課題解決型プロジェクト、課題解決型イノベーション、
といった場合、それは果たして、誰の課題を解決することなのでしょうか。
今までも何度か、講演の場やブログを通じて、この問いを考えています。
なぜ、考えてみるのかといえば、
「自分の課題」「自社の課題」を解決することが、イノベーションだと
書かれたものを目にすることが、時折ある為です。
「グローバル人材と共に事業拡大を目指してー」
というあるご質問項目の中に、探している人材は?として、
「自社の課題を解決してくれるイノベーション人材」
というチェック項目がありました。
もちろん、それぞれの組織には、課題があり、
その解決が必要なことは言うまでもありません。
でも、私たちは、誰の課題を解決する為に、日々努めているのでしょうか。
例を挙げると、
医師・医療者・ヘルスケア企業であれば、患者さんの健康の課題を解決する
ファイナンシャルプランナーであれば、クライアントの家計や資産の課題を解決する
テクノロジーの専門家であれば、お客様の利便性とITの信頼性の課題を解決する
これらは、自分ではなく、お客様=クライアントの課題の解決をどのように行うか、
という視点からスタートしています。
極端なお話でいえば、
「今月、営業成績が足りないから(=自社の課題)今、買ってください」と
セールスから頼まれたとしたら、「それはあなたの課題ですよね」と思うものですが、
自身の課題にばかりフォーカスしている時には、それが見えにくいものです。
必要とされているのは、
人(=他者)と社会の課題を解決する為に、イノベーションを起こす人材であり、
社会の共通善の具現化の為に、新たな製品やサービスを開発すること
あるいは、
今ある既存のサービス・プロダクトと情報と人を結び、
解決が望まれる課題に取り組むことを通じて、自社や自身の成長を促進し、
社会全体の豊かさに貢献する人材であると、私自身は考えています。
私がもし、冒頭の質問項目を考えるのであれば、
「クライアントと社会の課題を解決してくれる、イノベーション人材」
と答えると思います。
課題解決とは、誰の課題を解決することなのか。
誰の課題を解決することが、自分や組織の課題の解決に繋がるのか。
プリミティブな問いこそ、とても重要であるように考えています。