですが、展示は600円
(入口の受付でご確認ください)

<つづく>