今回の話は「スメルズライクグリーンスピリット」のアンソロジーである「深潭回廊」より2巻でのepを文字起こししてみます。
深潭回廊
永井三郎著
「深潭回廊」は本編「スメルズライクグリーンスピリット」の中で社会科教師柳田がレイプ未遂をしたあと 逃げ出し教師を辞め死ぬために訪れた島で 渚と言う少年と出会って 心を救われたはずだったのですが 思わない方向へっう話なのです。
アンソロジーとなっていますが すでにこの作品だけで独立した物語だと思います。話はこっちの方が長いですからw
柳田くんが中学の時、クラスにいつも外を見ている南条くんがいました。南条くんは小説を書いていてその唯一の読者が柳田くんでした。
ある出来事から二人は会えなくなってしまうのです。柳田くんはそれからずっと彼を思い続けるようになったまま成長することになります。
✿柳田くんと南条くん✿
永遠の別れ編
渚が好きで何度も読んでいる小説があった。
「彼方へ」
それは少年ふたりが異世界で冒険をする話。渚は冒険の描写にスリルがあることと最後が変わっていると言う。
「彼方へ」の作家東条遥の名前を見たとたん ハッとする柳田。
柳田くん。ペンネーム決めてあるんだ。君だけに教えてあげる。
南を東にしたの?遥って女っぽくない?
良くない?どっちでもない感じが…
渚の持っている「彼方へ」の作家は東条遥…
この本貸して欲しい。
渚は他にも作者が一緒の本があるから持って来てくれると言う。ミステリーとホラーだけど冒険ものが好きでコレばかり読んでいるらしい。
でも、それが(彼方へ)が最後の本になっちゃったんだよね。死んじゃったんだ。
「彼方へ」は作家の遺作だと言う。
何… 柳田の目の前は真っ白になった。
作家の作品は4冊ぐらいしか出ていないが 1年ぐらい前テレビのニュースであったらしい。デビュー作はなにかの新人賞をとったこともあるようだが
◯殺って言ってた。服薬◯殺だったらしいよ
何、何を言って… 何を言っているんだ柳田は頭の中で整理ができない。
東条遥は「彼方へ」を書き上げたその日に死んだ…
柳田は「彼方へ」の本を持ったまま真っ白になってしまう。
遅いよ〜南条くん
柳田くんが速すぎるんだよ〜
柳田くんと南条くんはいつも一緒に遊んでいました。
南条くんは柳田くんと遊ぶと時間が早く過ぎると残念そうにしている。
インドア派の南条くんは柳田くんがいないと家で小説かゲームしかしてなくて
いつか 俺と柳田くんふたりの小説を書くよ。今の楽しい気持ち忘れたくないからさ…
小説「彼方へ」は14才の少年ふたりが森を探索中 そこにあった落とし穴に落ちると 地下帝国が広がっていて 少年ふたりは手に手を取って冒険するが元の世界には戻ることができない。 でもそれは恋人同士だったふたりの少年が心中をはかり 失敗してこん睡状態に落ちている中の見ていた夢。
もし、この話が俺たちのことだったら 南条くんはどんな気持ちで本を書いたのだろ…
ただ、この本を書いたあと 死んでしまったことしかわからない
柳田は涙があふれた。
南条くんと別れたあとのその後はどうやっても知ることができなかった。
さて、南条くんも柳田くんのことを忘れていなかったのでしょうか?
柳田はずっと忘れられず南条くんを追い続けていましたが あれが最後の別れでしたね。個人的には間接的にすれ違うとかでもいいので成人になってからあわせてあげたかったですね。
あとはこん睡状態の渚が目を覚まして 柳田と幸せになったらいいなと思います。