第8回 「キリストの洗礼」に描かれた三羽の鳥 | レオナルド・ダ・ヴィンチの小部屋~最後の晩餐にご招待

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レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画の謎解き・解釈ブログです。
2021年5月末から再度見直して連載更新中です。

 

 

 

この『キリストの洗礼』はヴェロッキオの他に工房内の数人で描かれたとされています。

その内、左側の天使はダヴィンチが描いていますので結構有名な絵ですよね。

 

 

イエスの頭上には天から白い鳩が舞い降りています。

この白い鳩は聖霊を表すもので、よくある表現です。

しかし、中央から右に向かって黒っぽい鳥がいます。これが何なのか?

 

 

黒っぽい鳥は、木ではなく、洗礼者ヨハネの持つ杖の先の十字架に向かっていて、

天使はその鳥の行く末、数年先に十字架にかかるイエスの未来を見ているのではないか?

この作品は、「キリストの洗礼」のテーマでありながら、視線と鳥と十字架を使って、この3年先に起こる「イエスの磔刑」という別の意味を付加させたのではないか。

この黒っぽい鳥は、はたしてダヴィンチが描いたのか?なのですが、

ダヴィンチの隣の天使をボッティチェリが描いたという説もあります。

ダヴィンチとボッティチェリのこれから先の二人の絵の関係性を思うと、二人で仕掛けたようにも見えます。

 

もう一人の天使が、イエスでも洗礼者ヨハネでもなく、ダヴィンチの天使を見ているのは、「”天使”が何を見ているのか視線をたどれ」とでも言っているようにも感じるからです。

 

上差し上差し上差し

・・・といった解釈を2018年2月の【『受胎告知』墓碑を模した書見台、天使は何を告知したのか?】で記事にしておりました。てへぺろ ・・・・が!

 

何が「”天使”が何を見ているのか視線をたどれ」だよね。笑い泣き

当時、左上のこの鳥に全く気づきもしませんでしたよ。笑い泣き

 

 

 

・・・と、恥ずかしい前置きはここまでで、今回は「キリストの洗礼」が異時同図とはどういうことかについてです。

 

 

ヴェロッキオの「キリストの洗礼」には、3羽の鳥が描かれています。

ルカの福音書3章21~22節

さて、民衆がみなバプテスマを受けたとき、イエスもバプテスマを受けて祈っておられると、天が開けて、聖霊がはとのような姿をとってイエスの上に下り、そして天から声がした、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である」。

 

中央の①の白いハトは、「キリストの洗礼」の絵によく描かれるものです。

 

次に、

②の鳥が重なっている木ですが、この特徴のある木は「ナツメヤシ」だそうです。

日本では「棕櫚(しゅろ)」とも訳されています。

イエスとナツメヤシと言えば、まずは「エルサレム入城」ですよね。

 

ヨハネの福音書12章12~13節

その翌日、祭りに来ていた大勢の群衆は、イエスがエルサレムに来られると聞き、なつめやしの枝を持って迎えに出た。

 

 

そして③の鳥は、「十字架」です。

 

 

①キリストの洗礼→②エルサレム入城→③十字架

 

このようにイエス本人ではなく、3羽の鳥にイエスを象徴させ、イエスの生涯の3場面を異時同図にさせていると解釈した次第です。

 

 

 

・・・さらに、②のナツメヤシは「復活」とも解釈できます。

 

 

①キリストの洗礼→②エルサレム入城→③十字架→②復活!!

 

 

 

「復活」についてはまた次回に。オカメインコセキセイインコ黄セキセイインコ青オカメインコ