American Sniper/ 아메리칸 스나이퍼
今話題のアメリカ映画、アメリカン・スナイパー/American Sniper/아메리칸 스나이퍼(公式サイト)を見てきました。
監督はクリント・イーストウッド/Clint Eastwood/클린트 이스트우드で主演はブラッドリー・クーパー/Bradley Cooper/브래들리 쿠퍼。
この映画を見ようと思った理由はイラク戦争のことを描いているから。そして妻がアカデミー賞にノミネートされている作品を観たいと言ったから。
この作品はネット上では賛否両論が飛び交っていました。160人もの人を殺した人を英雄として描いていることに関して非難する声も多々ありました。ドキュメンタリー映画、「華氏911/Fahrenheit 9/11/화씨911」でアメリカ同時多発テロにかかわるさまざまな疑惑を浮き上がらせてブッシュ政権を批判したマイケル・ムーア/Michael Moore/마이클 무어監督も、この映画がイラク戦争をイラクを開放するための戦争と描いていることを非難していました。
それでも僕は見ないことにはやはり判断できないと思って見ることにしました。
主人公、クリス・カイル/Chris Kyle/크리스 카일は元々はカウボーイになりたかった青年。アメリカ911同時多発テロをきっかけにテロからアメリカを守るために自分から志願して軍隊に入ります。
その後、彼はイラク戦争の戦場へ4回派兵されるのですが、その間になんと160人もの人を殺し、米軍の中での英雄になります。逆にイラク軍の方からは懸賞金をかけられて常に命を狙われるようにもなります。
あらすじ的なものはこの程度にして、僕がこの映画を見て一番注目したのはイラクに派兵されている兵士たちの心理でした。戦争中で命令に従うだけとはいえ、相手を殺すかどうか最終的な判断は自分で下すことになります。その判断が一瞬遅れると自分が殺されるかもしれない、そんな状況でやはり正常な精神状態ではいられないのです。
ですので、入隊したときの最初の訓練は信じられないほど過酷でした。その特訓で人間性をかなり失い、人間は命令どおりに動くロボット、または機械のようになって行くのでしょうか。
とにかくこの映画で描かれるような状況の中では絶対に生きたくないと思いました。その意味で日本で生活することはどんなに幸せなことでしょうか。
今、アメリカはシリアを空爆しています、テロリスト集団、アイシル/ISIL(Ismalic State in Iraq and the Levant) を撲滅するために。空爆をする米軍には死者はあまり出なさそうですが、地上戦を戦う「有志国軍」からは犠牲者が多数出ることが予想されます。もちろん、戦場では相手側と戦場であるシリアの人々、特に弱者である子供や女性も犠牲になります。そのようなシーンもこの映画では描かれています。
現地で戦う兵士たちの気持ちを追体験するのに最適な映画だったと思います。この映画には賛否両論ありますが、一人の戦士の生涯を通して戦争が人間を狂わせる、とても「非人間的」な行為であることを実感させてくれる、そのような意味で優れた反戦映画だと僕は思いました。
2020年8月追加
確かに、エンディングは厳粛であり、彼を英雄扱いしているというムードは拭えません。それがクリント・イーストウッド監督の意図なのかも知れません。
でも、実際の戦場での戦闘を追体験できるだけでも見る価値があると思います。これを見たら絶対に戦争には行きたくないと思うし、米軍の度重なる色々な地域への派兵に反対したくなると思います。
この映画を小山のハーベストシネマまで行って見ましたが、劇場内にお客はパラパラで、映画館の運営は大丈夫なのかと心配になってしまいましたが、この映画は集団的自衛権行使と憲法九条改正に向けて突っ走る日本政府の元で後藤健二さんと湯川遥菜さんの悲惨な犠牲を目の当たりにした日本の皆様にぜひご覧になってほしい映画だと思います。
最後に、やっぱり古河市に映画館がほしい!